【インタビュー】サイバーパンクからウエスタンまで:3Dキャラクターアーティスト Rodrigo Avila氏
ゲームや映画のコンセプトアートを制作、主にモデリングとテクスチャリングを専門とする Rodrigo Avila氏。彼は新作を作るたびに、その挑戦を楽しみ、常に学ぶ努力をしています
Q. 自己紹介をお願いします
Rodrigo Avila、年齢は27歳、ブラジルのサンパウロに住んでいます。3Dキャラクターアーティストやコンセプトアーティストとして、主に映画やゲームのキャラクター/クリーチャーのモデリングやテクスチャリングをしています。子供の頃から絵を描くのが好きで、今アートに関わる仕事をしているのは夢のようです。
Q. 制作ワークフローをおしえてください。『サイバーパンク2077』のファンアートのアイデアはどこから得ましたか?
首周りのプロテクター、目と頭部のモデリングに ZBrush、テクスチャに MARI と Substance Painter、レンダリングに Maya / Arnold を使用しました。これらのソフトを使えば、手早く素晴らしいテクスチャを作成できます。肌には Texturing XYZ のテクスチャを使っています。このサイトには、最高のスキンテクスチャ パックがあり、ZBrush でモデリングした傷跡のような部分も含まれています。ヘアには XGen を使いました。これは簡単に毛を作成できるので気に入っています。
このキャラクターのアイデアは、『サイバーパンク2077』が発表されたときに思いついたものです。「近未来」は私のお気に入りのテーマで、個人制作ではいつも取り入れるようにしています。
『サイバーパンク2077』にインスパイアされた男性キャラクターのファンアート © Rodrigo Avila
リアルな眼球 © Rodrigo Avila
Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか
最大の課題は、キャラクターをできるだけリアルにすることでした。特に毛穴や肌のテクスチャを仕上げるのに、数カ月を要しました。その間、3Dキャラクターの制作プロセスについて、テクスチャリングやルックデヴなど、勉強しなければならないことがたくさんありました。どんなプロジェクトにも課題はつきものですが、それは、アーティストにとって貴重な学習機会だと思います。
Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか?
プロジェクトでは、モデリングに ZBrush、テクスチャリングに MARI / Substance Painter を使っています。ZBrush を好む理由は、毛穴のテクスチャ、フォトリアルなディテールのような細かい作業を行うためです。レンダリングには、Maya / Arnold をよく使いますが、プロジェクトに応じて Redshift も使っています。もう1つ、個人プロジェクトでお気に入りのソフトが Procreate で、新しいプロジェクトのスケッチに使っています。
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください
少なくとも毎月1つ、新しいプロジェクトに取り組み、ポートフォリオを更新したいと思っています。新しいことを学べば、プロジェクトで実践するモチベーションになるので、常に心がけています。個人制作は、自分が本当に好きなことを学び、創造するための手段になります。
私からのヒントは、「アーティストが前向きに進化できるようなプロジェクトに取り組むこと」です。それは、ポートフォリオ用のコンテンツを制作するモチベーションになるでしょう。また、ポートフォリオを分析し、古い作品が多すぎないかチェックしてください。古い作品が多いと、採用担当者を混乱させることがあります(アーティストの作品は常に進化しているため)。
Q. SNS を使っていますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか
Facebook のアートグループ「Ten Thousand Hours」や Pixologic のグループ、ブラジルのアートグループに参加しています。アーティストやコミュニティにとって、こうしたアートグループはとても重要だと思います。そこではつながりやフィードバックを得られ、他のアーティストと素晴らしい交友関係を築けるでしょう。それは、あなたを芸術的に進化させてくれる場所です。
#ConceptArt、#3Dart、#CGI のようなハッシュタグをフォローしています。特にハッシュタグを検索できる Instagram は、アーティストにとって素晴らしい SNS だと思います。
Q. 芸術的な目標はありますか?
ILM や MPC、Weta などの映画会社で働くか、ハリウッドのブロックバスター映画のコンセプトアーティストになるのが目標です。映画業界にずっと憧れ、仕事をしたいと思っていたので、いつか叶えたいですね。もう1つの目標は、近未来をテーマにしたプロジェクトを立ち上げ、ショートフィルムとして発表することです。これは、数年かけて計画的に展開していくつもりです(まだ冷静に調査している段階です)。
NVIDIA Metropia Challenge 2042 | David Walker © Rodrigo Avila
Sha-Amun-en-su、2018年、世界史の貴重な遺物と共に焼失したリオデジャネイロ国立博物館のトリビュート作品 © Rodrigo Avila
Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください
私はお気に入りのアーティストをリストアップしています。中でも最もインスピレーションをもらえるアーティストは、師であり尊敬する Alex Oliver と Kris Costa の2人です。Alex の作品は業界の多くの人が参考にしており、Kris Costa は 私の作品に多大な影響を及ぼしています。彼らの作品の高度なリアリズムが大好きです。
他にも好きなアーティストがいます。Rafael Grassetti、Glauco Longui、Ian Spriggs、Hossein Diba、Bruno Camara、Abdelrahman Kubisi。2Dアーティストでは、Jama Jubaraev、Maciej Kuciara、Andrew Domachowski、Adrian Wilkins、Serge Birault、そして 妹の Gislaine Avila です。
デヴィッド・ボウイのトリビュート作品 © Rodrigo Avila
Q. 新作についてお聞かせください
新しいプロジェクトは、ウエスタン(西部開拓時代)のキャラクター(エイブラハム・リンカーン)で、これはずっと探求したいと思っていたテーマでした。ウエスタン好きの人には、ぜひチェックしてもらいたい作品です。今、一番作りたいのは、近未来をテーマにしたショートフィルム プロジェクトです。そして、テクスチャリングとレンダリングのチュートリアルにも取り組みたいです。
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