【インタビュー】制作活動の軌跡:イラストレーター Csaba Bánáti氏

オーストリア・ウィーンの イラストレーター Csaba Bánáti氏 のこれまでのアーティストとしての歩みを見ていきましょう


Csaba Bánáti
イラストレーター|オーストリア


「普段は、自分の作品を見るのも嫌なんです。しかし、それが問題とは思いません。私自身が変われば、考え方や見方も変わっていくものだと思います。プロジェクトごとに学びがあり、次はもっといいものを作ろうという意欲が湧いてきます!」

Q. 自己紹介と、アートの道を目指したきっかけ、初期に影響を受けたものについて おしえてください

Csaba Bánáti です。オーストリアのウィーンでフリーランス イラストレーターとして、主に、建築の分野で仕事をしています。もともと3D に興味があり、『トイ・ストーリー』『フィフス・エレメント』などの映画に出てくるオブジェクトを手探りで再現して、すべてを学びました。

2010年頃、大学在学中にいくつかの建築事務所のビジュアルを制作し、卒業後は、故郷のハンガリー、ブダペストの建築事務所で働き始めました。ZOABrick Visual で2年働いた後、ノルウェーのベルゲンに移り、MIR で5年以上働きました。

アートは最初から本当に楽しいものでした。もし、アートを人生で実践する方法が見つからなかったら、本当に悲しかったことでしょう。これが、大学で建築を学んだ最大の理由です。MIR は昔から建築ビジュアライゼーションの世界で影響力があり、私も例外なく、その魔法にかかっているようでした。

 

「The Unbuilt House」初期作品の1つ(ZOA 在籍時)

★The Unbuilt House - Photoshop Breakdown(1分22秒)

Q. 初期作品はまだ残っていますか? それらについて、今どのように感じていますか?

残念ながら、ずいぶん前にハードディスクの故障で、初期の3Dイメージをすべて失ってしまいました(その中に、特に自慢できるものはありませんでしたが)。そのため、現在、残っている作品は、すべてオンライン上のものだけです。おそらく、最初に公開したのは、ZOA で作成したものだと思います。他にもいくつか、作品をコンペに応募しました。

通常 私は、プロジェクトが終了した途端に、すべてが気に入らなくなります。どのイメージを見ても、本当に「よくできている」と思えないのです。問題点しか見えてこなくなり、普段から個人プロジェクトに何百時間もかけているので、もう何もワクワクしません。

 

初期に公開されたイメージ

Q. はじめの頃、どのようなトレーニングや学習をしましたか? 自分の成長を実感できましたか?

3D に関する正規のトレーニングを受けたことはありません。大学でも 3ds Max のクラスはありましたが、すでに基礎(授業の主なテーマ)は理解していました。知っていることはすべて、試行錯誤、無料のチュートリアル、インターネット上の記事から得たものです。

今まで、急にうまくなったと感じたことはないので、才能が足りないのかもしれません。その代わり、それを補うためにたくさん努力しています。私にとって、ハイレベルの一貫性を保つことが、成長するための唯一の手段です。

 

Project: Mirny(3分16秒)

上達を感じられた作品があれば、おしえてください

イメージ制作で最も難しいのは、当然、「クリエイティブな部分」だと思います。伝えたい「ストーリー」をどう伝えるか、それをテーマにした作品が「Purgatory (煉獄)」です。

「技術的な部分」は習得しやすいでしょう。それは「できる/できない」のどちらかなので明快です。ある技術を身につけるにしても、今はたくさんの情報源があります。もちろん、こうしたスキルは創作に欠かせないものなので、軽視するつもりはありません。

一方で「クリエイティブな部分」は、(少なくとも私にとって)簡単に達成できるものではなく、通常、何年も継続的に練習し、精神的に成熟する必要があります。そのため、上達や熟練度で、作品に違いが出てきます。良くなっているかどうかはわかりませんが、確実に最初のアイデアに近づいています(それが私の最終目標です)。

イメージ制作のあらゆる面で上達したことは確かですが、まだ学ぶべきことがたくさんあります。これ以上伸ばせないスキルはありません。少なくとも、より速く、より効率的になることができます!

 

Purgatory (煉獄)

★メイキング:Making of Purgatory(1分30秒)