手早く、簡単に、天気を描くためのヒント

カナダのイラストレーター Samuel Berry氏 が、手早く&簡単に、天気を描くためのヒントを紹介します


Samuel Berry
フリーランス イラストレーター|モントリオール、カナダ


天気を適切に伝えることは、多くの場合、絵の信憑性に大きく影響を与え、その良し悪しを決めます。ここでは、天気を 4つの主要なカテゴリに分け、それを伝えるための「色と光の使い方」について説明します。その後、特定の天気のエフェクトについて、Photoshop でペイントするためのベースを簡単に作成します。

1. 晴れの日

光と環境の相互作用を理解するには、晴れの天気から始めるとよいでしょう。よく晴れた日には 3つの光源があります。それは「太陽光」「青空」「照らされたオブジェクト(地面を含む)の反射」で、後者2つは太陽光に完全に依存します。つまり、空がはっきりすればするほど、影はより暗く、青みがかります。

さまざまなマテリアルのボールをペイントすることは、ライティングの練習にうってつけです

日中(強い太陽光)

野外の気温は40度で、太陽が視界にあるすべてのものに影響を与えています。どのように見えますか? ここではあらゆる要素を「燃やし」ましょう。こうしてハイライトの明度を白、または白に近づけることで、シーンに太陽の存在感を示しています。また、影にディテールを加える余地も生まれています。「明度を限定すること」は強力なツールと言えます。

「燃やす」と言っても本当に火を加えてはいけません。あくまで例えです

日没

大雑把に言うと、太陽が地平線に近づくほど、その光は、より赤/オレンジになります。つまり、太陽が沈み始めると、放射された光が大気中を通過するのに時間がかかり、(波長の長い)赤い光がより多く跳ね返るようになります(日中に空が青いのは、波長の短い青い光がたくさん跳ね返り、赤い光の跳ね返りが少ないため)。その結果、目に見える色は赤/オレンジになります。日没のオフフレームのシーンを描くときは、このことを考慮してください。人々に愛される古典的な日没を描くときの私のアプローチは、色を重ね、境界のあいまいな雲で複数の色を跳ね返します。

私は雲が大好きです

2. 曇りの日

曇りの日は、戸外制作をする画家たちにとって理想です。雲は太陽光を拡散し、光と影の極端なコントラストを排除します。そして、あらゆる形状は晴れの日よりもはっきり鮮明に見えます。これは、目に見えるものが「本来の色」に非常に近いためです。また、影がシャープにならないため、ペイントする形状はより大きくシンプルになり、複雑なシーンでも落ち着いて取り組めるでしょう 。

ボートの絵も好みです

私は曇りの日に「霧」を描いています(正直言って、霧を描く状況は他にないのです)。霧はいくつかの例外を除き、曇りの日にしか現れません。ここで覚えておくべき重要なことは「近くにあるオブジェクトほど、より明瞭になる」です。霧の中にオブジェクトの色がいくつか表れるでしょう。いつでも彩度を少し加えて、コントラストを作成できます。

まるで「サイレントヒル」のような天気ですが、霧のアイデアがよくわかります

3. 雨の日

曇りの日と同じルールを適用しますが、土砂降りの強さに応じて 全体も暗くなります(厚い雲はより多くの光を遮ります)。雨は「自分と被写体の間で干渉するもの(障害)」と捉えてください。一滴一滴ペイントするというより、雨が降っていることを示唆していきます。私の通常ワークフローは、前景(大きな雨粒)レイヤー、中景(小さな雨粒)レイヤーを作成し、後景は見せ方に応じたレイヤーにします。

とてもシンプルな雨ですが、まだ不十分かもしれません

雷雨

雨の日と同じ原理で作成できます。雷雨に必要な気象条件(暗い雲、あらゆる要素が暗い)とともに、新しい光源を考慮しましょう。

もし光源の位置が変わっても、前景と後景は簡単に入れ替えできます

4. 雲の多い日

私は雲のペインティングが大好きです(これは私が最初に学んだ手法です)。手順が多いので、以下に簡単にまとめました。簡潔に説明するため、最も重要なことを箇条書きで要約しています。

•シンプルな大きい形状から始めます。大きなものから小さなものへ
•髪のペイントと同じように、暗い色から明るい色へ
•雲は光を通過させます。光はその中で跳ね返ります
•雲が厚いほど届く光は少なくなるため、暗くなります
•常に雲の底が見えます(飛行中の視点を除く)
•雲にもパースがあります(これは非常に重要です!)

5歳の頃、煙突は雲の工場だと思っていましたl

幸いにも、過去の習作の中にまだレイヤーを保持している絵を見つけました。ここでは、「必要な部分だけ描く」ことを思い出してください(すべてを描きこみません)。このルールは特に雲のペインティングに当てはまります。

この習作のレイヤーが統合されてなかったのは奇跡です

最後に

このチュートリアルで紹介したもののいくつかが「スケッチのようだ」と気づいたかもしれません。私はあえて これらを選んでポイントを挙げました。天気は大まかなスケッチの段階でも伝えることができるのです(そうすべきです)。調整レイヤーは、手早く補正や修正を行える強力なツールですが、それだけでイラストを完成させるわけではありません。それらはペイントを重ねるための下地として使用します。結局のところ、「時間をかけて、光と色がどのように相互作用するかを考えること」が大事です。それさえできれば、すべて上手くいくでしょう。

 


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翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp