ZBrush 使用、「オラフ伯爵」のメイキング(『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』より)
エジプトの Khaled Ibrahim氏 が、Netflixドラマ『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』を題材にした「オラフ伯爵」の制作プロセスを説明します
はじめに
こんにちは、エジプト出身の3Dキャラクターアーティスト Khaled Ibrahimです。今回のメイキングでは、Netflixドラマ『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』を題材にしたプロジェクト「オラフ伯爵」のメイキングを紹介します。
Arnold で最終レンダリング、Photoshop でポストエフェクト
01 リファレンス
インターネットから多くの画像を集めたり、『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』のスクリーンショットを見たりして、キャラクターや雰囲気をつかみました。これらの情報は、最終イメージのカラーグレーディングにも使用します。作業中は、便利なソフトウェア PureRef でリファレンスをタイル状に表示し、いつでも拡大してディテールを確認できるようにします。
「オラフ伯爵」に関連するアナトミーのリファレンス、そして、その他のアートワーク
02 主なフォームを大まかに作る
ZBrush で胸像の主要なフォームをブロッキングします。このキャラクターはスーツを着ているので、ボディを2つのメッシュに分けて作成し、ポリゴン数を管理しました。モデルはダイナメッシュの球から開始し、メッシュをリトポロジしています。
頭部の初期ブロッキング
03 ディテールをスカルプトし、モデルのポーズをつける
主要なフォームを確立したら、より細かいフォームをスカルプトします。そして時々、大きなフォームを修正します(ZBrush で体のパーツをマスクして、回転させながらポーズをとります)。この往復で、解剖学やフォームをより洗練させていきます。ポーズをつけたら、すべてがシンメトリ(左右対称)にならないようにスカルプトします。この作業はとても大変で、中でも難しいのは、オラフ伯爵の特徴である「悪意」を感じさせることでした。
最終ポーズとフォーム
04 ディテールや毛穴の追加、ハンドペイント、目の追加
ここまでの作業に満足したら、次は[HDモード]でさらにポリカウントを上げて、毛穴やシワなどを加えていきます。この頭部の頂点数は、約1億1,000万です。肌のディテールは、ZBrush でアルファを使い手動でスカルプトします。まず、毛穴のレイヤーから始めて、その上をスカルプトし、不完全な部分を作ります。私は、Kris Costa氏のワークフローを参考に、適用しました。
毛穴
それらのディテールをレイヤーで整理したら、目を作ります(角膜、虹彩、瞳孔、眼輪筋を別々のジオメトリに分けます)。同時に、ディフューズマップを取得するため、Substance 3D Painter でモデルのポリペイントを始めます。私は時々モデルをエクスポートして、Arnold(Maya)のレンダリング結果でどのように見えるかを確認しています。
目(角膜、虹彩、瞳孔、眼輪筋)
05 テクスチャ ペイント
フォームを動かし、修正を続けながら、完成イメージに近づけていきます。まず、肌のベースカラーをペイントし、色が平坦にならないように赤、黄、青を加えて、ディテールを重ねていきます。レンダリング結果を見れば、どこをどう改善すればいいのかがわかるので、レンダーで合成するためのディスプレイスメント ディテールを追加します。この段階で、衣装のテクスチャも追加します。
肌のテクスチャ
衣装のテクスチャ