フォトリアルなCG「アインシュタインの3Dポートレート」のメイキング
ドイツ LotusArt の CGジェネラリスト Alexander Beim氏 が、ノーベル物理学賞 受賞者、現代物理学の父、アルベルト・アインシュタインを CG化した作品「アインシュタインの3Dポートレート」のメイキングを紹介します(ZBrush、Maya 等使用)
はじめに
アルベルト・アインシュタイン のホログラム用3Dモデル と そのアニメーションを完成させた後、私は、その手順を共有したいと考えました。しかし、ホログラムの品質は低く、モデルのディテールの状態も良くないので、有名なインターネットギャラリーで展示するのにふさわしくないと考えました。そこで、このモデルを改善して 完璧にするため、余暇を費やすことにしました。急ぐことなく 一定の結果を達成して、自分のレベルを高めたかったのです。
試行錯誤しましたが、それらの多くは上手くいきませんでした。予想どおり、知識や技術が欠けていたのです。そこで Arnold でのスキン作成に関する多くのレッスンを再確認しました。結局、技術的に新しい手法は思いつかず、標準のパスで進めることになりましたが、愛と情熱を作品に注ぎました。
リファレンス写真の収集
まず、アルベルト・アインシュタインの写真を集めることから始めました。残念ながら それほど多くはなく、品質もまあまあの白黒写真ばかりでした。ある特定のアングルから撮られた写真も少なかったので、あまり品質の良くないビデオ素材もチェックしました。最終的に、アインシュタインの顔の形状と そのイメージが 私の潜在意識に浸透するまで、リファレンスをじっくり観察しました。
リファレンス
正面図と側面図
見つけた写真を基に、顔・目のライン・口・鼻の基本プロポーションがわかる正面図と側面図を作成しました。その後、ZBrush で透明度を使い、自分のモデルを元の写真と比較しました。
大まかな形状の成形
アニメーション用の正しいトポロジーで基本モデルの頭部を作成、直感的に作業を始めました。ここに示す すべての段階は、明確に決まっているわけではありません。「ある段階をスケッチして 次の段階に進み、その後、前の状態に戻る」といった具合です。
頭部の形を大まかに理解してからスカルプトを始めました。作品と写真を常に比較しながら、アインシュタインの顔のラインとフォームを徐々に理解していきます。後でアニメーションを作成するため、最初は 頭部を完璧にしません。ライティング、マテリアル、テクスチャ、さらに、アニメーションによって、顔立ちはまったく別物に見えるようになります。そのときになって はじめて、グレーモデルでは目立たなかったエラーを発見できるのです。リグとアニメーションの準備ができたら、修正用のブレンドシェイプも作成します
大まかな形状
UV
特別なことはしていません。UV座標は Maya で作成、UDIMメソッドで、頭部全体を 3つの大きな断片に分割しました。最も重要な部分である「顔」は、フルサイズの 1パーツです(図左)。首や耳など重要度の低い部位は別にします(図中央)。頭皮の上部は見えないので、UV のサイズを縮小し、他の部位のために場所を確保しておきます(図右)。
UV(顔/ 首や耳 /頭皮)
しわ や 毛穴
今回は特定の人物を作成することが目的なので、ただのしわだけでなく、アインシュタインの顔のしわもできるだけ再現しようと思いました。まず、モデルの滑らかな面に ZBrush のポリペイントで描きます([HDジオメトリ]を使わなかったことを後悔しました。このモデルの サブディビジョンレベルは 8 です)。溝には[DamStandard]ブラシを使い、フォームをすばやく作成するために[ClayBuildup]ブラシと[Inflate]ブラシを使いました。しわ用のより大きなレイヤーもあります。小さな毛穴用に別レイヤーを作成し、まぶたに細かいしわを簡単に作れるように、目を閉じているレイヤーも用意しました。また、レンダリング用の最終ポーズレイヤーも作成しています。アルファは自作したものと既定のものを用いています。
大きなしわ
細かいしわ、毛穴
フォームの修正
最終ポーズ