イラストレーター/アニメーター 兼 武道家 が語る 創作のための 6つのヒント

カナダの イラストレーター/アニメーター 兼 武道家 Samuel Berry氏 が、マーシャルアーツのトレーニングをどのように創作に役立てているのか。集中力や最高の精神状態を保つためのヒントを紹介します


Samuel Berry
フリーランス イラストレーター|モントリオール、カナダ


はじめに

私は モントリオール育ちのアーティストであり、武道家でもあります。この2つの道に進んだのは、子供の頃、「ニンジャ・タートルズ」「スパイダーマン」「パワーレンジャー」 に熱中したからです。描きながら、ヒーローになるために(5歳児ができる範囲で)訓練しました。そして「ドラゴンボール」に出会い、私の運命は決まったのです。

モントリオールの コンコルディア大学 で美術教育とスタジオアートを学び、同大学内にある メルホッペンハイム スクール オブ シネマ でフィルムアニメーションを学びました。その後は、フリーランス イラストレーター/アニメーターとしてのキャリアを追求しています。現在は、アートとマーシャルアーツを行き来する、二重生活を送っています。この2つの世界は、人生を通して互いに糧となり、仕事に対する姿勢の基礎となっています(退屈はしません。約束します)。

雲のスケッチ・習作を試し、絵画スタイルのアイデアを得ます

01 スケッチ

「スケッチ」は、アーティストにとって最も重要です。私はスケッチを通じ、ドローイングやアート全般の基礎を学びました。それは今でも、自分の技術を磨き、完成度を高める訓練の場となっています。

また、アイデアやテクニック、題材を制限なく探求する場所でもあり、私の作品の基礎となっています。私にとってスケッチは最も楽しい場所であり、柔道の投げ技を練習するように、最も鍛えられる場所でもあります。たくさん失敗し、そこから学べる自由があるからこそ、プロセスには欠かせないのです。ここ数年のスケッチのほとんどは、習作(ドローイングやペインティング)の形になっています。

描写よりも、身体の形や流れにこだわった人物画の習作

02 瞬間に集中する

マーシャルアーツを教えるとき、生徒たちに「その練習は1度きりで、次の練習につながるため、すべての練習に集中しなさい」とよく言っています。これは、アートについても当てはまります。スケッチするときは、何も考えず、ただひたすら描くだけにならないようにしましょう。「なぜその絵が好きなのか、どうすればもっと良くなるのか」と自問し、クリティカルシンキング(批判的思考)を行います。その瞬間に集中し、描いているものを意識すれば、美しい線以上のものを引き出せるはずです。

ゆるいスケッチと着色の実験です。当初、このカラー版に不満がありましたが、今ではとても気に入っています

03 インスピレーションとアイデア

私が描くアートとイラストの最大のインスピレーションは、「ストーリーテリング」です。いつも、それを作品に込めるように心がけ、たとえ風景画でも、そこから観客が何らかのストーリーやキャラクターを推測できるようにデザインしています。

基本的に、小さなサムネイルや、描きたいシーンの要素のみをスケッチして、アイデアを探ります。ポートレートの場合、別のカラーパレットを使って何度もスケッチをしてから、次に進みます。

このスケッチは、のたうつ線から始まり、その上に描いたものです

04 マテリアル

私の使用するメディウム(媒体)は、伝統的な鉛筆やインクから、デジタルペインティングやドローイング(主に Photoshop)まで多岐にわたり、その両方を組み合わせることもあります。作品のインスピレーションは、その時の気分やアイデア、あるいは媒体そのものに左右されます。

アイデアのスケッチに使う道具にこだわりはなく、そのときに最も便利なものを使っています。しかし、作品を完成させるとき、特にデジタルアートでは異なります(このテーマについてはまた別の機会に)。

スキャンした2枚のサムネイルを重ね合わせ、その上にデジタルドローイングを合成して作ったサムネイル

05 スケッチ テクニック

伝統的なアートでは、鉛筆をできるだけページに留め、描き続けます。そうすれば、たとえ重ね描きになったとしても、線は緩やかに保たれ、ディテールにとらわれずに済むでしょう。デジタルも同じですが、レイヤーで部分的に分けたり、試したりします。Photoshop の特大ブラシでスケッチし、色を混ぜ合わせれば、色を見る目が養われます。それをカラーパレットのインスピレーションとして、取っておくこともできます。

06 リラックスする

これは、前のアドバイスとは逆のように思えますが、どちらか一方が欠けても成り立ちません。休息が必要なときも、嫌なことがあったときも、「大丈夫だ」と考えるようにしましょう。創作の合間には心の休息が必要です。ノンストップで作業を続けると、陳腐化するか、燃え尽きるか、あるいはその両方に陥るでしょう。休憩を取りながら、身の回りのものを探索し、最高のアイデアを得てください。

 

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編集:3dtotal.jp