モデリングからライティングまで。3Dキャラクター『Dude』のメイキング

ブリザードの 3Dアーティスト Victor Ruiz Santacruz が、スタイライズされた 若者の3Dキャラクター『Dude』のメイキングを紹介します


Victor Ruiz Santacruz
アソシエイト プリンシパル アーティスト(Blizzard)


はじめに

このメイキングでは「3Dキャラクターができるまでの全過程」を簡単に紹介します。モデリングには ZBrush、テクスチャリングには Substance 3D Painter、グルーミングとレンダリングには Maya を使います。本作は 素晴らしいアーティスト、Cameron Markスケッチ/デザイン をベースにしています。

01 モデリング

私はいつも、主なボリュームとプロポーションを把握するために、シンプルなブロッキングから始めます。たとえ プレースホルダー(仮)の球体であっても、すべての要素が揃っていることが重要です。

続けて ディテールを追加、目指している状態に近づくまでポリッシュします。この時点で、ヘアはジオメトリにするつもりでしたが、最終的に MayaXGen で作成することにしました。次のステップで見るように、ガイドを作成する際にジオメトリがあるとかなり便利です。

モデリングプロセス

使用したブラシ

02 XGen とメインガイドの作成

Maya に移り、ZBrush で作成したヘアを使って、XGen用のメインガイドを生成します(※「チューブ グルーム(Tube Groom)を使用してヘアスタイルを作成する」参照)。そのためには まず、チューブベースのグルーミングツールを使えるようにするために、ヘアチューブの端を削除し、中空とします。そうすれば、簡単にガイドを取得し、主要なヘアを生成することができます。

チューブベースのグルーミング

03 モディファイアでランダムに見せる

ヘアスタイルができあがった時点では、きれいに整った仕上がりになっています。そこで、XGen のモディファイアを使い、ヘアに毛束やノイズを加えて、リアルな雰囲気を出してみましょう。[クランプ]モディファイア、[カット]モディファイア(髪の長さを変えるため)、最後に[ノイズ]モディファイアを加えて、ランダムに見せています。

XGen モディファイア

04 眉毛を加える

次に追加するのはキャラクターの眉毛です。まず、マスクをペイントする代わりに、頭皮のジオメトリを使い、そこからヘアを生成。眉毛のガイドは手動で配置し、グルーミングします。また、より自然なルックにするため、少し[ノイズ]モディファイアを加えています。

眉毛のガイドは手動で配置します

05 追加ディテール

野球帽やパーカーの内側など、モデルのいくつかの部分にディテールを加えるため、XGen でさらに2つのディスクリプションを作成。ただし、今回はガイドをチューブや手動で生成する代わりに[グルーム可能なスプライン]を使います。毛の密度と[コイル]や[ノイズ]のようなモディファイアを使い、簡単に追加のディテールを作成することができました。

グルーム可能なスプラインでディテールを追加する

06 グルーミングはすべて完了!

すべてのステップを終えて、ヘアの仕上がりに満足しました。この時点ではまだ既定の XGenシェーダを使っていますが、後で ArnoldaiStandardHair に変更します。では、次のステップに進み、テクスチャリングの準備を始めましょう。

ヘアの設定は完了です!

07 UVマッピング

UV展開には、Maya[3DカットとUV縫合ツール]を使います。今回、初めて使用しましたが、想定よりも短い時間でキャラクターのすべての要素を展開することができました。

UVマッピング

08 テクスチャリング

すべてのオブジェクトの UVマッピングを終えたら、Substance 3D Painter に切り替え、テクスチャの作成に取り掛かります。オブジェクトごとにテクスチャリングを行い、Arnold で使用する拡散、メタルネス、ラフネス、そしてディスプレイスメントマップを生成します。テクスチャのディテールはあまり求めず、基本的には単純な色を使い、ディテールはハイトマップやラフネスマップから追加することを考えていました。

Substance 3D Painter でテクスチャリング

09 シェーディング

すべてのテクスチャの準備ができたので、次はマテリアルの作成にとりかかりましょう。レンダリングは Arnold で進めるため、ヘアには aiStandardHair シェーダを使い、それ以外は aiStandardSurface シェーダを使います。この時点で、シーンには HDRI環境が設定されており、簡単なレンダリングでシェーディングを確認します。一部のマップに関しては、Substance 3D Painter に戻って少し調整しています。

Arnold のシェーディング

10 ライティング セットアップ その1

ライティング セットアップはいくつか考えていました。最初の設定は非常に単純で、まず、キーライトをシーンに配置、必要に応じて フィルライトやリムライトを追加します。具体的には、方向性のあるキーライト、髪に少しリムライトを与えるバックライト、そして、影を照らすためにHDRI環境 を使用。この作業中も、いくつかのマテリアル(特にヘアと肌)の調整は続けます。

ライティング セットアップ その1

11 ライティング セットアップ その2

2つめのセットアップでは、キャラクターがクラブにいるか、ネオンライトに囲まれているような夜のシーンにすることを考えていました。前のセットアップとの大きな違いは、クラブの雰囲気を出すために「フォグ」を使用した点です。前のセットアップと同じように、色の異なる 4つのエリアライトを使い、キーライトと残りのライトを配置していきます。

でき上がりました! これが最後のステップとなり、レンダリングは完了です。本制作で指導してくれた Jonatan Catalan に感謝します。

Mayaで雰囲気のボリュームを追加

ライティング セットアップ その2

 


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編集:3dtotal.jp