【インタビュー】凄腕キャラクターアーティストの成長の軌跡:Vahid Ahmadi氏 のインタビュー(2016)

イラン出身の 3Dキャラクターアーティスト Vahid Ahmadi氏 が、スタイライズされた女性キャラクターの一部を紹介。そのワークフローや目標について語ります


Vahid Ahmadi
3Dキャラクターアーティスト & デジタルスカルプター


Q. 自己紹介をお願いします

私は イランのテヘラン出身です。17歳のときに 2D/Webデザイナーとしてキャリアをスタートし、数年間さまざまな企業で働いていました。近年は、フルタイムの3Dモデラーや ZBrush のインストラクターとして働いています。

「Miss Sarah Fortune」(コンセプト:Carlos Eduardo Berganza)

Q.作品について。背後にあるストーリーやアイデアは何ですか? 達成できたことはありますか?

私は スタイライズされたキャラクターが大好きで、『Elf Girl』は Daeho Cha 氏 のコンセプト にインスパイアされました。2D で描かれたようなルックを模索し、ZModeler など ZBrush の多くの機能を使用しました。もちろんキャラクターの髪も ZModeler で作りました(※ブラシは使っていません)。

このコンセプトを見たとき、ZBrush の新しいツールで、きれいに再現するのにふさわしい素晴らしいキャラクターだと感じました。そこで 私は ZBrush ですべてのパーツのモデリングをはじめて、彼女の見た目と表情を見映え良くするために、さまざまなツールを試しました(※ポーズと顔には変更を加えています)。

「Girlish」(コンセプト:Carlos Eduardo Berganza)

Q. 使用ソフトやプラグインをおしえてください。また、どんな問題に直面し、どうやって克服しましたか?

プラグインは特に使用していません。私のキャラクターモデルはすべて ZBrush でスカルプト・モデリングしています。学んで試すのはとても楽しく、最終的にプロセスのさまざまな障害をすべて克服できました。こうした困難によって、ZBrush とそのツールをしっかり学ぶことができました。

「Jungle Girl」(コンセプト:Michal Lisowski)

Q. 通常のワークフローで使用するツールとソフトウェアは何ですか? その他に好みのソフトウェアやプラグインはありますか?

通常は、すべて ZBrush のみで進めますが、Cinema 4D の利点を活用してベースメッシュを作成したり、布の原型制作に Marvelous Designer を使用したりする場合もあります。時々、ZBrush でレンダリングする代わりに、Keyshot や Cinema 4D を使用しています(*)。仕上げと合成には Photoshop を使っています。また、MARISubstance Painter に特化した素晴らしい作品やビデオを見てきました。将来、試してみたいと思っています。

(*有料プラグインの ZBrush to KeyShot Bridge を使えば、ZBrush でも Keyshot を利用できます。その方法は、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』の6章「KeyShotレンダリング」で解説されています)

「Smoking girl」(コンセプト:Zork)

Q. 芸術的な目標はありますか?

1つは映画やビデオゲームのような巨大なプロジェクトで、キャラクターデザイナーとして働くことです。もう1つは 世界的規模で ZBrush をおしえることです。

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあれば おしえてください

3Dやデジタルアートのあらゆる新しいテクニックとトレンドを追いかけ、常に見たり読んだりすることが大切です。しかし、私たちには 空き時間がほとんどありません。そして、それらを使いこなすには時間もかかるでしょう。これまで、研究する時間がないため、制作自体をやめてしまった素晴らしいアーティストを何人も見てきました。もし、この問題についてアドバイスするとしたら、「制作と研究に1日の一部を割り当て、それを習慣にすること」です。時間に余裕がないなら、1日30分でかまいません。何もしないより、毎日少しずつでも制作する方がよいでしょう。

「Look of girl」(コンセプト:Carlos Eduardo Berganza)

Q. 大好きなアーティストはいますか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、その理由も一緒におしえてください

古典的な彫刻、そして、ベルニーニやミケランジェロなどの傑出した彫刻家が大好きです。それらは本当に刺激的で、学ぶべきことがたくさんあります。

「Adorable」(コンセプト:Salvador Ramirez)

Q. 今後の展望をお聞かせください

モデリングと微調整、そして学習を進めて、さまざまなキャラクターを作り続けます(ゲーム・デジタル彫像・コンセプトなど、特にスタイライズされたキャラクター)。そして、3Dで説明することを心がけ、キャラクターの背景にあるストーリーと共に、よりダイナミックなシーンを手掛けていくでしょう。現在は、まだ未完成のスタイライズしたキャラクターに取り組んでいます。

「Elf Girl」(コンセプト:Daeho Cha)

「Elf Girl」(コンセプト:Daeho Cha)

 

▼ Vahid Ahmadi氏 制作のチュートリアル
>> 『Idol -アイドル』のメイキング
>> 『Diana -ダイアナ』のメイキング
>> 『Dawnbringer – 黎明をもたらす者』のメイキング
>> 『Owl Sorcerer – 梟の魔術師』のメイキング
>> 『Elf – エルフ』のメイキング
>> 『Aries - アリエス』のメイキング
>> 「幻想的な女エルフ」のメイキング

▼ Vahid Ahmadi氏 のインタビュー
>> 2019年のインタビュー

 


編集部からのおすすめ:ZBrush による制作テクニックを学ぶには、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』『ZBrush キャラクター&クリーチャー』をおすすめします。

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp