3Dアーティスト はじめの一歩:リソース

このパート5 では、3Dモデル、テクスチャ、マテリアル、プラグイン、HDRI がダウンロード可能な役立つリソースを探ります


Paul Hatton
3Dビジュアライザー|英国


はじめに

「3Dアーティスト はじめの一歩」シリーズは、ソフトウェア、ハードウェア、リソース、チュートリアル などを順に取り上げ、3Dアーティストとしてのエキサイティングな旅の前準備、正しい方向に進むための要素を掘り下げます(※全6回)。

>> はじめの一歩:3Dモデリングソフト
>> はじめの一歩:レンダリングソフト
>> はじめの一歩:ハードウェア
>> はじめの一歩:チュートリアル
>> はじめの一歩:成功のための 10の秘訣

3Dビジュアライゼーションの世界に足を踏み入れたのは、新人のとき、私が19歳、右も左もわからない状態でした。そんな旅の途中で、多くの人々に助けられました(とても感謝しています)。このシリーズが、3Dアーティストを目指す人々にとって役立つガイドになることを願っています。

 

オンライン リソースを利用すれば、初心者でも 3Dの世界を手早く向上させることができます

これまで、使用するソフトウェア、それを動かすのに必要なハードウェア、そして、正しい方向に進むためのチュートリアルを見てきたので、次は、シーンを手早く効率的に作るためのリソースを調べてみましょう。リソースには、モデルやテクスチャ、そして貴重な時間を節約するプラグインなど多くのものがあります。特にプラグインを使えば、手作業だと時間がかかったり、不可能だったりするタスクを実行できるようになるでしょう。このパートでは、一見の価値があるいくつかのリソースを紹介していきます。(※3Dモデル、テクスチャ/マテリアル、プラグイン、HDRI に分類)

01. 3Dモデル

すべて 自分で作らなくてもいいことを知っていますか? この10年で、既成の無料/有料アセットの人気が高まっていますが、それには いくつかの理由があります。まず 1つは「世界中の 3Dアーティストが、自作3Dモデルを気前よく提供してくれている」からです。これらは、シーンで使用するも良し、そのモデルやシーンがどのように作られ、設定されているかを学ぶのに使用するも良しです。

もう1つは「アーティストの制作プロセスを高速化するために、アセットを有償で提供している巨大な市場がある」と気づいた起業家たちの存在です。この 2つの理由により、私たちは膨大な種類のモデルを瞬時に入手できるようになったのです。

とはいえ、このように 3Dモデルが爆発的に増えてくると、同じアセットがさまざまな作品に登場するようになり、シーンが画一的で予想どおりになってしまうという欠点も出てきます。必ずしも そうとは限りませんが、特に、無料3Dモデルを利用する場合は 注意が必要です(※無料のため、誰もが利用したくなるでしょう)。時には、お金を払って、あまり普及していないモデルを手に入れたいと思うかもしれません。

優れた無料の3Dアセットライブラリ:Poly Haven

3Dモデルを探す際は、まず、そのモデルが自分の使用ソフトウェアに対応しているかどうかを確認します(※使用ソフトがサポートしているファイル形式を調べ、ダウンロードするときに一致していることを確認)。このとき、モデルを構成するポリゴン数も考慮しておきましょう。非常に細かい(または 作りの甘い)アイテムの場合、ポリゴン数がハードウェアに負荷をかける可能性があります(※特に そのオブジェクトを何度も複製したとき)。作成者によっては、さまざまなディテールレベルのモデルを提供していることもあるでしょう。たとえば、ローポリモデルはクローズアップにならない場合に便利です。

無料3Dモデルをダウンロードする際は、ライセンスの確認を忘れないでください。そのモデルを編集できるかどうかや、作者のクレジットの表示義務があるかどうかなど、制限のあるケースがあります。有料3Dモデルの場合でも、そのモデルを使用できるプロジェクトの数や、仕事の種類が制限されているかもしれません。どのようなライセンスであっても、使用できる範囲を確認しておきましょう。

3Dビジュアライゼーション用アセットが多く見つかります:CG Trader

3Dモデルの最大のリポジトリには、TurboSquidCG TraderBlender Market などがあります。これらには、ダウンロードできる膨大な無料/有料モデルがあります。小規模で厳選されたモデルセットを探しているなら Poly Haven(旧3D Model Haven)や Design Connected をチェックしてみてください。そして最後に、Ronen Bekerman が長年にわたって投稿してきた優れたフリー素材のリストもオススメします。

3Dリソースの巨大なリポジトリ:TurboSquid

02. テクスチャ/マテリアル

ダウンロード可能なテクスチャやマテリアルも大量にあります。ここではわかりやすくするため、テクスチャとマテリアルを区別しましょう。これらの用語は同じ意味で使われることもあり、混乱を招く恐れがあるため、ここで簡単に説明しておきます。

まず、テクスチャとは「3Dソフトでマテリアルを作る際のベースとなる、物体や表面の写真・イメージ」のことです。これらには、レンガ・革・タイル・コンクリートなど、現実世界のあらゆるものが含まれます。優れたテクスチャを入手したり、自分でテクスチャを撮影・作成したりする際は「まっすぐに撮影されていること(できるだけパースがない)」「表面に影が落ちていないこと」を確認してください。写真の解像度は高ければ高いほどよいでしょう。

優れたテクスチャライブラリには、TexturesPoliigonArroway Textures3D Textures などがあります。

シーンに臨場感を出す高品質テクスチャ:Arroway Textures

一方、マテリアルは、3Dソフトウェアで作成します。ベースとなるディフューズマップに、前述のテクスチャを使います。あるいは、テクスチャを編集して、リフレクションマップ/バンプマップ/ノーマルマップとして使うこともできます。ダウンロードしたマテリアルには、反射率・屈折率・光沢などさまざまな設定がすでにカスタマイズされているため、ソフトウェアに読み込み、シーンに合わせて微調整してレンダリングを実行します。マテリアルをダウンロードする際は、お使いの 3Dソフトやレンダリングソフトで扱える形式であることを確認してください。

一般的に、マテリアルはソフトウェア固有のものになります。多くのサイトがありますが、ここでは そのいくつかを紹介しましょう。V-Ray には V-Ray Materials、Blender には Blendermada があります。そして、複数のソフトウェアに対応している Free PBR があります。

Blender で使えるマテリアル:Blendermada

03. プラグイン

プラグインやアプリを 3Dソフトに接続すると、機能を拡張できます。これにより、プラグインなしでは実行できない、あるいは、気の遠くなるような手間がかかる特定の操作を実行できるようになります。

プラグインはソフトウェア固有のものですが、素晴らしいリポジトリがいくつかあります。3ds Max には、公式の Autodesk App Store - 3ds Max があります。ScriptSpot は、3ds Max プラグインを購入する際にいつも重宝しています。Maya にも 、公式の Autodesk App Store - Maya があります。もし Blender を使っているなら、Blender MarketBlender Addons はチェックする価値があるでしょう。ZBrush には、優れたプラグインをダウンロードできる Pixologic の Resource Center があります。

ZBrush の優れたプラグインをダウンロードできる Pixologic の Resource Center

04. HDRI

HDRI は High Dynamic Range Imagery の略で、シーンのライティングに使用されます。このファイルには、必要なライティング情報がすべて含まれているため、優れたリアリズムを実現することができます(※複数のソフトウェアで使用可能)。Peter GuthriePG SKIESPoly Haven(旧HDRI HAVEN)の空はとても優れています。

Peter Guthrie の HDRI の空は、レンダリング結果を別次元へ引き上げてくれるでしょう

まとめ

これらは、お気に入りのリソース探しの取っ掛かりに過ぎません。何年もかけて自分のライブラリを構築していけば、どこで必要なもの手に入るのかを正確に把握できるようになるでしょう。

 


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編集:3dtotal.jp