やってはいけない 6つのアニメーションのミス

最高のスタートを切るため、そして、視聴者を飽きさせないため、アニメーターになりたい人は、以下の 6つのミスをチェックしてください


Paul Hatton
3Dビジュアライザー|英国


はじめに

アニメーション制作、シーンのアニメートは、何年もかけて磨き上げていく技術です。創造性とディテールへのこだわり、そして、気の遠くなるような作業が必要になります。それでも、アニメーターになりたい(腕利きアニメーターになりたい)のなら、絶対に避けてほしいミスがいくつかあります。今回は、その主なものを 6つ紹介します。では、さっそく見ていきましょう。

01 アニメートしすぎる

まず、アニメートしすぎないように常に意識する必要があります。アニメーションを見たとき、内容を把握できないほど不快なことはありません(※シーンの中で起きていることが多すぎる)。もし、キャラクターと前景/後景のオブジェクトがすべてアニメートすると、1つの大きな「混乱」となり、視聴者の感覚は奪われ、焦点が失われてしまいます。そして、どこに注目すればいいのかわからなくなり、アニメーターの意図は損なわれてしまうでしょう。

アニメーションは「シンプルかつ焦点を絞ったもの」にしてください。アニメーションやシーンの中で、注目してほしい部分に視聴者の注意を引きつけるため、ストーリーの鍵となる部分や、伝えようとしているナラティブだけをアニメートします。被写界深度などのカメラエフェクトを利用して、視聴者に注目してもらいましょう。

画像提供:Sid Balachandran

02 効果音や音楽に合っていない

アニメーションのナラティブを損なう別の要因として、音の使い方が間違っている/不適切であることが挙げられます。セリフとキャラクターの唇の動きをぴったり合わせるのは言うまでもなく、動きから発生するノイズにも合わせる必要があります。それに加え、音楽や BGM がシーンの雰囲気に合っていることも重要です。もし 2人のキャラクターの優しい瞬間にヘビーメタルの曲が流れてしまうと、せっかくのシーンが台無しになってしまうことでしょう。ナラティブを支える良質な音楽を見つけるのは大変ですが、時間をかけて手に入れるだけの価値があります。

画像提供:Afif Kusuma

03 何が起きているかわからない

シーンの中で起きていることを理解する時間が十分にないと、アニメーションの効果は損なわれます。視聴者は混乱して気が散り、最悪の場合、見るのを止めてしまうことでしょう。典型的な解決策は「カットのちょうどよいタイミングを計ること」です。ショットの最初のアニメーション(特に新しいシーンの最初のアニメーション)では、視聴者が理解しやすいタイミングを心がけましょう。

アニメーションを制作していると、「自分が何をしているのか」「何のためにやっているのか」わからなくなることがあり、客観性を保ち続けるのはほぼ不可能です。そこでその対策として、(たとえ別のシーンに移るとしても)上手く休憩を取るようにしましょう。そして、同僚や友人に自分の取り組んだアニメーションについて意見を求めてみてください。セカンドオピニオンは、自分のアニメーションがどのように受け止められているかを知るのに役立ちます。

画像提供:Chauhan Monizh

04 動く理由を忘れる

あらゆるアニメーションには、必ず「理由」があります。動くものは理由があって動いているし、さらに言えば、アクションや演技を行うすべてのキャラクターは、明確な理由をもって行動します。そして、それらは その目的のためだけに動いているのではなく、他のキャラクターの行動やシーンにある物体に反応して、動いたり、話したりすることもあります。あるいは、自分の身に起こったことや、聞いたばかりのニュースに反応するかもしれません。理由を見失ったアニメーションは支離滅裂で信憑性のないものになり、正直なところ、あまり魅力的ではありません。「理由」に意識を集中し、必要に応じて見直し、アクションの動機を思い出すことが大切です。そうすれば、キャラクターとオブジェクトが密接に結びつき、アニメーションの信憑性が高まります。

画像提供:Hans Eiskonen

05 一貫性がない

実写映画やアニメーションで、次のショットに切り替わるとき、急に何かが変わったのを目にしたことがあるでしょう。それは、ライティングが変わっていたり、オブジェクトが急に別の位置に動いていたり、アクション途中のキャラクターが、カット後に突然アクションを止めてしまったせいかもしれません。このような一貫性のなさは、視聴者に違和感を与えます。アニメーションとカットには細心の注意を払い、何度も見返して、一貫性を確認してください。そうすれば、必ず報われるでしょう。

画像提供:Zhifei Zhou

06 ブランドに合っていない

「キャラクターの動きに重要なスタイルやルールがある」あるいは「ブランド商品をアニメートする」など、全体の流れの中で作業する場合、すでに設定されているルールやガイドラインに適合しているかを確認しなければなりません。評判のよいプロジェクトであれば、ブランドのアニメーションガイドラインを入手できます。決められたルールに従えば、前に作られたものとの関連性を高めて、複雑で的外れなアニメーションになるのを避けられるでしょう。

最後に:ルールは絶対ではない

ルールを知るのは良いことですが、ルールに支配されないでください。アニメーターとして成長するにつれ、アニメーションの効果を高めるために、ルールの破り方を身につけることができます。今回は、やってはいけない 6つのミスを紹介しましたが、ネガティブなことに目を向けるだけでなく、ポジティブなことにも目を向けるようにしてください。それはつまり、視聴者の心を揺さぶる美しいリアルなアニメーションを作ることです。

 


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編集:3dtotal.jp