レンダーファームを活用、自主制作アニメーション『Unseen Garden』のメイキング

03 Rainy Garden

作品のアイデアを思いついたのは、日本の梅雨である 6月のことでした。この時期は色とりどりのあじさいやたくさんのカタツムリが見られます。また、他の 2つの作品とは異なる種類の生き物を使用したかったので、このアイデアを採用しました。

▼ あじさいのモデリング

まず、少し形の違う花を 2セット作りました。クローンツールを使用して 約150個の花を配置し、丸みを帯びた形にまとめ、RandomPush apart で花の位置を調整しました。

すでに問題ないように見えますが、花がいくつか重なっていたので、リジッドボディタグをクローナーに追加し、フォース設定から、次にくる位置と回転パラメーターを 12に設定します。また、質量の設定をカスタム質量に設定し、パラメーターを 0 に変更して、花が垂れ下がらないようにしました。アニメーションを再生してみると、花が広がり、互いに交差することが少なくなりました。

花の位置が決まったら初期状態を設定して、リジッドボディタグを削除し、花がもう動かないようにします。

▼ カタツムリのモデリングとリギング

カタツムリは Blender でモデリングしました。Blender を使用した理由は、カタツムリをボックスモデリングではなくスカルプトしたかったからです。Blender には、ZBrush のダイナミックツールのように機能する優れたダイナミックリメッシュツールがあり、もちろん無料です!

カタツムリのモデルをスカルプトした後、Quad Remesher という素晴らしいプラグインを使用して、モデルのトポロジを変更しました。 Quad Remesher は有料のプラグインですが、無料のプラグインと比べると、とても優れたリトポロジツールです。私は特に、人型のモデルを作成するときは手動でモデルをリトポロジするのが好きなのですが、とても便利なツールなので多くの時間を節約でき、とてもお勧めです。スカルプティングは直感的にできるモデリングの方法であり、ボックスモデリングと比較すると、モデリング制作中でアイデアを試すことができます。

その後、カタツムリのモデルを Cinema 4D にインポートしました。 今後、Blender でリグとアニメーションをつける方法について学びたいと思っていますが、今はリギングとアニメーションには Cinema 4D を使用しています。

カタツムリのリグがついたバージョン

▼ アニメーション

最初に花と雨滴をアニメートしてから、それらに反応するカタツムリをアニメートしました。下の図は、雨の滴が葉の上に落ち、葉から滑り落ちる最初のアニマティックです。

雨の滴が葉の上に落ち、葉から滑り落ちる最初のアニマティック

水滴のアニメーションは、Squash & Stretch と FFD デフォーマを追加した単純な球体で作成しています。 次に、ポーズモーフタグを「FFD Deformer」に設定して、この球体を水滴の形から平らな水滴にモーフィングします。そして、これがアニマティックの最終版です。

アニマティックの最終版

▼ Garagefarm を使用してレンダリング

このシーンには透明な雨粒がたくさんあるため、私のローカルマシンではレンダリングに時間がかかります。そこで Garagefarm を使用し、264フレームすべてを約30分でレンダリングしました。このプロジェクトではビューティーパスをレンダリングし、色を修正してレンズフレアを追加しました。

ビューティーパスのレンダリング(左)/ 色を修正してレンズフレアを追加(右)

Garagefarm について

前述したとおり、レンダーファームを個人制作で初めて使用しましたが、使ってよかったと思っています。多くの時間を節約でき、料金も本当にリーズナブルでした。Garagefarm は本当に使いやすかったです。使い方のワークフローは Webサイトで詳しく説明されていて、サポートチームも迅速に対応してくれました。質問があったり、ヘルプが必要なときはいつでもチャットですぐに対応してくれました。

たとえば、レンダリングの結果にいくつか問題があった際、カスタマーサポートに助けを求めたところ、作業ファイルをすぐに確認して問題を修正してくれたので、レンダリングをすぐ再開できました。クライアントから依頼された仕事のみならず、個人制作でも Garagefarm をお勧めします。

また、Garagefarm で失敗なくレンダリングするためのアドバイスは、満足のいく結果が得られるまで、何度もテストレンダリングをすることです。ビューポートレンダリングを使用して、アニマティクスと静止画像をレンダリングできます。また、私は Redshift を使用して 1/4サイズのバージョンもレンダリングしてみました。そして、シミュレーション または クローナーを使用する場合、特にクローナーを使用してアニメートされたオブジェクトのサーフェスに複数のオブジェクトを配置する場合は、レンダリングの前に、必ずそれらをキャッシュしてください。

以上です! この記事楽しんでもらえて、また、制作のヒントになれば嬉しいです。この作品たちを作るのは本当に楽しかったですし、今後もこのシリーズをもっと作っていくつもりです。何か質問などありましたら、ソーシャルメディアからお気軽にお問い合わせください。

▼ Marina Nakagawa さんのサイト&インスタグラム
https://www.marinanakagawa.com
https://www.instagram.com/_marinanimation_/

 

 


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編集:3dtotal.jp