説得力あるキャラクターの描き方:衣装デザイン

07 想像しよう!

アーティストとして習得すべき重要な技術は、目の前でペイントしているものをイメージする力です。それぞれの要素を頭の中で回転できる3Dオブジェクトとして捉え、どのように光が当たるかを想像しましょう。今回はキーライトが正面の左にあります(キャラクターから見て右)。私は目の前でペイントしているものを切り出して、頭の中で思い描きます。

図09 では、光の方を真っすぐ向いている部分、つまり、最も明るくなる部分をハイライトしました。黒い部分には光が届きにくいので、当然、暗めになります。こういったハイライトや影は、ペイントしているマテリアル(素材)によって異なります。たとえば、白いジャケットの明度の範囲は、暗いコートよりも大きく、明るめになるでしょう。

図09:衣装の一部を切り出し、最も強く光が当たる部分、光が当たりにくい部分に着目してください

プロのヒント:写真テクスチャ

freetextures.3dtotal.com には、素晴らしいテクスチャの無料コレクションがあります。これらの写真テクスチャは、思いどおりのマテリアルを作成するのに役立ちます。最適なテクスチャを探し出し、レイヤーにペースト、後はマスクで必要な箇所を選択するだけです(レイヤーパネルでレイヤーサムネイルを[Ctrl]+クリック)。

テクスチャレイヤーの描画モードを[ソフトライト]、または[オーバーレイ]に変更して、不透明度を下げると、とんにマテリアルが生き生きしてきます。

しかし、ここでもさりげなさが重要です。テクスチャは絵を向上させるものであり、絵に代わるものでも安易な解決法でもありません。

図10:写真テクスチャは、衣服を生き生きさせます

08 明度を強調する

明度をさらに強調する(暗いものはさらに暗く、明るいものはさらに明るくする)良い方法は、[焼き込みツール]と[覆い焼きツール]で明暗をはっきりと分けることです。

白黒で作業すると、彩度を上げ過ぎる心配がありません。領域の[焼き込み]や[覆い焼き]は、明度を少しだけ強調できる手軽で簡単な方法です。[焼き込みツール]の場合、ソフトブラシで衣装が重なり合う部分をペイントし、説得力のあるオクルージョンシャドウを作成しましょう。

[覆い焼きツール]の場合、特に目立たせ、ひときわ輝かせたい部分のハイライトを強調します。これらのツールはやり過ぎると危険です。すぐに明度が歪められ、非現実的でフラットなイメージになってしまうでしょう。ここでは、控えめに行うのがコツです。前述したように、すべてのマテリアルには、それぞれ明度の範囲があることを忘れないでください。

図11:[焼き込みツール]と[覆い焼きツール]で明度を強調します

09 歴史に照らし合わせて色付けする

衣服の色は、時代の流れに応じて大きく変化してきたため、デザインに適切な色をリサーチするとキャラクターの信憑性がぐんと上がります。たとえば、90年代に人々が着ていたものを思い浮かべ、その色を中世の将軍が着ていると想像してください。あまりしっくりきませんね。

19世紀のヒーローの場合、その時代で頻繁に使われた色が「ネイビーブルー(濃紺)、オーカー(黄土色)、バーガンディ」であることに気付きました。そこで、これらの色を念頭に置きながら、描画モードを[カラー]に設定したブラシで大きめの要素をさっと塗り、さまざまな組み合わせを試しました。その後、普通のブラシでもう1度ディテールを追加しました。

図12:ネイビーブルー(濃紺)、オーカー(黄土色)、バーガンディを衣装のメインカラーとして使います

10 デザインの決定

しばらくしてから、3体の人物像のうちの2番めに落ち着きました。ダブルのコートとロープ付きジャケットは3体の中で最も良い組み合わせであり、2色のパンツと汚れたブーツの組み合わせも気に入りました。ベルトはいまいちで、3番めのデザインの方が良かったので、2番めの人物にベルトだけコピー&ペーストしています。最後に、納得いくまでもう1度、衣装のディテール作成と調整を行いました(図13)。

 

図13:納得いくまでもう1度、衣装のディテール作成と調整を行いました

※本チュートリアルは、書籍『Photoshop で描くキャラクター』からの抜粋です

 


編集部からのおすすめ:人体を描く&造るテクニックの上達には、書籍『コンセプトアーティストのための人体ドローイング』、説得力のあるキャラクターをつくるには、書籍『Photoshopで描くキャラクター』をおすすめします

 


翻訳:STUDIO LIZZ
編集:3dtotal.jp