レンダーファームを活用、自主制作アニメーション『Unseen Garden』のメイキング

ロンドン在住の Marina Nakagawa氏 が、自主制作アニメーション『Unseen Garden』シリーズの制作過程、そして、レンダーファーム Garagefarm の活用方法を紹介します


Marina Nakagawa
モーションデザイナー / 3Dアーティスト|英国


はじめに

こんにちは。フリーランスでモーションデザイナー・3Dアーティストをしている Marina Nakagawa です。かわいいスタイルのキャラクターや楽しいアニメーションを作るのが大好きです。今回は、最近制作した自主制作のアニメーションシリーズ「Unseen Garden」の制作工程をご紹介したいと思います。また、このシリーズの制作で Garagefarm というレンダーファームを利用してみましたので、そのサービス内容と、それによって どれほど時間を節約できたかについてもお話ししたいと思います。

この作品について

「Unseen Garden」は、花と虫を題材にしたオリジナルの3Dアニメシリーズで、現在Superrare で販売中です。私たちの見ていないところで、ミツバチは仕事をするために甘い夢から目をさまし、カタツムリは宝石のように輝く水滴に魅了され、ホタルは花から光を充電します。 私たちが目にすることのない世界を造ることは、私が創作に対して傾けている情熱の1つでもあります。

ワークフロー

制作工程に入る前に、3Dキャラクターアニメーションのワークフローについて説明したいと思います。

現在非常に多くの3Dソフトウェアがあり、各ソフトウェアには長所と短所があります。私は主に Cinema 4D、スカルプトに ZBrush、テクスチャ作成に Substance 3D Painter を使っています。 また、Blender も少しずつ勉強中です。

まず、コンセプトデザインをスケッチしてから、キャラクターをモデリングします。モデリングには主に 2つの方法があります。「ボックスモデリング」「スカルプティング」です。

「ボックスモデリング」は従来のモデリング方法で、基本的には、立方体からモデルを作成してカットを追加し、ポリゴンを操作してキャラクターを作成します。 私はボックスモデリングには Cinema 4D を使用します。ディティールを追加する時は FBXファイルを ZBrush にエクスポートしてから、ディティールをスカルプトします。その後、ノーマルマップとディスプレイスメントマップを ZBrush から Cinema 4D にエクスポートし、テクスチャとして適用します。

もう 1つの工程は「スカルプティング」と呼ばれます。スカルプティングは新しい方法で、ダイナミックなリメッシュツールを備えたソフトウェアを使用します。ポリゴンの流れを気にせずに、粘土を形作るようにモデルを作成できます。直感的に作業できるのでとても楽しい工程ですが、スカルプトするモデルのメッシュは非常に密度が高いため、これらのモデルをそのままリグやアニメーションにすることはできません。これにはモデルをリトポロジする必要があります。つまり、リギングに適したトポロジの流れでポリゴンをシンプルにする工程です。私は Blender を使って リトポロジをしています。

あとはボックスモデリングと同様に、整ったポリゴンの流れでモデルを細分化し、スカルプトで作成したディテールを適用して、モデルとノーマルマップ/ディスプレイスメントマップをメインの3Dソフトに取り込みます。

モデリングが終わったら、Cinema 4D で UVマップを作成し、モデルを Substance 3D Painterにインポートして、テクスチャを作成します。 その後、Cinema 4D に戻し、テクスチャを適用してキャラクターにリグを付け、最後にアニメートしてレンダリングします。 これらの処理には Cinema 4D を使用しています。

キャラクター制作のワークフロー

スケッチ、インスピレーション、そして 計画

「Unseen Garden」の制作を始めたとき、1つの作品ごとに虫と花を1種類ずつ、ループし続けるアニメーション、環境音の使用など、自分がどういう風に作りたいかについて、とても大まかなアイデアを持っていました。その案をもとに、ミツバチとバラ、ホタルとスズラン、カタツムリとアジサイという、3つのアニメーションのアイデアを練りました。

初期のスケッチ