【特別寄稿】造形家 / 映画監督 片桐裕司の いろいろあっていいんじゃない?|エピソード27:GEHENNA ~その軌跡5 -クラウドファンディング再挑戦-
ハリウッドで彫刻家、キャラクターデザイナー、映画監督として活動。日本で開催する彫刻セミナーは毎回満席の片桐裕司さんのエッセーです。肩の力を抜き、楽しんでお読みください!
エピソード27:GEHENNA ~その軌跡5 -クラウドファンディング再挑戦-
映画『GEHENNA ~死の生ける場所』の初めてのクラウドファンディングは失敗に終わってしまいました。しかし...
>>エピソード24:GEHENNA ~その軌跡4 -クラウドファンディング開始- のつづき
初めての クラウドファンディング である Kickstarter(キックスターター)は目標金額には遠く及ばず失敗に終わりました。しかし、キャンペーン中に色々なオファーがありました。その多くは「うちで宣伝するよ」といったものでしたが、その中で何か気になるオファーを見つけ、それを書いた人物も LA在住ので、その人に会って、話を聞くことにしました。彼は宣伝マーケティングを生業としている人で、その中でもキックスターター専門にやっている人でした。
彼曰く「君のプロジェクトは成功する要素がすべて揃っている。しかし、君は売り方を間違っている」ということでした。プロジェクトの売りというのは「トップレベルのハリウッドメイクアップ FXアーティストが手がける初監督作品」ということでした。自分ではこんな宣伝できません(笑)。思ってもいないし。
問題点ややり方について、自分自身も彼の言うことすべて納得し、仮に、もし、次にまた、キックスターターをするとしたら、このようなマーケティングの人が必要であることは十分承知していました。しかし、次は絶対に失敗できない。「キックスターターはもう無理だ」ということを言ってくる人もいました。再挑戦はものすごく怖い選択でした。
色々な可能性を探ってみましたが、どうしても、また、自分で資金を集めねば何も始まらない。「やはり、もう一度やろう」と決心するまで数カ月くらいかかったと思います。そして、最初の失敗から半年後、ついに、2度目の キックスターター に挑戦したのでした。
不気味な老人役の Doug Jones氏(ダグ・ジョーンズ)と
キャンペーン中の1ヶ月半は、毎日フルタイムで更新やビデオの制作などがありました。その間、自身の彫刻セミナーのため、日本にも行き、そこでもビデオを撮ったりしました。典型的なパターンなのですが、最初出すときはガーッとお金が集まって、あとは中だるみして、なかなか伸びないのです。途中何度も「ダメかもしれない」と思いました。ネタを更新するたびに Facebook に "いいね" がいっぱいつくけど、その数字がそのまま投資には繋がらない。おかげで "いいね" が大っ嫌いになってしまうほどでした。そして、1ヶ月半の必死の戦いの末、どうにか目標金額の22万ドルを超えて、24万ドルを集めることができたのでした。達成したのはタイムリミットの2日前だったと思います。
エジソンは100回の実験に失敗した時こう言いました。「失敗したのではない。私は100通りの出来ないやり方を発見したのだ」と。私は1度目は失敗しました。しかし、最初のチャレンジは無駄だったのでしょうか? そんなことはありません。それがなければ2度目は確実になかったのですから。
私はうまくいかなかった時「じゃあどうするか?」という言葉をキーワードにして生きています。失敗してもダメだとは思わず、「じゃあどうするか」と考えると、何かしらの解決方法は出てきます。間違うことも多いです。でも、それでもいいと思います。間違いは間違いなのではなく、エジソンのように「これじゃあできない」という発見なのです。そしてそれは、出来た出来ないに関わらず、必ず経験になります。だから行動するという事はものすごく大切なことだと思います。
私が今自信を持って言えること、それは「チャレンジすることに絶対に損はないということ」 できるかできないかはどうでもいいのです。やるかやらないかが大切なのです。(つづく)
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