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【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード13:GEHENNA ~その軌跡2 -脚本への道-

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ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!


片桐 裕司 / HIROSHI KATAGIRI
彫刻家、映画監督

東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。
東京生まれ、東京育ち。1990年、18歳のときに渡米。スクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きはじめる。98年にTVシリーズ『Xファイル』のメイクアップでエミー賞受賞。その後、『ターミネーター』『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエーション等で有名なハリウッドのトップ工房スタンウィンストン スタジオのメインアーティストとして活躍(2000〜6年)『A.I.』『ジュラシックパーク』『タイムマシーン』『宇宙戦争』等の制作に携わる。現在、フリーランスの造形家、映画監督として活躍中。

エピソード13:GEHENNA ~その軌跡2 -脚本への道-

今回は、私の長編映画作品『GEHENNA ~死の生ける場所』の脚本の執筆にたどり着くまでの話です

>>エピソード9:GEHENNA ~その軌跡 -3本の短編映画- のつづき

待っていても何も起こらない。何もしないで「君にこの映画の監督を頼もう!」なんて、都合のいい話が来るわけありません。「長編映画を監督するのに今の自分ができることは何か?」 それを考えた私は、まず、自分の映画の脚本を書くことにしました。脚本ならばお金がなくてもできて、「どんな映画になるか」がわかるからです。そして、まず書くにあたり、以下の事を考えました。


  1. 無名の監督が作る映画なので、お金がかからない映画にしなければならない
     実際に作るという前提だと、大作は現実味がない
  2. 自分の経歴を生かしたものにする
     日本とアメリカで育った特質を生かす。そして特殊メイクを出せるものにする
  3. 世界に通用するものにするため、主要キャストはアメリカ人にする
     言語は当然英語に
  4. サスペンス/ホラー映画にする
     基本、私はあらゆる映画が好きで、コメディー、ホラー、ドラマ、SFとどんなものでも作りたいと思っています。 しかし、私が「ロマンチックコメディーを作る!」と言っても、おそらく、1ドルも集まらないでしょう

「SFは金がかかりすぎるだろうし....」と考えたら、ドラマかホラーが残りました。「ドラマは英語でそこまで深くできない」と思い、自分の仕事を生かせるサスペンスホラーにしました。以上の条件で内容を色々考えてみると、もう少し決まってきます。「少人数のアメリカ人が、日本に関連したどこかに閉じ込められて、その中で怖い思いをする」 要約するとこうなります。

これをもとにあれこれ発想したところ「旧日本軍の秘密基地」というアイディアが浮かびました。では「どこにそんなものがあるのか?」と考えた時にパッと出てきたのがサイパンでした。そして「アメリカ人が何をしにサイパンに行くのか?」と考えて、「土地開発会社がリゾートホテル建設候補地の視察に行く」という発想に行き着きました。

監督長編映画作品『GEHENNA』のワンシーン

ストーリー

リゾートホテル建設の視察のため、サイパン島を訪れた土地開発会社の社員ポリーナとタイラー。現地コーディネーターのアランとペペ。そして、カメラマンのデイブの一行は候補地であるジャングルに入っていく。そこで、地下壕に続く階段を見つけ中に入ると、そこには、米軍も把握していなかった旧日本軍の秘密基地があった。5人は、その場所に秘められた太古から続く呪いに翻弄され、誰も予想もできなかった恐ろしい結末に導かれていく...

ささっと簡単に書きましたが、ここまでくるのに大変な苦労をしました。

脚本を英語で書くという事

いくら長いことアメリカに住んでいるからって、アメリカ人と同等のレベルで書いたり喋ったりできるわけじゃありません。基本、私はアーティストで、英語はコミュニケーション手段であって、マスターしようと勉強したわけじゃないし。自分がまず書いて、それをアメリカ人に修正してもらう。そして、戻ってきたもののニュアンスが変わってしまっていたら、また自分で直して、その英語をさらに直してもらうという大変なプロセスがありました。本業である特殊メイク・特殊造形の仕事もフルタイムでやっていたので、人に見せられる脚本を作るのに1年以上はかかったと思います。根気よく付き合ってくれた友人に感謝です。

脚本の書き方なんて勉強したことなかったけど、今まで見てきた映画の膨大な情報量があったため、どうにかストーリーは組み立てることができました。少なくとも、その当時は組み立てられていると思っていました。

そして、それと同時に映画のビジョンを見せるためのアートワークも作りました。アーティストの友達は多いので、自分でやったり、頼む事は頼んだりと。そうして出来上がった脚本とアートワークを、仕事の中で知り合った人を通して、プロデューサーたちに読んでもらう。これをチャンスがあるたびに随分と続けました。

初期のコンセプトアート

教科書との出会い

しかしながら、誰に渡してもいい返事が来ません。「この映画を作ろう!」と言ってくれる人は現れません。では「日本語にして、日本を舞台にした日本映画ならチャンスがあるのではないか」と思い、設定を全て変え、全て一から日本語で脚本を書き直し、日本の某プロデューサーにピッチしたりもしました。しかし、それでもいい返事はもらえません。そんなもやもやした中である本と出会いました。

脚本の勉強をしたことがなかった私が出会った本『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』(シド・フィールド著)

アメリカでは、これが「脚本の教科書」としても使われているらしく、これを読んだ私は目から鱗どころか、自分の脚本の稚拙さに愕然としました。「これではいかん」と思い、今まで書いた全ての脚本を捨て、もう一度、新たにストーリーを組み直すことにしたのでした。(つづく

 

★バックナンバーはこちらから

■片桐裕司さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/hollywoodfx/

■ハリウッドで活躍するキャラクターデザイナー 片桐裕司による彫刻セミナー
http://chokokuseminar.com/

映画『ゲヘナ 死の生ける場所 (Gehenna Where Death Lives)』予告編 (2分8秒/ 監督:片桐裕司 / 日本語字幕)

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