コンセプトアート入門:コンセプトアートの 主なツール
コンセプトアーティスト Jan Urschel が、コンセプトアートの仕事に役立つ 主なツールについて 解説します

はじめに
コンセプトアーティストが働く各業界(そして業界の各スタジオ)で使われる機器はさまざまですが、慣れておくと役立つ共通のプロのツールがいくつかあります。これらのツールに関する知識があれば、適切なポートフォリオを作成し、スタジオに対して魅力的な応募者になれるでしょう。新しい手段を試すことは、個人制作でも新しいテクニックの開発や作業プロセスの高速化に役立ちます。
01 Mac と Windows
コンセプトアーティストの仕事において Mac と Windows のどちらが最適なのか、今日に至るまで多くの議論が交わされています。両方とも安定的な制作環境が提供されているため、どちらのオペレーティングシステムを使用するかは重要ではありません。それよりも、あなたが欲しいハードウェアの種類と、コンピュータの修理に対処する覚悟の度合いに応じてシステムを選択するべきです。
一般的に Mac の方が高価なオプションですが、機械に対して良いサービスが受けられます。一方、Windows は簡単にアップグレードできますが、注意事項として自分でメンテナンスを行わなければいけません。最終的に重要なのは、具体的なコンピュータの種類ではなく、システムの使い方です。
02 ペンタブレット
ペンタブレットはコンセプトアーティストが最もよく使用するツールです。これはドローイングやペインティングだけでなく、OS の操作全般や 3Dソフトウェアなど、他のアプリケーションでも直感的な入力方法を提供します。
専門的なペンタブレットに関して、ワコムは何年にもわたってトップブランドの地位を維持してきました。プロ向け(Intuos)やアマチュア向け(Bamboo)の主要モデルのペンタブレットに対して、定期的にアップデートをリリースし、紙に描いた絵をデジタルファイルに取り込む機能などの特長を通じて、製品のイノベーションを続けています。ワコムよりも安価な選択肢として、Ugee、XP-Pen、Huion などのタブレットメーカーもありますが、それほど広く使用されていません。どのモデルを選択するにしても、ペンタブレットは強く推奨されるツールです。
03 液晶タブレット
入力デバイスとしていつも机の上に置いてあるペンタブレットの他にも、ペンのテクノロジーを画面上に取り込むタブレットはいろいろあります。最も有名なのは、ワコムの Cintiq シリーズです。これにはさまざまなサイズがあり、アーティストにとって Intuos シリーズに代わる選択肢となりますが、必ずしもこちらの方が優れているわけではありません。ペンタブレットと液晶タブレットのどちらが作業しやすいかは、そのアーティストの好みによるところが大きいでしょう。どちらも非常に高価なので、購入する前にしっかりと触れて試してみることが大事です。
持ち運び可能なタブレットを探しているアーティストには、ワコムの MobileStudio Pro シリーズや Apple の iPad Pro があります。いずれも素晴らしいソリューションを提供するので、個人的な必要条件や好みに合わせて選択してください。
ワコムの液晶タブレット Cintiq を使用しているキャラクターデザイナー Simone Grunewald 氏
04 カメラ
デジタルカメラは旅行中のみならず、日常的な場面でもリファレンスの撮影に使用できるため、コンセプトアーティストにとって最も重要なツールの1つです。ひらめきは時間や場所を選ばないため、その瞬間をとらえるためのものを常に携帯するとよいでしょう。また、キャラクターデザイン用に自分や友人の簡単なポーズを撮る、あるいはペインティングで使用するテクスチャを撮るのにも役立ちます。
リファレンスイメージの撮影なら、カメラメーカーは重要ではありません。スマートフォンのカメラやデジタル一眼レフカメラ、あるいはその中間的なものでもかまいません。最良のカメラは、あなたが今持っているものです。
05 伝統的なツール
今日のあらゆる技術的進歩の中で、コンセプトアーティストにとって最も重要なツールである「脳」を忘れてはいけません。脳とアイデアの表現を結ぶ最もシンプルで最短のラインは「ペンと紙」です。自分の代わりに、高度なテクノロジーに思考を頼り過ぎるのは危険です。単純なツールを使って、常に自分のコンセプトやアイデアを表現できなければいけません。
多くのアーティストは特定ブランドのスケッチブックやペンを推奨しています。こういったアーティストは、たいてい長時間の実験や試行錯誤を経て、それらの好みにたどり着いています。しかし、上手に描くことや素晴らしいアイデアのひらめきに、特別なツールは必須ではありません。デジタルカメラと同様に、最適なドローイングツールはあなたが今持っているものです。
※本チュートリアルは、書籍『コンセプトアーティストになるために知っておきたいこと』からの抜粋です
編集部からのおすすめ: 色、構図、遠近法.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』をおすすめします。