世界のモンスターを描く:コカトリス

亜種

サハラ砂漠のコカトリス

最古のコカトリスは、北アフリカの砂漠に住んでいました。この亜種はその子孫です。非常に素早い捕食者で、強力な長い脚と隆起した尻尾でバランスを取りながら、大きな砂丘や低木の生えた土地で獲物を追いかけます。退化した翼は、主に飾りとバランスの役割を果たしています。標準のコカトリスの遠い親戚とも言えるこの亜種は、ヘビなどの獲物を石化させず、踏みつけて食べることで知られ
ています。

家畜のコカトリス

サハラ砂漠よりも景観豊かで、獲物も多いヨーロッパのコカトリスは、アフリカの種族よりも大きな体をしています。しかし、飼い慣らされているので、野生の本能は失われています。何世紀にもわたり、選別的に繁殖されてきたせいで、もはや野生では生きていけない体型です。ブリーダーは、装飾的な羽・長い翼・枝角に似た醜い肉垂といった特徴を好みます。危険を伴うコカトリスの繁殖と飼育では、フードで死の視線から身を守らなければいけません。

鳥類のコカトリス

世界の一部地域で、コカトリスは強い翼を発達させ、空を飛べるようになりました。ワシや他の猛禽類のように、初列風切(しょれつかぜきり)と次列風切(じれつかぜきり)の層で頑丈な翼の膜を形成しています。空気抵抗を減らすため、尻尾と角は小さく、かぎ爪のような足で上から獲物を捕らえます。空の捕食者として優秀ですが、他のコカトリスが持つ毒性はありません。

最終デザイン

最終デザインは、リサーチした中で最も面白い要素を融合させ、伝説のクリーチャーに相応しいユニークなルックに仕上がりました。体は雄鳥のようで、肉垂の付いたふくよかな首のテクスチャが、荒廃や病気を想起させます。鋭い歯の付いたくちばしから毒液が滴り落ち、足下の植物は毒の息によって枯れています。ドラゴンのような左前脚は攻撃的に振り上げられ、折れた角は戦いの日々を物語っています。ヘビの尻尾は不穏に揺れ動き、うろこに覆われた蹴爪の付いた足が、次の動作に備えてポーズを取っています。コカトリスは動きの鈍いクリーチャーなので、幻惑的な尻尾で獲物を誘き寄せ、毒や石化の能力で捕食者を追い払います。これらの手段がすべて失敗したときは、物理的な攻撃を振るうことでしょう。

 

※このチュートリアルは、書籍『世界のモンスター・幻獣を描く』からの抜粋です。書籍では、このコカトリスの他に 29種。30名のアーティストによる 30種類のモンスター・クリーチャーのデザイン&描き方を紹介しています。

 


書籍『世界のモンスター・幻獣を描く』

- 説得力のあるコンセプトのつくり方 -

制作:3dtotal.com
定価:本体4,800円 + 税
ISBN:978-4-86246-407-1
サイズ:210 x 279 x 29 mm (A4変形)
総ページ数:320頁(カラー)
発行・発売:株式会社ボーンデジタル

>>> 書籍紹介ページ(※全ページ(英語版)チラ見映像あり)
https://3dtotal.jp/books/10799/

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp