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パースを活用した 巨大モンスターの描き方

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ハンガリー Digic Pictures のコンセプトアーティスト Sina Pakzad Kasra氏 がパースを活用した巨大モンスターの描き方を紹介します


Sina Pakzad Kasra
コンセプトアーティスト / Digic Pictures | ハンガリー

はじめに

このプロジェクトでは、エピック(叙事詩的)ファンタジーのイラストを題材に、パースを活用して巨大なスケールと信憑性のある奥行きを構築をしていきます。これを実現するため、山間の小さな村に向かってくる、巨人のようなモンスターを作成しましょう。

ペイントを始める前に、モンスターの描き方について自問自答してみてください。「それは村から遠ざかっていく後ろ姿ですか?」「それともカメラに向かって近づいてくる威圧的な姿でしょうか?」「後景や前景に配置したら、どのように見えるでしょう?」私が気に入ったのは、巨人を後景に配置して、できるだけ大きく見せる手法です。また、数名の村人や護衛を前景に描いて、巨大モンスターと周囲のスケールの違いを際立たせることにしました。

まず、基礎から始め、制作プロセスのステップを1つずつ説明していきます。そうすることで、デジタルのイラストやペインティングにおける、私の制作手法を簡単に理解できるでしょう。適切な構図の取り方、正しいブラシとベースカラーの選び方、明暗のスポットを使った奥行きの取り方を紹介。また、ディテールをシーンに加える方法や、光でシーンを明るくする方法も解説します。

01 構図

アート制作の鍵は、「構図」「シーンの要素をいかに注意深くフレーム内に配置するか」という点にあります。これが最初のステップになります。

構図の作成では、[ブラシツール][なげなわツール]で、基本フォームや大きいシンプルな表面の描画から始めます。まだディテールは気にせず、アイデアをシンプルに表現することに集中してください。作成した構図が気に入らなければ、簡単に変更できます。私は構図をいくつか試験的に作成し、その中から最も良いものを選ぶようにしています。基本フォームを描いたら、[なげなわツール]でさまざまな形状を作成、構図の中に配置します。1 色のみで描けば、構図に集中できるでしょう。

図01:ディテールは気にせず、[なげなわツール]や[ブラシツール]で形状をざっとペイントします

02 正しいブラシの選択

ペイントを始める前に、このプロジェクトで使いたいブラシについて考えを巡らせます。可能であれば、ブラシプリセットやブラシセットを実際に用意して、表現したい雰囲気や使いたいテクニックを想像してみましょう。私がよく使うお気に入りは、図02 のように実在のマテリアルに似ているブラシ、手書き/手塗りスタイルのブラシ、絵画調の一般的なブラシです。

ブラシにはそれぞれ独自の質感があり、制作プロセスに応じて使い分けることができます。空き時間を利用して、さまざまな種類のブラシを使ったカラースケッチやスピードペインティングを描き、ブラシの効果を実際に確かめてみましょう。あらかじめ実験しておけば、次の作品で制作プロセスごとに適切なブラシをすぐ選べるので、時間の節約につながります。

図02:適当なブラシを選び、イラストを発展させます

03 ベースカラーの選択

作品に見合った正しいカラーパレットを選択すれば、シーンのオブジェクトがはっきりして、鑑賞者の目にも魅力的に映ります。

構図を決定したあとは、ベースカラーとトーンの設定に入ります。制作過程で、何度も変更するかもしれませんが、あらかじめ色の見当をつけておくほうが得策です。ペイントを始める前に、作品の主要な色について想像を巡らしましょう。

私は巨大モンスターと人々の間の距離を強調し、シーンに薄気味悪い雰囲気を与えることにしました。そこで、明るいグレーを後景にして、中景・前景と近づくにつれトーンが暗くなるようにペイントします。トーンに統一感を持たせ、シーン全体をもっとダイナミックに見せましょう。色を上手く調和させるには、明暗を調整する必要があります。全体にニュートラルグレーのレベルを加えると良いかもしれません。

図03:ベースカラーを選択し、基本的なトーンで色を入れます

04 明暗の調

適切な被写界深度と大まかな光のムードを作成したので、次は明暗のスポットを簡単に配置します。このスポットを作成するには、前のステップで選択したベースカラーでペイントします。これによりシーンを平坦にすることなく、被写界深度を強調できます。

新規レイヤーを作成し、描画モードを[オーバーレイ]に設定。次に[グラデーションツール]([円形グラデーションに設定])、または滑らかなエッジのブラシを選択、明暗をつけたい部分に適用します。最も暗い領域には黒や暗いグレーを、最も明るい領域には白や明るいグレーを使用します。

図04:滑らかなブラシや[グラデーションツール]で、明暗のスポットを配置

05 消失点の正確な配置

ディテールに取りかかる前に、できるだけ正確に消失点を配置しましょう。ディテールはシーン全体のパースに沿ったものでなければいけません。このステップはとても重要です。オブジェクトを描画している間も、間違いのないようパース線を常に引いてください。間違ったパースで絵を完成させても、その作品は鑑賞者に受け入れてもらえません(どんなに小さな部分でも不自然に見えます)。それはできの悪いスケッチを上塗りしたようなものです!

シーンの消失点を見つけたら、そこに向けてさまざまな角度で伸びるパース線を、別レイヤーに作成しましょう。私は太く明るい色で描画しています(今回は赤)。実際のイメージには取り入れませんが、さまざまなトーンでペイントする際も、この上を簡単になぞることができます。このパース線に沿って全体を調整し、正しいパースを構築してください。

図05:消失点を配置し、パース線を活用します


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