3Dアーティスト はじめの一歩:3Dモデリングソフト

「3Dアーティストになりたいけど、何から始めてよいかわからない」 そのような方のために 英国の Paul Hatton氏 が その選択肢を紹介します


Paul Hatton
3Dビジュアライザー|英国


はじめに

「3Dアーティスト はじめの一歩」シリーズは、ソフトウェア、ハードウェア、リソース、チュートリアルなどを順に取り上げ、3Dアーティストとしてのエキサイティングな旅の前準備、正しい方向に進むための要素を掘り下げます(※計6回を予定)。

3Dビジュアライゼーションの世界に足を踏み入れたのは、新人のとき、私が19歳、右も左もわからない状態でした。そんな旅の途中で、多くの人々に助けられました(とても感謝しています)。このシリーズが、3Dアーティストを目指す人々にとって役立つガイドになることを願っています。

モデリングソフト

今回は、モデリング関連のソフトウェアを紹介します(※モデリング:CGの3D空間で物体の形状を作成すること。パート2 ではレンダリングソフトを紹介)。

ハードウェアがなければソフトウェアを動かせないため、ハードウェアから始めるのが理にかなっていると思うかもしれません。しかし、実際にどのようなハードが必要になるかは、実行するソフトによって大きく異なります。そこで、最初のステップとして、どのようなソフトを使いたいのか、そして、そのソフトで何を実現したいのかを明確にしましょう。

これから 6つの選択肢を紹介します。それぞれに独自のセールスポイントがあり、価格も異なります。(※ここで紹介する以外にも多数のモデリングソフトがあります。使用目的・環境・予算などを考えて、あなたに合ったものを見つけてください。多くのソフトには無料の体験版があります)

01. Blender

すべて行えるフリーのオールラウンダー:Blender

まず、最も有名なフリーソフトウェアを紹介しましょう。まだ駆け出しの初心者なら、自分に合うかどうかわからないものに多額の資金を費やすことはないでしょう。そのような場合、Blender はぴったりのソフトウェアです。

Blender は無料で使用できます(これまでもずっとそうでした)。1994年にオープンソースの 3D制作ツールとして市場に登場し、この27年間で多くのファンを獲得し、着実に力を付けています。「無料で使えるのだから簡易的なものだろう」と思うかもしれませんが、モデリング・アニメーション・レンダリング・コンポジットなど、クリエイティブ パイプライン全体をカバーする豊富なツール群が提供されています。

オープンソースなので機能を拡張できます。実際に、多くの開発者コミュニティで拡張が行われています。さまざまなエクステンション(アドオン)を利用すれば、Blender で実現できないことはほとんどありません。

あなたはこれから3Dアーティストを目指し、お金を稼ごうと思っているかもしれません。Blender はフリーのオープンソースでありながら、商用プロジェクトにも使用できます(何の制限もありません)。そして、Windows、Mac の両方で動作します。また、レンダリングツールも内蔵されています。

02. 3ds Max

制作パイプライン全体をカバー。それに見合う価格の、業界をリードする製品:3ds Max

Autodesk の 3ds Max は、最も広く使われている 3Dソフトウェアの1つです。私が 3Dを勉強していたときに初めて使ったのもこれでした。過去数十年の間に多くの変更がありましたが、現在も 最も支持されているツールの1つです。

説明を進める前に、Windows でしか利用できないことを伝えておきます(Macユーザーの皆さん、ごめんなさい)。1996年からずっとこの状態が続いており、今のところ変わる気配はありません。

3ds Max は、静止画やアニメーションを制作するパイプライン全体をカバーするソフトウェアです。比較的わかりやすく、直感的に操作できるので、正しいチュートリアルがあれば、初心者でも使いこなせるようになるでしょう。

初心者が 3ds Max を敬遠しがちなのは、価格に加え、他の多くの製品と同様にサブスクリプション方式を採用していることが挙げられるでしょう。しかし、サブスクリプションは、月間、年間、3年間から選べ、それに応じて価格も下がります。3ds Max を試してみたい方は、まず、無料体験版を利用して、自分に合っているかどうか確認してみましょう。

03. Rhinoceros

NURBS で美しいフリーフォームのサーフェスを作成:Rhinoceros

次に紹介するのは Rhinoceros です。NURBS モデリングに興味があるなら、最適な選択肢になるでしょう(※ NURBS はプロのように曲面を正確にモデリングできる機能)。自動車や航空機のボディのようなオブジェクトを作りたいなら、これ以上の選択肢は必要ありません。ただし、Rhinoceros は習得がむずかしいと言われています(NURBS モデリングは、気の弱い人にお勧めしません)。

Rhinoceros は Windows と Mac で使用できます。レンダリングも行えますが、プラグインを使ったり、モデルをエクスポートして他のレンダラーを使ったりするなどの優れたオプションがあります。

04. Maya

キャラクター制作やアニメーションに最適:Maya

Autodesk が 3D市場で提供しているもう1つの製品が Maya です。アニメーション・モデリング・シミュレーションに最適なツールが搭載されています。最高品質の静止画や動画をレンダリングすることができます。

業界で広く利用されていますが、特に長編映画やTV番組などの大規模なアニメーションプロジェクトに携わるアニメーターやアーティストから高い支持を得ています。3ds Max と同様にサブスクリプション方式になっています。

私の周りを見渡すと、ほとんどの人はアニメーション業界に就職する前に、大学で Maya の使い方を学んでいます。教育現場を除けば、Maya を はじめての 3Dツールとして使う 初心者はあまりいないでしょう。しかし、キャラクター制作やアニメーション、数々のクールなエフェクトに興味があるなら、試してみる価値は十分あります。

05. ZBrush

自然なアートベースのモデリングワークフローに最適

ZBrush は3Dソフトウェアの探求を続けています。Blender や 3ds Max はニュートラルで標準的なアプローチを採用していますが、Rhino や Maya は特定の出力のために少し違った方法を採用しています。ZBrush は後者に当たり、標準的なモデリングソフトではなく、ブラシを使った「アートベース」なツールで、スカルプティング(彫刻)でモデルを作成します。

ZBrush の美しくエレガントな点として、自然な(有機的な)制作プロセスが挙げられます。そのため、映画やアニメーションのキャラクターを制作するコンセプトアーティストなどに広く受け入れられています。

06. SketchUp

建築家やデザイナーに最適:SketchUp

SketchUp に触れずに、この記事を終わらせるわけにはいきません。長年にわたり 私の思い入れのあるソフトウェアの1つで、伝統的な3Dモデラーや、レンダリングを重視せずに建物を設計したいという建築家に支持されています。Google が所有していた頃は無料でしたが、現在は製品を使用するために少しコストがかかります。

まとめ

これから3D制作を始める方のために、ソフトウェアをいくつか紹介してきました。この段階で重要なのは「自分が注力したい分野を特定し、その専門分野に特化したソフトウェアの体験版をダウンロードすること」です。選択の幅を広げたいなら、Blender や3ds Max のようなオールラウンダーを選ぶとよいでしょう。次回 パート2 では、あなたのモデルを次のレベルに引き上げるレンダリングソフトを紹介します。

 


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編集:3dtotal.jp