【インタビュー】心の声に耳を傾ける:イラストレーター Csaba Bánáti氏

ウィーンを拠点に活動中のイラストレーター Csaba Bánáti氏 が、最近の作品と課題、そして、これからについて語ります


Csaba Bánáti
イラストレーター|オーストリア


イラストレーター Csaba Bánáti氏 は、5年間ノルウェーの MIR で働きながら技術を磨き、現在は、オーストリアのウィーンを拠点に活動しています。最近の作品と課題、そして、これからについて語っていただきました。

Q. 自己紹介をお願いします

Csaba Bánáti です。ZOA(ハンガリー)でキャリアをスタートさせたあと、Brick Visual(ハンガリー)に移り、MIR(ノルウェー)で5年間、技術を学びました。現在もイラストレーターとして活動していますが、オーストリアのウィーンに新たな拠点を構え、創作活動を展開していきたいと思っています。

「Echo Lake (反響する湖)」

Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?

「Garden of Damocles」(※日本語メイキング記事は こちら)のアイデアはとても直感的なものです。中庭の写真をいくつか見たとき、そこに何か感じるものがありました。なぜ、私の中にそのような反応が起こったのか、もっと調べてみたくなり、いくつかのリファレンスを基にイメージを膨らませていきました。そして、中庭のイメージができ始めると、私の脳裏に「吊るされた核爆弾とその下の群衆(の像)」のアイデアが浮かんできたのです。

「Garden of Damocles (ダモクレスの庭園)」

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

いつも「必要なディテールの量」を判断するのに苦労しています。そのため、今回は「制作過程を楽しめるなら、やりたいことを好きなだけやればいい」と自分に言い聞かせました。ある部分では夢中になり、好きなだけ取り組みました。実際に、いつもよりずっと大きな解像度(7,000px)のイメージになっています。また、ポストプロダクションに適した方法を探るために、Nuke を実験的に使ってみました。

Project: Mirny(3分16秒)

Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?

いつも、3ds MaxPhotoshop でアイデアをスケッチするところから始めます。最近の個人プロジェクトでは、スケッチなしでも取り組めるビジョンと自信がついてきました。もし思い直したら、Photoshop に戻り、さらにスケッチすることもあります。スキャッタは Forest Pack のみに頼り、レンダリングはほぼ V-Ray で行なっています。そして、前に述べたとおり、ポストプロダクションで Nuke をテストしました。

「Waiting For Nothing (何を待つでもなく)」

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください

何も特別なことはありません。私は、依頼されたものであれ、個人的なものであれ、素晴らしいプロジェクトに取り組み、それを最大限に生かすように心がけています。しかし、ポートフォリオを作るなら、最高のプロジェクトを 5~10 だけ含めるべきでしょう。もし依頼された作品を含めるなら、そのことをはっきりわかるように示してください。

Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?

主に ArtStation を使っていますが、ハッシュタグはつけず、フォローしている人と 選んだカテゴリーを閲覧するだけです。Facebook Instagram もやっていますが、SNS はアートに関する活動をシェアするためにしか使っていません(プライベートな写真、家族写真などは NG です。ごめんなさい!)。

「Forest Valley (森の渓谷)」

Q. 芸術的な目標はありますか?

人と同じように、芸術活動は常に成長し、変化していきます。しかし、目標として唯一残るもの、それは「自分自身の成熟したスタイル/心の声を見つけること」です(ようやく、このことを、言葉にできるようになりました)。誰しもプロジェクトの当たり外れはありますが、ずっと自分のスタイルでいることができれば、幸せだと思います!

「Windy Meadows (風の牧草地)」

「Purgatory (煉獄)」

「プロジェクト22」

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

お気に入りのアーティストはいますが、執着してはいません。彼らを好きな理由は、アートに対する誠実なアプローチと、結果的にユニークな声を持っているからです。いくつか例を挙げると、Nick O'LearyPiotr JabłońskiPascal BlanchéAsh ThorpSimon StålenhagSparth などです。

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Q. これからの作品についてお聞かせください

私は普段から楽しめるように、3~5個のプロジェクトを同時に進めています。しかし、それは、次に完成する作品がほぼわからないということでもあります。おそらく次はアニメーションのようなものが出てくるかもしれません。

★Waiting for Nothing(アニメーション/ 3分)

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編集:3dtotal.jp