世界のモンスターを描く:コカトリス

デザインプロセス

サムネイル

この一連のサムネイルは、あらゆるクリーチャーデザインにおける最初のステップです。コカトリスでは、リサーチした要素を組み合わせる代わりに、リファレンスからひらめいた自然科学に基づくユニークな動物にしていきます。

通常、最初の2つは最も出来の悪いものです(最初に悪いアイデアを描き出せば、後で良いアイデアにつながるでしょう)。01~04 は痩せこけてアンバランスな、親しみのあるルックです。イーチーの翼で急降下する 05、翼を下ろして歩く 06 は私好みです。06 は、複数のデザイン要素が効果的に組み合わさっています。恐ろしくしたいので、忍び寄るような低い姿勢はぴったりです。

07 と 08 ではもっと身軽なルックを試し、カスクのような角の形状にしました。これらは自然で面白いデザインですが、「天災と破壊の予兆」というコカトリスの属性を表していません。09~12 では、翼のような前脚を使って、前側に体重を掛け、不気味に這っています。10 は恐怖をかき立てるようなデザインで、幻惑的に長い尻尾を操っているところが気に入っています。ここでは、肉垂・しわ・背骨・首にぶら下がる毒嚢をいろいろと試し、危険で不穏なデザインを作成しました。

もっと掘り下げる

サムネイル11 が最も印象的だったので、これを最終デザインに選びました。側面から見たコカトリスは攻撃的で恐ろしく、毒牙を繰りだそうと身構えています。むき出しの首からぶら下がる肉垂と毒嚢は危険を感じさせ、角は顕著なシルエットを形作っています。また、前脚の翼は異様なほど繊細で、しなる鞭のような尻尾を引き立てています。

正面図では、怒っている眉のような角の形状が、鑑賞者の視線を目に引きつけます。その目は捕食動物のように前向きに見えますが、実際には外側を向いています。つまり、コカトリスの悪名高い死の視線は、獲物のほうを向いていません。イタチや人間など、自分を危険にさらす存在に向けられているのです。

背面図では、ほぼ全体重が掛かるたくましい太ももと後脚が見え、器用な尻尾とそのツイストパターンも際立ちます。これは、隆起した胴体の中心をずらす(オフセット)、ダイナミックな要素にもなっています。この段階ではまだ足が弱々しく、不格好に見えますが、最終デザインで洗練させましょう。

ポーズ

最初のスケッチは、コカトリスが誤って獲物に目を合わせ、石に変えてしまった場面です。石化したネズミはもう食べられないので、イライラしながら前足で触っています。私は「敵を石にする恐ろしい力が、時に面倒を起こす」というアイデアを気に入りました。このポーズでは尻尾のカーブをいろいろ試し、ネズミをおびき寄せるために使った魅惑的な模様が、元通り真っ直ぐになる場面を表しました。また、肉づきの良い巻きひげを加え、首のシルエットに興味を引いています。

2番めのポーズは、怒ったコカトリスが威嚇している場面です。翼を高く上げて実際よりも大きく見せ、奇声を上げています。敵のコカトリスを威嚇するときは石化を避けるため、お互いに目を合わせません。代わりに、目を閉じたまま蹴り、噛みつき、頭突きで戦うため、角が摩耗しています。お気入りは胸部の乱れた羽です。前のデザインでは足が弱々しく見えたので、足首から垂れ下がった指を削除しました。