2Dのコンセプトから 3Dイメージまで。Blender 使用、SFシーン『Colony』のメイキング Part2
Samantha Kung 氏 が、初期アイデアのブレインストーミング から モデリングまで、SFシーンのデザインプロセスについて語ります(全3回の2)

はじめに
この Part2 では、前回の Part1 から引き続き「形態(フォーム)は機能に従う」という理論を軸に、2Dコンセプトから最終3Dデザインまでの制作プロセスを解説します。Blender での構図検討やプロップの統合、Photoshop による最終的なシーン構築まで、コンセプトアートのワークフローを順を追って紐解いていきましょう。
>>> Part1 は こちら
最終イメージ:さまざまな プロップが どのように統合されているか を示しています
01 リファレンスを探す
今回作成するのは「宇宙ステーション」です。構造物に厚みを持たせ、70機以上のスペースクラフト(小型機)を収容できるボリュームをデザインしたいと考えました。そのために参考にしたのが「航空母艦」です。多数の航空機を搭載・発着艦させながら、高い防御力と安定性を備えた堅固な構造を分析することで、宇宙ステーション設計のヒントを得ました。
リファレンスを探して、構造を理解する
02 注釈付きスケッチの作成
まず、ラフスケッチでアイデアを整理します。最初の構想は2層構造で、ボリュームを出すためにハンガー(ドッキングベイ)を追加。視線を集めるメインエリア(主要区画)を中央に配置しました。ステーションのデザインを機能的に見せるために、ソーラーアレイ(発電用)、非常用発電機、出入口、照明、エレベーター、貨物用ハッチ、格納庫といった要素も書き込んでいます。
注釈付きでアイデアをスケッチする
03 Blender でブロックアウト
ブレインストーミングが終わったら、Blender で形のブロックアウトを開始し、全体の高さとプロポーションを調整します。このモデルは左右非対称なため、あらゆる角度からの見え方を常に意識する必要がありました。新しいジオメトリを追加するたびに「大・中・小」のサイズの組み合わせを意識し、単調な繰り返しを避けることで、メリハリのあるシルエットを目指しています。
Blender で主要な形をブロックアウトする
04 ディテールの洗練
Part1 と同様に、Blender アドオン Hard Ops / Boxcutter を使って モデルを仕上げていきます。航空母艦のような厚みのある構造的ディテールをベースに、SFらしい要素を加えるのが今回のコンセプトです。下書きスケッチがラフだったため、デザインの多くは3D上で直接詰めていきました。プロップを組み合わせ、向きや配置を変えながら複雑な形状を構成。ハンガーを複製して異なるサイズにスケールすることでボリューム感を出しつつ、単調さを防いでいます。
クローズアップを含む最終コンセプトの3つのビュー
05 宇宙ステーションの最初の構図
モデリングが完了したら、シンプルなマテリアル(テクスチャ)を適用し、[放射]の強さを30に設定します。Eeveeレンダーエンジンでライトを美しく表現するため、レンダープロパティで[ブルーム]を有効にします。次にカメラをセットアップして好みのアングルを決め、次の工程で背景から宇宙ステーションを切り抜きやすくするために「オブジェクトID」パスも合わせてレンダリングしておきます。
Photoshopでベースをセットアップする
06 背景の追加
「オブジェクトID」パスを使って宇宙ステーションを切り抜いたら Blenderアドオン(Pro-Lighting:Skies)でシーンに合う宇宙背景を選びます。背景を適切な角度に回転させて位置を調整した後、Photoshop に移ります。ここでは背景がシャープすぎたため、ソフトテクスチャブラシで周囲に霧をかけてなじませ、[カラールックアップ]で全体の色調を統一して仕上げました。
背景を選択し、ブラシで調整する
07 Photoshop のクリッピングマスク
シーンに地球を配置すると、宇宙空間に存在しているように見え、ストーリーテリングが向上します。まず、ベタ塗りのシェイプを挿入します。次に、地球のテクスチャを検索し、クリッピングマスクでシェイプにクリップします。最後に、上からペイントオーバーして影を追加、不要なディテールをぼかして整えます。ハイライトを追加する際は、最終的な仕上がりに応じて描画モードを「ハードライト」「ソフトライト」「オーバーレイ」に設定します。
クリップマスクを使って さらにディテールを加える
08 宇宙ステーションの2番目の構図
複数の構図に取り組むことで、最終イラストに向けた新たなアイデアが生まれ、Part3(※近日公開予定)で制作するシーンのベストアングルを見つけやすくなります。手順は ステップ06 と同様、(Pro-Lighting:Skies)で宇宙背景を選択し、適用します。下部の緑色のライトは気に入りましたが、ライティング全体にはまだ調整の必要な箇所が残っています。
シーンに合った背景を追加する
09 焦点をつくる
背景に星が多すぎると焦点が定まらないため、大きめのソフトブラシで周囲を暗くし、主要な構造に視線を集めます。さらに左上に紫色のライトをわずかに加えることで、自然と宇宙ステーションへ目が引き寄せられるようにしています。
不要な要素をぼかして、視線を焦点に合わせる
10 カラールックアップ調整
全体的にハイライトが少なく地味な印象だったため、[カラールックアップ]で色調を調整します。このツールは予想外の効果が得られることも多いので、直感的に試してみるのがお勧めです。特定のエリアだけに効果をかけたい場合は、ソフトブラシでマスクを優しくペイントして、色の出方をコントロールしましょう。
2番目の構図の最終イメージ
プロのヒント:最初のアイデアにこだわらない
良いアイデアが出るまでには時間がかかります。頭を温めるつもりで、とにかくたくさんスケッチを描いてみましょう。
>>> Part1 は こちら
※ Part3 は近日公開予定です
関連リンク
• Blenderアドオン(Hard Ops & Boxcutter)
• Blenderアドオン(Pro-Lighting:Skies)
• 【チュートリアル】マットペイント:『Night -サムライの復讐』のメイキング
• 【インタビュー】建築デザインの知識を基に:コンセプトアーティスト Samantha Kung氏
編集部からのおすすめ: 「マジック:ザ・ギャザリング」や「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などのイラストレーター グレッグ・ルトコフスキ をはじめ、著名アーティストたちが、アートの必須知識、「構図」や「ナラティブ」の理論と実践を徹底解剖します! 書籍『構図とナラティブ:絵にストーリーを語らせる秘訣』























