ZBrushのBPRレンダー使用 『Goddess -女神』のメイキング
3Dキャラクターアーティスト&デジタルスカルプター Vahid Ahmadi氏による作品メイキングです。衣装と肌のレンダリングワークフローを紹介します(ZBrush使用)
このメイキングでは ZBrush の BPRレンダーを使った 衣装と肌のレンダリングプロセスを簡単に説明します(※モデリングについては触れません)。
ステップ01:準備と考察
今回は コンセプトとして、韓国の才能豊かなイラストレーター Daeho Cha氏の作品を選びました。そして、モデリングの前に、関連する画像やリファレンス、アナトミー(解剖学)・顔・マンガ・ピンナップポーズに関連する画像を探しました。それらをムードボードにまとめ、プロジェクト完成のためのメモとしました。また、各パートをそれぞれ研究して、その作成方法と上手い組み合わせ方を考えました。
コンセプト(制作:Daeho Cha氏)
ムードボード
ステップ02:肌のレンダリング
ZBrush の SSS(サブサーフェス スキャタリング)を使用するには、[Light]パネルの[Light Properties]で[Sss]ボタンを選択します。そして[Render Properties]の[Sss]ボタンを選択します。メインライトを動かし、ライトを追加、それらを使って、さまざまな結果を試してみましょう(※[BPR Shadow]設定は図を参照)。この設定によって素晴らしい結果を得ました。次に[Render]メニュー >[BPR RenderPass]でパスを選択、Photoshop にエクスポートしてまとめます。
ZBrushで 肌のSSSを作る方法1
[BPR Filters]を使って SSS風のルックを作る 他の方法も紹介しましょう。そのためには、ターゲットサブツールをソロにして、先ほどと同じように[Light]パネルの[Light Properties]の[Sss]ボタンを選択、[Render Properties]の[Sss]ボタンをオンにしてレンダリングします。SSSの効果を確認するには[BPR Filters]の1つめの円をクリック、フィルタをペイントモードにして、色を赤(※または必要な色に)変更します。[Mask]と[Sss]値を 1 に増やし、[Fresnel]と[radius]値を調整して見栄え良くしましょう。
ZBrushで 肌のSSSを作る方法2
ステップ03:衣装のレンダリング
衣装をレンダリングするために、ライトの球体アイコン上の小さな点をクリックしてリムライトを設定、後ろから照らします。次に、[BasicMaterial]の[diffuse]と[ambient]値を 0 に設定、[specular]と[SpecularCurve]を操作して ソフトな減衰とシャドウを作成します。レンダリングプロセスを高速化するため、[render properties]>[shadows]ボタンをオフにして レンダリングします。また、衣装とボディ間の縁のシャープなリムパスとソフトなリムパスを作成、それらを Photoshop で組み合わせてもよいでしょう。
衣装のレンダリング1
ステップ04:衣装のスペキュラの作成
衣装の反射を見映え良くするため、再び[diffuse]と[ambient]を 0 に設定した[BasicMaterial]を適用、[specular]と[SpecularCurve]を調整して滑らかなルックにします。シーン内のライトを移動させて、Photoshop の合成素材としてレンダリングします。
衣装のレンダリング2
ステップ05:IDパスの作成
[Flat Color]マテリアルで簡単にクラウンパスを作成できます。まず[Mrgb]をオンにして、異なる色で各サブツールを塗りつぶしましょう。あるいは、1度、サブツールをまとめてマージし、好みの色の[Flat Color]マテリアルで、[Color]>[FillObject]を適用、[draw polyframe]をオフ、[Render]>[Render Properties]>[Shadows]をオフにしてレンダリングします。モデルのさまざまな部分を完全にコントロールしたいなら、クラウンパスが必要不可欠です。
フラットマテリアル
ステップ06:金(ゴールド)の表現
ZBrush で金のマテリアルを作るのは簡単です。[s1]と[s2]の円をオンにした Double Shader を用意、[Material]>[Modifiers]>[Metallicity]を 95 に。そして[Specular]値を増やします。さらに[ambient]と[Specular]の色を変えて、[Env.Reflection][Reflection Exposure][Reflection Gamma]の値を試し、[s1]を[s2]にコピーします。
金のマテリアルの作成
ステップ07:Photoshop の使用
作成したIDパスを Photoshop に読み込み、[自動選択ツール]でさまざまな領域を選択、選択範囲に名前をつけ、保存しましょう。これらは、後でパーツを分離するときに使用します。
ZBrushで作成した IDパスを読み込み、名前をつけて 選択範囲を保存
ステップ08:コンポジット
レンダリングが完了したらコンポジット(合成)を始めます。レンダリング結果が気に入らなければ、ZBrushに戻り、再レンダリングしてもよいでしょう。Photoshop でレイヤーを[ソフトライト][覆い焼きカラー][スクリーン][比較(明)]に変更して好みのルックを探り、[レベル補正][明るさ・コントラスト]などを試して、イメージを仕上げます。
レンダリングしたパスを Photoshop でコンポジットする
最終イメージ