凄腕キャラクターアーティストによる美女キャラ制作:『Idol -アイドル』のメイキング

イラン出身の 凄腕 3Dキャラクターアーティスト&デジタルスカルプター Vahid Ahmadi氏 が、女性キャラクターのメイキングを紹介します(ZBrush使用)


Vahid Ahmadi
3Dキャラクターアーティスト & デジタルスカルプター


私はフリーランス デジタルスカルプター/3Dキャラクターモデラーで Bluepoint Games を始めとした さまざまなゲームスタジオのキャラクターを制作しています。このチュートリアルでは、キャラクター「Idol -アイドル」のメイキングを紹介します。

ステップ01:構図

作業に入る前に、作成するすべてのパーツの位置をチェックするために、ZBrush に基本形状を配置して シーンを設定します。そうすれば、事前に潜在的な問題について考慮することができるでしょう。手は ZSphere、体にはボディパーツの IMMブラシを使用しました。布は標準の ZBrushプレーンで作成し、[Zリメッシャー]を施した抽出メッシュであらゆるものを準備して、適切に配置しました。それ以外のパーツは ZModeler で作成しています。

★ZModeler のワークフロー:Idol zbrush zmodeler workflow p1 by vahid ahmadi(1時間59秒)

ステップ02:弓を作る

モデリングでは、まず、図のように Null としてプレーンを追加。シンメトリをオンにして 小さなパーツ類から始めます。次に、各サブツールを結合します(個別にすべてのパーツを作成してすべて結合、[ツール]>[ジオメトリ]>[トポロジー編集]>[ミラーと結合]を実行)。そして、すでに配置したガイドオブジェクトを目安に、それらを所定の位置に移動します。

ステップ03:布のしわを作る

服のしわの作成する前に「ジグザグ」「スパイラル」「深く刻まれたしわ」「浮いた折り目」「肘や膝の部分で途切れているしわ」「垂れ下がるしわ」など、さまざまな種類を調べてみましょう。ZBrush にリファレンスをロードして、簡単にしわを研究・コピーできます。ただし、[Zリメッシャー]でメッシュを整えて、最善の結果を得るために少なくとも 2 - 3回は投影してください。私は[Standard]ブラシとアルファ38、39、そして[Move][Pinch][inflate]ブラシの組み合わせで作成しました([ストローク]>[モディファイヤ]>[ロール距離]を増やし、[ブラシ]>[深度]>[重力強度]を低めに設定 )。

ステップ04:ヘアを作る

使用した IMMヘアブラシ(DE_HairTubes)は gumroad でフリーダウンロードできます。まず、ダイナメッシュを実行した基本メッシュにヘアストランド(毛束)を加えていろいろ試し、動きを加えます。また、この IMMブラシで作成したヘアにはポリグループがあるので、[Move Topological]ブラシで束を追加できます(図を参照)。ヘアのコツは、十分な数を複製して 動きをつけることです。できるだけ重複させて 見映え良くしてください。

ステップ05:レンダリングの準備をする

低い[RGB強度]の[Standard]ブラシでモデルのペイントを開始します。ZBrush の既定のアルファと[Color Spray]ストロークでキャラクターを塗っていき、スポットライト投影も実行しました。[DoubleShade][BasicMaterial][SkinShade4]で、金・革・肌、生地のマテリアルを手早く作り、スペキュラ・拡散・反射率の値を試しています。(※ZBrush によるマテリアル制作は「ZBrushのBPRレンダー使用 『Goddess -女神』のメイキング」で より詳細に解説しています)

ステップ06:BPR でレンダリングする

ZBrush の BPRレンダーは、手早く素晴らしい結果を生み出せるツールです。まず低解像度のテストレンダリングを実行し、欠点がないかチェックします。次に解像度を上げて、[レンダー]>[BPR影設定]>[レイ]:約90、[ブラー]:9 でレンダリングを開始。続けて[ライト]パネルでリムライトを設定しました。また、いくつかの「反射パス」、Photoshopで選択するための「IDパス」も作成しています。

ステップ07:パスを組み合わせる

Photoshop でそれぞれのパスを合成します。選択範囲の作成、さまざまなパーツを選別、必要ない余分なパーツの整理を行います。本作では、シャドウパス・AOパス・ペイントパスなどを組み合わせました。そしてさらなる改善のため、レイヤーの[描画モード]を[覆い焼き(リニア)][乗算][スクリーン][オーバーレイ]などに切り替え、試行錯誤しました。

最終イメージ

 

▼ Vahid Ahmadi氏 制作のチュートリアル
>> 『Diana -ダイアナ』のメイキング
>> 『Dawnbringer – 黎明をもたらす者』のメイキング
>> 『Owl Sorcerer – 梟の魔術師』のメイキング
>> 『Elf – エルフ』のメイキング
>> 『Aries - アリエス』のメイキング
>> 「幻想的な女エルフ」のメイキング
>> 『Sad - 悲しみ』のメイキング

▼ Vahid Ahmadi氏 のインタビュー
>> 2016年のインタビュー
>> 2019年のインタビュー

編集部からのヒント

ZBrush の基本について知りたい方には、チュートリアル「ZBrush の基本を知る」シリーズをおすすめします。

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp