コンセプトアート「プリズンプラネット:エントランス(監獄惑星: 入り口)」のメイキング

はじめに

このチュートリアルの課題は、監獄惑星を舞台とする架空のゲーム世界の環境をデザインすることです。ここでは、惑星のメインエリアを確立するメインショットに焦点を当てます。このシーンは、以下すべてのコンセプトにおける色調、スタイル、方向性を設定するのに役立ちます。

刑務所を地下施設としてデザインすることに決めました。囚人たちは、その中で奥深くまで採掘します。地下にあるおかげで、構造全体は過酷な環境から保護されています。青の色調と調和した鋭い岩層は、緊張感や敵意を伝える効果があります。

このシーンには、非常に重要な役割があります。つまり、ゲームの全体的なコンセプトを提供するだけでなく、暗く陰気な刑務所のエントランス、入口が、素晴らしいイントロシーケンスの可能性を感じさせます。まさに地獄への転落です!

エスタブリッシング・ショット(状況設定ショット)では、シーンに動きの感覚をもちこめる、ダイナミックな角度から始めます。まず、3DCGアプリケーションでワイヤーフレーム表示のシリンダを作成します(図01)。ここでは、基本的なジオメトリを作成するだけです。後で上からペイントしていきます。このペイントを洗練して上手く仕上げるために、基礎となるパースがしっかりしていることを確認します。そうすれば、後で戻って修正る必要はありません。私の経験上では、完成度の高いペイントほど、必要な基礎の構造がしっかりしています。

図01: 3DCGアプリケーションでワイヤーフレーム表示のシリンダを作成します

色とボリュームの追加を始め、環境全体のコンセプトで追求するビジュアルの方向性を引き出しているかを確認します。コンセプト「監獄惑星」に相応しい様式や印象にするには、冷たく敵意のある環境を反映した色が不可欠です(図02)。

図02:冷たく敵意のある環境を反映した色が不可欠です

イメージ全体に渡り、色と明度の主な配分が決定するまで、ペイントを続けます。また、これまでに光の方向が組み込まれていることも重要です。ディテールの作業に入る前の初期段階で、すべての下塗りを行います(図03)。これにより、わかりやすい概観が示され、全体としての構図を検討することができます。私は、後の段階でディテールを描き込んでいくようにしています。

図03:ディテールの作業に入る前の初期段階で、すべての下塗りを行います

イメージがさらに洗練されるまで、このプロセスを続けます。前景の小さい構造物で下塗りを続け、背景の異星の風景をペイントしていきます(図04)。背景の曖昧さに保ち、ディテールを増やして強調しすぎないようにします。このようにして、見る人がコンセプトの焦点から注意をそらさないようにすることが重要です。

図04:背景の異星の風景をペイントしていきます

色相と彩度を調整して、より青っぽくすることにしました(図05)。これで、惑星の冷たく、ドラマチックな印象がさらに強まります。また、霧の中の特定の場所をペイントして、大気を遠くに押し出すと、イメージに奥行き感が広がります。刑務所の表面をさらに明確にして、イメージの仕上げを施します。光源がサーフェスに当たったときにできる反射の特性を考慮して、テクスチャのディテールをペイントします(図06)。

図05:色相と彩度を調整して、より青っぽくすることにしました

図06:テクスチャのディテールをペイントします

※このチュートリアルは、書籍『 Digital Painting Techniques 3 日本語版』にも収録されています (※書籍化のため一部変更あり)。


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp