具体的な事例に学ぶ。光の効果(エフェクト)を描くためのヒント

カナダのイラストレーター Samuel Berry 氏 が、リアルで効果的な光を描くために、不可欠で重要なポイントを解説します


Samuel Berry
フリーランス イラストレーター|モントリオール、カナダ


光/ライティングについて、その効果(エフェクト)、一般的なルール、具体的な事例を見ていきましょう。絵に真実味を与えることから ドラマティックな演出に至るまで。さまざまな光/ライティングが作品に恩恵をもたらすことでしょう。

留意すべきポイント

1. 光の作用(&光源の種類)
2. 光を受ける物体の形
3. 鑑賞者と物体の相対的位置。光の角度によって その状況も変化する
4. 光を受ける物体の性質/特性。通常、材質によって、吸光と反射の仕方が決まる
5. ほとんどの効果(エフェクト)は、物体と周囲の環境の影響を受ける

具体的な事例

エッジ ライティング(エッジライト)

映画業界で「リムライト」とも呼ばれる エッジライティングは、物体を背後から斜めに照らします。こうして、明るいエッジをつくり、背景から物体を際立たせます。その強度と物体の色によって、より明るい色や白いエッジになります。リムの幅は、面への光の入射角によって変化します。つまり、エッジライティングはエッジ以外にも影響します。

逆光

「逆光(フランス語で Contre-jour)ライティング」は、物体が光源の前にあるとき発生します。光は、その物体のエッジを捉え、より目立つようになります。そして、色の彩度は失われ、影が前面に押し出された結果、シルエットが強調されます。私の好みは、物体のエッジ周りをかすかに包み込むように 前面に少しもやがかかったようにペイントすることです。ハイライトと影は、光源の強さによって決まります。

有機的な形状では、これら 2種類のライティングを最大限に活用します

透過光

光が薄い半透明のマテリアルを通過すると色が付きます。そして、反射光の彩度が下がる傾向にあります。これは、ステンドグラスや植物によく見られる現象です。例えば、葉をペイントしてみましょう(※樹木にも応用できます)。葉には 4種類の光(透過光・葉の裏の影・葉の表の影・直射日光)があります。以下の図を観察してみましょう。

サブサーフェス スキャタリング(表面下散乱)

光は、皮膚などの半透明のマテリアルに取り込まれ、その表面下で散乱します。これにより、目につく ユニークなグローが表れます。それは「耳たぶ」「輪切りにした果実」といったものに影響します。懐中電灯の前に 手をかざしてみると、容易に確認できることでしょう。この発生には、3つの条件が必要です(半透明な皮膚/葉肉など・薄い形状・バックライト 等)

ライティングを描いた この習作は、私のお気に入りの 1つです(左)。そして、私の手は巨大です(右)

ハイライト

濡れている、あるいは、光沢のあるサーフェスには ハイライトがあります。光の当たり方を知ることで、物体の形状への理解が深まります。その位置・大きさ・色は、多大な情報をもたらすことでしょう。ハイライトは 純粋な白でなく、その物体の色と光源の色が組み合わさる傾向にあります。

これらすべてが、互いに関係しているように感じられます

水、反射、透明度

光が水に当たると「反射」「屈折」が発生します。反射は、浅い角度から水面をまっすぐ見るときに。屈折は、急な角度から見るときに発生します。つまり、水面に近づくほど屈折が多く(透明に見え)、遠くになるほど反射が見られます。ここでは、さらに、水について留意すべきポイントをいくつか挙げましょう。

1. 水中にあるものは反射色の影響を受ける。直接光の当たらない濁った水も透明な水と同様に反射する
2. 僅かな波でも 水面は歪む
3. ゆるいジェスチャーでペイントする。反射ではディテールは失われる
4. 深く濁った水に光が当たるとき、影が表れる

短時間での習作が「完成した」絵を上回る素敵な瞬間

おわりに

光や色を恐れないでください。それらは、生涯を通して アーティストが勉強し続ける複雑なテーマです。すぐに圧倒されてしまうので、まず、物事を基本原則に分解しましょう。そうすれば、解決の糸口になることでしょう。

 


編集部からのヒント

光や色、構図、遠近法、解剖学.. 伝統的表現、セオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』をお勧めします。

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp