ディスニーの『ヘラクレス』インスパイア、『冥界の王 ハデス』のメイキング

エジプトの Khaled Ibrahim氏 が、ディズニー映画『ヘラクレス』にインスパイアされたキャラクター、「冥界の王 ハデス」の制作ワークフローを紹介します


Khaled Ibrahim
キャラクターアーティスト|エジプト


はじめに

こんにちは。エジプト出身の 3Dキャラクターアーティスト Khaled Ibrahimです。この記事では、ディズニー映画『ヘラクレス』を基にした プロジェクト「冥界の王 ハデス (Hades the king of the underworld)」のメイキングを紹介します。

 

Arnold で最終レンダリング、Photoshop でポストエフェクト

01 リファレンス

インターネットから多くの画像を集めたり、ディズニー映画『ヘラクレス』のスクリーンショットを見たりして、キャラクターや映画全体の雰囲気をつかみました。これらの情報は、最終イメージのカラーグレーディングにも使用します。手はダイナミックなポーズなので、さまざまな人物やアングルから、同じような手のポーズの写真を集めました。こうして、そのポーズや皮膚の変形に関する解剖学の疑問を解消していきました。作業中は、便利なソフトウェア PureRef でリファレンスをタイル表示し、いつでも拡大してディテールを確認できるようにします。

 

映画『ヘラクレス』関連とアナトミーのリファレンス、そして、その他のアートワーク

 

★ヘラクレス - 予告編(1分41秒)

02 主なフォームを大まかに作る

ZBrush ではまず、胸像の主要なフォームを「A」ポーズでブロッキングします。このキャラクターはシャツを着ているので、ボディを2つのメッシュに分けて作成し、ポリゴン数を管理しました。モデルはダイナメッシュの球から開始し、メッシュをリトポロジしています。

 

頭部の初期ブロッキング

03 モデルのポーズを決め、ディテールをスカルプト

主要なフォームを確立したら、ZBrush で体の各部位をマスクし、回転させてポーズをとらせます。ポーズができたら、すべて非対称にスカルプトしていきます。これは、とても時間のかかるプロセスです。私は、より詳細なフォームをスカルプトしたり、全身で作業したり、大きなフォームを修正したりしました。

こうして一進一退を繰り返すうちに、解剖学や形態学、そしてフォームをより正確に理解することができました。全体的に非常に難易度が高く、中でも苦労したのは、冥界を特徴づける邪悪でスマートな印象と、奇妙な手のポーズを表現することでした。

 

最終ポーズとフォーム

04 ディテールや毛穴の追加、手のペイント

ここまでの作業に満足したら、ZBrush のサブディビジョン レベルを最高にして、毛穴やシワなどを追加していきます。これらのディテールは、TexturingXYZ のアルファと組み合わせ、レイヤーに分けて整理しながら、すべて手作業でスカルプトします。同時に、ディフューズマップを取得するため、Substance 3D Painter でモデルを手作業でポリペイントします。私は時々、モデルをエクスポートして、Arnold(Maya)のレンダリング結果でどのように見えるかを確認しています。

 

皮膚の毛穴

レイヤーで分ける

05 テクスチャ ペイント

フォームを動かし、修正を続けながら、完成イメージに近づけていきます。レンダリング結果を見れば、どこをどう改善すればいいのかがわかるので、ZBrush のポリペイントでディテールをさらに追加したり、レンダーで合成するためのディスプレイスメント ディテールを追加したりします。この段階で、衣装にもテクスチャを追加します。

 

肌のテクスチャ

衣装のテクスチャ