【インタビュー】新しい挑戦を続ける:フリーランス 3Dアーティスト Bondok Max 氏

エジプトの フリーランス 3D アーティスト Bondok Max氏 が TVドラマ『ブレイキング・バッド』や 映画『レディ・プレイヤー1』にインスパイアされた作品「The Crystal Ship」の制作などについて語ります


Bondok Max
3Dエンバイロメント&ルックデヴ アーティスト|エジプト


Q. 自己紹介をお願いします

こんにちは! Bondok Max です。エジプト出身で、現在は 3Dエンバイロメント/ルックデヴ アーティストとして、世界中の多くのスタジオでフリーランスとして働いています。10年以上の CG経験があり、主に映画 や CMの制作に携わってきました。

「The Crystal Ship」

「The Crystal Ship」メイキング動画(2分10秒)

Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?

「The Crystal Ship」は、TVドラマ『ブレイキング・バッド』と 映画『レディ・プレイヤー1』をミックスしたようなプロジェクトです。この作品では、モデリングに Maya、レンダリングに Redshift、ディテールの追加に ZBrush、洗濯物などの布に Marvelous Designer、テクスチャにパワフルで便利な Substance 3D Painter、合成に After Effects + Photoshop + Nuke、岩・木杭・草に Quixel Megascans ライブラリのアセットを使用しました。

 

 

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映画『レディ・プレイヤー1』予告1(2分24秒)

Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?

本制作で最も時間を要したのは「アイデアそのもの」でした。自分ならではの作品を作り、想像力や創造力を高めることが、大きな課題だったように思います。個人制作ではいつもどおり、すべてをほぼゼロから始めます。ブロッキングに始まり、モデリング、テクスチャリング、レンダリング、シーンの把握、ディテールの追加まで、数週間を費やしました。

私は、バン(『ブレイキング・バッド』で主人公たちがドラッグ「クリスタル メス」を密造している車)とSF的な建物(『レディ・プレイヤー1』に登場するスラム街の建築物)を組み合わせたいと思い、それを表現する良い方法を探りました。また、今の知識でできることをすべて詰め込みたかったので、いろいろ苦労しました。

スキル面の主な目的は、「Redshift にもっと慣れること」「GPUベースの環境で作業する際に、大きなシーンのワークフローの限界を知ること」でした。

Q. 仕事や個人プロジェクトでは、どのようなツールを使っていますか?

フリーランス アーティストとして、ワークフローに多くのソフトを取り入れ、柔軟に対応することが大事です。そうすることで、優先順位がつくと思います。私自身、ワークフローのこの点を考慮し、できるだけ改善しようと努力しています。前回のインタビューでは、メインの 3Dソフトとして 3ds Max を使いましたが、本作では Maya を使っています。どのソフトウェアにも似たようなツールがありますが、名前が違うだけです。私のワークフローでは、ほぼすべてのレンダリング エンジンを利用しています。

Q. 3dtoal の書籍を持っていますか? 持っているなら、どのようにそれを見つけましたか?

もちろんです。私は 3dtoal の大ファンなので、たくさんの書籍を持っています。『デジタルアートマスターズ』の Volume 3~9(このシリーズ、もっと出版してほしいです)、『Prime - The Definitive Digital Art Collection』(すごい作品集です)、他にも『デジタルアーティストのためのスケッチ練習帳:ロボット&宇宙船』など。このような素晴らしい書籍をもっと目にしたいですね。

 

「Whale Rider」

★メイキング映像:Whale Rider Short Making Of(1分39秒/ オリジナルイメージArtur Sadlos

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください

フルタイムで仕事をしていても、常に何らかの個人プロジェクトに取り組んでいます。そうすれば、ポートフォリオそのものの更新だけでなく、アイデアやテクニックの創造と研究にもつながるでしょう。そして、できるだけ集中し続けるようにしています。私たちが選んだこの業界では、勉強もたくさんしなければなりません。常に自分を追い込み、作品をベストに仕上げることを心がけています。

Q. 芸術的な目標はありますか?

大きな目標は、ビジュアル/シネマティックエフェクト業界で自分のスタジオを持つことです。いつになるかわかりませんが、その時に備えて鍛錬し、スキルを高めていこうと思っています。小さな目標は、世界中の素晴らしいシネマティック/VFXスタジオと協力していくことです。

Q. 現在のお気に入りのアーティストをおしえてください

実際には、すべてのアーティストからインスピレーションをもらっているのですが、前回のインタビューで挙げたプロたちに加えて、宮崎 駿Artur SadlosIsmail Inceoglu がいます。いずれも個性的な画力を持っており、創造性に富んでいるため、刺激を受けています。

「The Crystal Ship at Night」

 


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編集:3dtotal.jp