世界のモンスターを描く:西洋のドラゴン

亜種

沼のドラゴン

通常、沼に住む動物はカモフラージュに長けています。しかし、食物連鎖の頂点にいる沼のドラゴンの場合、体の要素は装飾的な意味合いが強く優雅です。この種は、流線形の体と背中や尻尾に付いた魚のひれを使い、濁った水中を泳ぎます。標準のドラゴンのようなエリマキもありますが、4つに分かれています。それは角のようなルックで、威圧的なシルエットを形作っています。

アメフラシ型ドラゴン

アメフラシはウミウシの一種です。巨大なサイズに成長し、危険を感じたら雲状のスミを噴射します。他の種と同様に、アメフラシ型ドラゴンにも同じようなエリマキとひだがあります。しかし、その動きは鈍く、移動するときは地面に接近します。怠慢とはいえ、とても小さな黒い目、冷ややかな笑顔、鋭い牙を見る限り、間違いなくどう猛なクリーチャーと言えるでしょう。

太古のドラゴン

太古のドラゴンは西洋のドラゴンの先祖です。どちらも似たような構造をしていますが、太古のドラゴンは神秘的な存在と考えられ、賢く力強い印象です。視覚上の主な違いはたてがみで、薄く、先細になっています。

最終デザイン

最終デザインでは、トカゲのようなルックにファンタジー要素を加えて、伝統的なドラゴンのコンセプトを維持しました。その結果、現実に即した神話上のクリーチャーに仕上がっています。このドラゴンは活力に満ち、堂々とした風貌で、一目見ただけで戦慄が走ります。ドラゴンに挑むのは無謀です。火の息で鎧や盾はあっという間に溶かされてしまうでしょう。通常、ドラゴンを倒すには、特別な装備と魔法が必要です。

邪悪な二またの舌を見せつけるように咆哮し、口は大きく開かれています。首はわずかに傾き、獲物を発見した場面か、敵に近づこうとしている場面のように見えます。戦闘では、前脚・翼・顔周辺のトゲが装甲になります。

尻尾は下がり、前景に向かって伸びています。これが心地良い流れを作り出し、鑑賞者の視点を引きつけます。やや折りたたまれた翼は、エリマキと並んで視覚的な反復を作り出しています。このポーズを選んだ理由の1つは、狭い空間でもドラゴンの全身を表現できるからです。また、背景の木によってスケール感を出しています。

 

 

※このチュートリアルは、書籍『世界のモンスター・幻獣を描く』からの抜粋です。書籍では、この西洋のドラゴンの他に 29種。30名のアーティストによる 30種類のモンスター・クリーチャーのデザイン&描き方を紹介しています。


書籍『世界のモンスター・幻獣を描く』

- 説得力のあるコンセプトのつくり方 -

制作:3dtotal.com
定価:本体4,800円 + 税
ISBN:978-4-86246-407-1
サイズ:210 x 279 x 29 mm (A4変形)
総ページ数:320頁(カラー)
発行・発売:株式会社ボーンデジタル

>>> 書籍紹介ページ(※全ページ(英語版)チラ見映像あり)
https://3dtotal.jp/books/10799/

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp