【インタビュー】制作活動の軌跡：イラストレーター Csaba Bánáti氏
Q. 自分の作品を気に入っていますか? 「これだ!」と思うターニングポイントがありましたか?
がっかりすることは稀ですが、作ったものに満足することはありません。普段は、自分の作品を見るのも嫌なんです。しかし、それが問題とは思いません。私自身が変われば、考え方や見方も変わっていくものだと思います。プロジェクトごとに学びがあり、次はもっといいものを作ろうという意欲が湧いてきます!
ターニングポイントになったのは「勇気を出して 自分のイメージを投稿したこと」ですね! これ以来、自分が作るすべてのプロジェクトは「前より良くなければならない」という見えないプレッシャーを感じるようになりました。
「Waiting For Nothing (何を待つでもなく)」
Q. 最も誇りに思っている作品と、その理由をおしえてください
個人プロジェクトだと、2つあります。1つは先に示した「Purgatory (煉獄)」です。これは、長い間、何も投稿していなかったときに、制作したイメージです。日々、自分の中にインスピレーションが溜まっていくのを感じ、少し変わったものを作りたいと強く思うようになりました。かなり好評だったので、その意味では「成功した」と思っています。もちろん、もっとよいものができたのではないかという思いは、今でもあります（しかし、それは今よりもっと若く、経験の浅い私が作った作品です）。
もう1つは、「Echo Lake (反響する湖)」です。私のガールフレンドは私の作品を見ると、「悲しいイメージや憂鬱なイメージしかない」と言います。そんな彼女が心から喜んでくれたのは、人生で初めてのことでした。そして、いつものように、彼女の直感は的中しました。この作品は評判になり、有名な企業名が名を連ねる出版物にも掲載されました。
「Echo Lake (反響する湖)」
Q. 改善に取り組んでいることはありますか? 目標に到達しました?
すべてを改善しようと取り組んでいます。構図、色、ストーリー、そして新しいテクニックなど。しかし、アートに関して、目標に到達することはないと思います。そこには常に改善の余地がありますが、目標に到達したと言った瞬間に、改善することを止めてしまうでしょう。また、新しい分野にも足を踏み入れているので、向上心があれば、学びは尽きません。でも、そこが魅力なんです。
先に述べたように、最大の目標は「ハイレベルの一貫性を獲得すること」です。それが、優れたアーティストと凡庸なアーティストを分ける差になります。特に依頼された仕事をするときは、誰でも何度か幸運に恵まれることがあるものです。夢のあるプロジェクトがあれば、素敵なイメージを作るのは簡単です。しかし、あまり期待できないプロジェクトでも、常に高品質の作品を生み出せる人は、本当に優秀だと思います!
Q. 作品を新鮮に保つコツはありますか?
新鮮さを保つには、3D以外のことをやるのがお勧めです! 基本的に何からでもインスピレーションを得ることができます。1日10時間やっていることをやめて、何か違うことや、新しいことに挑戦してみてください。あるいは、古いものを、新しいアプローチでやってみるのもよいでしょう。
Q. これから「アートの旅」を始めようとしている読者にアドバイスをお願いします
忍耐強く、一貫性を持ち、決してあきらめないでください! 今は、3D を始めるのに前ほどお金もかかりません。優れたフリーソフトやフリーチュートリアルが、どこにでもあります! そして、自分の作品に刺激を与えてくれる人を見つけるとよいでしょう。3Dであろうと、他のアートであろうと関係ありません。その後、成熟するにつれて、自分自身の心の声が聞こえるようになるはずです!
「Garden of Damocles (ダモクレスの庭園)」
Q. これからの作品についてお聞かせください
答えるのがとても難しい質問ですね。私は、自分のやるすべてのことに批判的で、それはアイデアに対しても同じです。たくさんの企画がありますが、それを成し遂げるために、必要な時間を割く価値があるかどうか、定期的に再評価しています。そして通常、答えは、残念ながら「見合わない」です。
常に、少なくとも3-4つの野心的な個人プロジェクトを同時にこなしながら、依頼されたプロジェクトでも新しいチャレンジをしています。家族、仕事、個人制作のバランスを取るのは、とても難しいのです。
▼ 関連記事
>> 【インタビュー】心の声に耳を傾ける：イラストレーター Csaba Bánáti氏
>> 【チュートリアル】「Garden of Damocles」のメイキング
編集部からのおすすめ： 色、構図.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』そして、『続 デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』をおすすめします。
