30分で描くスピードペインティング「SF:移動式ラボ」
コンセプトアーティスト/イラストレーター Sung Choi氏 が、SFの世界を短時間で作成するプロセスを紹介します
はじめに
このチュートリアルでは、SFの世界を短時間で作成するプロセスを紹介します。これは別の作品のベースにもなります。作業時間が限られているので簡単になっています。いつもどおり シンプルな 2色のスケッチから始め、良い構図とライティングを見つけましょう。
30分を有効活用するために、白黒の2色と必要最低限のテクスチャのみ使用します。これで、他の色やテクスチャについてあれこれ考える必要がなくなり、時間を節約できるでしょう。主にグラデーションとコントラストを最大限に活用し、作品の雰囲気を作り上げます。
01 アイデアのスケッチ
頭に浮かんでいるアイデアをざっと描いてみましょう。シンプルな線で数分間スケッチします。実際に主な要素を配置して、この場面で起こっていることを表現すると良いでしょう。私は酸に浸食された大地の岩の上に、「移動式ラボ」が止まっている自然環境を描きました。
図01:クイックスケッチを作成して、あらゆる可能性を探ります
02 大まかな形状
スケッチが終わったら、新規レイヤーに大まかな形状を作成。こうしてレイヤーを整理し、シーンをシンプルな明暗の組み合わせとして示します。図02のように、作成した全体の構図はシンプルで、ラボだけが目を引くような形状になっています。意図的に、後景の山のシルエットの線をラボに向けて 下がるように引きました。
図02:別レイヤーで形状の輪郭を大まかに形成し、構図を構成します
03 明度
明度を下げて暗くすると、絵がもっとシンプルになります。ベースレイヤーの上に光の形状を少し加えて、空から降り注ぐ一条の光を再現しましょう。その他の領域を暗くして、シーンに不気味な雰囲気を設定します。
続けて、ベースレイヤーの上に新規レイヤーを配置、すべての光の形状をペイントしましょう。後でクリッピングマスクを使えば、シルエットの輪郭からはみ出すことなくペイントできます。
図03:明度を低くしてシーンの陰影を深め、不気味さを引き立たせます
04 グラデーション
光の形状をペイントしたら、グラデーションを少し加えてイメージをもっとリアルにしましょう。こうして完成形を把握すると、作品全体の雰囲気に追加すべき要素を判断できます。ただし、形状と構図が効果的でない場合にのみ、グラデーションを使用してください。腕を上げるには、グラデーションやグレースケールを使わずスケッチの練習を積むことをお勧めします。
図04:デザインを発展させてコンセプトを明らかにする
05 仕上げ
シーンの上部に霧のような雲を、酸性の水面に反射光を追加しましょう。次に、水面から立ち上る煙を加え、この水が飲めないことを示唆します。また、焦点ではない鋭いエッジをクリーンアップしてください。このイメージは、今後より精度の高いペインティングを作成する際のスケッチ(または下地)にもなります。
完成イメージ
※本チュートリアルは、書籍『スピードペインティングの極意』からの抜粋です
編集部からのおすすめ: フォトバッシュやブラシのテクニックで 素早く絵を仕上げる技法、スピードペインティングを学ぶには 書籍『スピードペインティングの極意』や 書籍『Photoshop で描くデジタル絵画 完全改訂版』をおすすめします。