ZBrush、Substance Painter 使用、「マグニートー」のメイキング
ブラジルの 3Dキャラクターアーティスト Gabriel Dias Maia氏 が、ファンアート作品「マグニートー」の制作ワークフローを紹介します
はじめに
こんにちは! Gabriel Dias Maia です。ブラジルのベロオリゾンテ在住のフリーランス 3Dキャラクターアーティストです。これから、私の個人プロジェクト「Magneto Fan Art (マグニートー)」の制作ワークフローを通して、ブロックから最終レンダリングまで、3Dスカルプティングプロセスの概要を説明します。
01 リファレンスの収集
リファレンスの収集は、作業で最も重要なステップの 1つです。上手くライティングされた高解像度リファレンスを探してください。私も愛用する PureRef は、リファレンスをまとめるのに役立つ素晴らしいプログラムです。あなたにとって最もやりやすい方法で画像を整理できるでしょう。
Pure Ref でリファレンスを整理する
02 ブロッキング:キャラクターを大まかに作る
キャラクターの造形を始めましょう。このパートの主な目的は、ディテールを気にせず、できるだけ正しいシルエット維持しながら、適切なプロポーションとボリュームのキャラクターを構築することです。普段は球体から始め、ZBrush の[ダイナメッシュ]で正しい形やプロポーションに近づけていきます(常にシルエットに面白みを出すようにしてください。そうすれば、キャラクターが個性的になります)。
キャラクターのブロックアウト
03 キャラクターのポーズ
このステップは非常に重要なので、忍耐を持って取り組みます。キャラクターのシルエットに細心の注意を払い、できるだけたくましいボディにしましょう。[トランスポーズマスター]でマスクをかけ、[Move]ブラシで調整していき、強靭で魅力的なシルエットを見つけてください(ポーズの力学を補助するため、この段階で髪の毛を大まかに作成しています)。
ポージング
04 小物と衣装
キャラクターのボディに満足したところで、衣装や小物(プロップ)の制作に取り掛かります。スーツのモデリングでは、マスクをかけてショートカットの[Ctrl]+[W]キーでポリグループを作り、[Zリメッシャー]でメッシュを整え、作業しやすくします。小物も同じように作り、[Zmodeler]ブラシで厚みを出して、二次的なディテールを施します。ハードサーフェスのパーツの場合、[ジオメトリ]>[クリース(折り目)]>[PGクリース]を使います。これは、モデルに余分なエッジを加えなくても、エッジをくっきりさせることができるので重宝しています。
ブーツのメイキング
05 髪の毛
髪の毛は、キャラクターのシルエットに関わるとても重要なパーツです。私は、[CurveTubeSnap]ブラシで髪の毛の根元を大きくし、先を細くしています。常にポリグループで作業すれば、[MoveTopological]ブラシで髪の毛の位置を簡単に決められるでしょう。
最後にディテールです。私は、偉大な Rafa Souza氏 の作成した素晴らしいブラシを使いました。[Muscle_fibers]ブラシは、各毛束に素晴らしいカットを入れることができます。
毛束を作る
06 デシメートとUV
今回はリトポロジーを行わず、Marmoset Toolbag でモデルをレンダリングします(ZBrush のポリペイントでキャラクターにテクスチャを施し、[デシメーションマスター]で軽量化したモデルを Marmoset にインポートする)。このワークフローを実行するため、ZBrush の[UVマスター]でUVを作成します
ZBrush で UVを作成する
07 Substance Painter で AOを生成する
キャラクターの追加マップは、Substance Painter で作成しましょう。今回は、デシメートしたZBrushモデルをインポートし、[Bake Textures]でモデルのすべての部分から AO(アンビエントオクルージョン)を生成します。これにより、最終レンダリングでキャラクターのオブジェクト間の影がリアルになり、優れた結果になります。
AO(アンビエントオクルージョン)をベイクする
08 Marmoset にモデルをインポートし、マテリアルを作成する
デシメートしたモデルを Marmoset にインポートし、ZBrush と Substance Painter で生成したテクスチャマップを配置するマテリアルを作成します。私は、SSS(サブサーフェス スキャッタリング)と Fuzz(うぶ毛)の追加マップを作ってみました。SSS で身体のテクスチャを肌に近づけ、Fuzz で布のようなテクスチャにしました。
Marmoset のシーン
09 Marmoset Toolbag でライティングする
あとは レンダリングがより興味深くなるように、ライトを作成するだけです。まず、メインライトを3つ(オムニライトのキーライト、スポットライトのフィルライトとリムライト)作成します。次に、よりリアルでドラマチックなシーンを作るために、Marmoset の HDRI から 3つのディレクショナルライト、そしてコントラスト色のオムニライトを 2つ作成しました。これにより、モデルは平坦に見えず、追加のライトとリムライトが、視線をシルエットと関心のある領域に集中させます。
ライティング設定
10 最終レンダリング
すべての作業を終え、最終レンダリングを行うときが来ました。観客はこれらのイメージを見ることになるため、このステップは非常に重要です。キャラクターをより魅力的に見せる面白いカメラアングルでとらえましょう。また、被写界深度も利用して、奥行きを持たせてください。できるだけ最高の結果になるように、いくつかのイメージをキャプチャしておけば、興味深いアングルを探し出せるでしょう。
作業を楽しんでください。最後まで読んでくれてありがとうございます。
完成イメージ
※このチュートリアルで紹介した手順のいくつかは、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』の「エイリアンのスカルプト」でも詳しく解説されています。
▼ Gabriel Dias Maia氏 のインタビュー
将来、AAAタイトルに取り組むことを目標に:3Dキャラクターアーティスト Gabriel Dias Maia氏
編集部からのおすすめ:ZBrush による制作テクニックを学ぶには、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』 や 『ZBrush キャラクター&クリーチャー』をおすすめします。