3Dアーティスト はじめの一歩:レンダリングソフト

「3Dアーティストになりたいけど、何から始めてよいかわからない」 そのような方のために 英国の Paul Hatton氏 が その選択肢を紹介。このパート2 では レンダリングのソフトウェアを見ていきます


Paul Hatton
3Dビジュアライザー|英国


はじめに

「3Dアーティスト はじめの一歩」シリーズは、ソフトウェア、ハードウェア、リソース、チュートリアル などを順に取り上げ、3Dアーティストとしてのエキサイティングな旅の前準備、正しい方向に進むための要素を掘り下げます(※計6回を予定)。

3Dビジュアライゼーションの世界に足を踏み入れたのは、新人のとき、私が19歳、右も左もわからない状態でした。そんな旅の途中で、多くの人々に助けられました(とても感謝しています)。このシリーズが、3Dアーティストを目指す人々にとって役立つガイドになることを願っています。

レンダリング

3Dレンダリングでモデルに生命を吹き込みます(イメージ制作・提供:Giovanni Gargiulo

パート1:3Dソフトウェア では、3Dモデリングやアニメーション関連のソフトを紹介しました。レンダリングにあまり触れなかったのは、この パート2:レンダリングソフト できちんと紹介したかったからです。3Dビジュアライゼーションに慣れていない人は、急に「レンダリング」と言われても、何のことかわからないでしょう。簡単に言えば、「3Dモデル・ライト・マテリアルを 2Dイメージに変換するプロセス」のことです。動画を作る場合も、これらのイメージを合成して作成します。

通常は、3Dモデリングソフトに内蔵されているレンダラーを使うことが多いと思います。つまり、Blender なら Cyclesを、3ds Max なら Arnold を使います。しかし、別売りの プラグインのレンダラーを使ったり、作成したモデルをスタンドアロンのレンダラーにエクスポートすることもできます。今回は、その中でも特に人気のある選択肢を紹介します(※ここで紹介する以外にも多数のレンダリングソフトがあります。使用目的・環境・予算などを考えて、あなたに合ったものを見つけてください)

01. Cycles(Blender)

Blender はすぐに良い結果をもたらしてくれます(イメージ制作・提供:Blender Animation Studio

3Dビジュアライゼーションの世界に最速で足を踏み入れたいのであれば、Blender を使うのが最適です。モデリング・ライティング・マテリアルなど、制作パイプラインのほとんどの工程をカバーするだけでなく、無料の内蔵レンダラー Cycles が付いています。

Cycles は物理ベースのパストレーサーです。つまり、シーンに含まれる設定(モデル・ライト・マテリアル)を取得し、シーンを通過する光の経路を計算して、カメラから見たシーンを正確に、そして 物理的に忠実に表現することができます。すぐに使えるのはもちろんのこと、自分の好みに合わせてカスタマイズすることもできます。

Blender には、Cycles の他に Eevee も搭載されています。これはリアルタイムで操作することを目的とした、GPU専用のレンダリングエンジンです。

02. V-Ray

V-Ray は、3Dレンダリング界の主要ツールです

V-Ray の開発元 Chaos Group は1997年に設立され、現在はレンダリングにおける主要な開発会社の1つとなっています。V-Ray は、メディア・エンターテインメント・映画・ビデオ&ゲーム制作・インダストリアルデザイン・プロダクトデザイン・建築など、さまざまな分野で活用されています。

このプラグインは、3ds Max、SketchUp、Maya、Rhinoceros、Revit、Cinema 4D、Modo、Blender、Unreal Engine などで使用できます(*なかなかのラインナップですね!)。この幅広さのメリットは、目的に応じて複数の3Dソフトを活用したい場合にも、V-Rayツールを利用できることです。初心者にはまだ先の話かもしれませんが、V-Ray は 1つのソフトウェアで使うだけでも、優れたレンダラーであるとわかるでしょう。もちろん、スタンドアロンも利用できます。

近年は細かい設定をしないですぐに使えるツールを目指し、努力してきました。その一方で、高度に制御したいプロのために、すべてを微調整する機能にも妥協していません。何年も使っている1ユーザーとして、V-Ray はその目的をほぼ達成していると思います。最近のバージョンは信じられないほど親しみやすくなり、少し学んだり、調べたりすれば簡単に理解できるようになっています。

03. Corona Renderer

Corona Renderer は、超簡単に使えるバイアス/アンバイアス レンダリングエンジンです

Corona Renderer は V-Ray と同様に、プラグインとスタンドアロンの両方で提供されています(*プラグインは 3ds Max と Cinema 4D に対応)。2017年に Chaos Group の一員となりましたが、同社の V-Rayと異なり、バイアス(偏り)も備えているのが特徴です。

※V-Ray はアンバイアス(不偏)レンダラーです。つまり、レンダラーが最終結果を計算するときに、ショートカットしません。一方、バイアス レンダラーは、巧妙な近似処理を行い、短時間でほぼ同じ結果を得ることができます。

Corona Renderer は、初心者でも簡単に扱える優れた選択肢となるでしょう。開発元が「1日で使いこなせるようになる」と主張するほどの自信作であり、その長所がこのレンダラーの原動力となっています(レンダリング設定における技術的な詳細を排除し、創造的な自由を与え、素晴らしい画像や映像を作りたいという目標を推し進めています)。1日で習得できるかどうかはともかく、ツールを簡単に見つけて理解でき、時には「レンダリング」ボタンを押すだけで済む場合もあるでしょう。

04. Arnold

Arnold は、3ds Max や Maya の内蔵レンダラーです

Arnold は、V-Ray と Corona と同様、スタンドアロン(Windows/Mac)とプラグインの両方で提供されています。Houdini や Cinema 4D 用のプラグインもあり、3ds Max や Maya では内蔵レンダラーとして備わっています(*Arnold は Autodesk が所有しています)。

Arnold は、アニメーションや VFXの大規模プロダクション(Sony Picture Imageworks、The Mill、Framestore など)で採用されているにもかかわらず、驚くほど扱いやすいレンダラーです。3ds Max や Maya をモデリングパッケージとして使うのであれば、Arnold をプライマリレンダラーにするのは理にかなっています。

05. Octane

Octane は優れた GPUレンダラーです

これまで、GPU で動作するレンダラーにはあまり触れていません(*Blender の Eevee については少し触れました)。Otoy の OctaneRender は最初のアンバイアス(不偏)GPUレンダリング エンジンであり、力強く発展してきました。GPU を使ってレンダリングすれば、シーンの結果を瞬時に、または リアルタイムに(*ハードウェアによる)見ることができます。

Octane は、数多くの3Dモデリングパッケージのプラグインとして動作するので、どのようなパッケージでもおそらく互換性はあるしょう。その他のGPUレンダラーには、IndigoIrayKeyshotThea などがあります。

まとめ

この記事は「レンダラーの地方遊説」といったところでしょうか。皆さんがレンダリングの選択肢を検討するためのよい出発点になれば幸いです。3Dソフトの内蔵レンダラー以外を選択する場合、次の質問は「CPU と GPU のどちらでレンダリングするのか?」です。つまり、「レンダリングが正確に計算されるのを待つのか」 それとも「すぐに結果を見たいのか」ということです。どちらにも長所と短所があるので、パート3:ハードウェア(近日公開予定)でしっかり見極めて進めましょう。

 


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編集:3dtotal.jp