はじめに

このチュートリアルは、リアルスタイルのプリレンダーキャラクター制作についての、リファレンス収集から最終ポーズ、レンダリングまでの簡単なガイドです。Maya と ZBrush を使ったモデリングとポージングのプロセスを紹介します。

01 リファレンス

リファレンス収集では、まず、海賊で最も重要なディテールを特定し、画像を分類していきます（ボディ・頭蓋骨の装飾・銃・パンツなど）。これらは、汚れ・キズ・色ムラなどのディテールを把握するのにも重要です。私は PureRef でたくさんのリファレンスを使用します。

Pureref を使えば、手早くすべての画像を 1ページに収め、元の解像度を維持することができます。あらゆるアングルで撮影された各アセットの写真を集め、グループ化しました。顔の場合、モデルや有名人など、ネット上に上下アングルの写真がたくさんある人物を選ぶとよいでしょう。

PureRef でリファレンスをまとめる

02 コンセプトアート

お気に入りの写真を選び、そこから キーリファレンスとして 1つのキャラクターを描き、「全体がどのように見えるか」を確認します。コンセプトアートを練り上げる作業には、時間をかけましょう。この重要なステップを踏めば、キャラクターのディテールまで事前に計画できるため、時間の節約になります。

絵を描くのが苦手ならフォトバッシングをオススメします。Photoshop にキャラクターの写真を配置し、［ゆがみ］ツールでその上に配置していくと、手早く簡単に行えるでしょう。

>> 参考記事：チュートリアル「写真素材を活用した描画テクニック：フォトバッシングによる武器のデザイン」

キャラクターのコンセプトアートとリファレンス

03 アナトミー (人体解剖学)

ベースボディを作ります。今回のようにキャラクターが服を着ていても、ボディのリファレンスなしで進めると、プロポーションがすぐにおかしくなります。そのため、ZBrush のデモメッシュから始めるとよいでしょう。プロポーションを大きく変えるときは［Zリメッシャー］でトポロジーを整えてから、ディテールをスカルプトします。その後、メッシュをMayaに読み込んで、衣装やプロップを作り始めます。

プロポーションを変更し、筋肉のディテールをスカルプトする

04 顔

顔にするメインのリファレンスの男性モデルを決め、さまざまなアングルの顔の写真をたくさん集めます。そして、これらの写真と ZBrush の［ウィンドウ透明度］機能を使って、ベースとなる形をスカルプトし、写真とモデルの位置を合わせます。モデルとリファレンスを比較するときは、パースペクティブ モードをオフにしてください。

ベースとなる形を作ったら、［Spray］ブラシで肌にほくろやランダムな凹凸をつけ、不完全な部分によって対称性を崩します。毛穴やひだの微細なディテールは、モデリングする代わりにテクスチャで表現しています。そして、髪の生え際や顔がわかりやすくなるように、［ファイバーメッシュ］で手早く髪と髭を作りました（目安）。［ファイバーメッシュ］は、ZBrush で手早く髪をブロックアウトするのに最適なツールですが、Maya のレンダリングやゲームモデルの作成には役立ちません。

顔にディテールを加える

05 衣装

このキャラクターの衣装は Maya で作り、しわは ZBrush でスカルプトしています（※Marvelous Designer も衣装制作の優れた選択肢の1つです）。服の縫い目はディテールを見せる上で重要なので、細心の注意を払ってください。より正確に縫い目のアルファを配置したいなら、［レイジーマウス］をオンにするのがコツです。シワについては、それぞれの生地の違いや厚みを考えてスカルプトします。

また、ベルトのバックルなどのプロップで服が締め付けられている場合、タイトなしわと緩いしわになるため、リファレンスを見ながら集中して作業してください。

アルファと［レイジーマウス］を使った縫い目の作成