【インタビュー】コレクターズアイテムやゲーム用モデルを制作:3Dキャラクターアーティスト Akshay Jain氏
インドの 3Dキャラクターアーティストの Akshay Jain氏 は、コレクターズアイテムやゲーム用モデルを制作しながら、常に研鑽に努めています
Q. 自己紹介をお願いします
皆さん、こんにちは。インド出身の Akshay Jain です。私は、コレクターズアイテムやゲームモデルを制作するフリーランス 3Dキャラクターアーティストで、最新作は『Ghost Rider』になります。他にも、2つのコレクターズアイテム プロジェクトに取り組んでいます。
Q. 制作ワークフローをおしえてください。アイデアはどこから得ましたか?
『Ghost Rider』は、クライアントから委託されたプロジェクトです。ラフスケッチはあったものの、すべての研究と開発は自分で行いました。西洋文化のカウボーイの衣装と馬の解剖学の研究開発は意欲をかきたてるものでした。
ワークフローはできるだけシンプルに留めています。まず、ブロッキングですべてを大まかに作り、その上に集めたリファレンスどおりにディテールを施していきます。私は、コンセプトに忠実にフィーリングを追求しています。ディテールは、プリントしたときに見映えするくらいがちょうどよいでしょう。本作は全体的に手作業でスカルプトし、衣装のテクスチャにはタイリング可能なアルファを使用しました。
Q. 制作で苦労したことはありますか? 新しい学びはありましたか?
実は、今回初めてこのような大きなプロジェクトに取り組みました。有機物と無機物の要素がたくさんあるため、キャラクターや馬のポージング、馬の解剖学など、全体的にやりがいのあるものでした。このキャラクター(初代 Ghost Rider)の物語は 19世紀半ばに始まり、現代まで数々の経験してきたはずなので、ダメージと摩耗を加えています。そして、カーター・スレイドと その愛馬の関係を示せるように、キャラクターの雰囲気も重視しています。
こうして、怠惰にならずに新しいことをたくさん学びながら、研究領域を広げていきました! 通常はクライアントの要件を満たせるように努力しますが、今回の作品では、思いどおりに生命を吹き込むことができました。
Q. 仕事や個人プロジェクトで他に使用しているソフトウェアはありますか
主に ZBrush を使い(このツールが大好きです)、キャラクター開発やコレクターズアイテムの仕事をしています。Maya でオブジェクトをブロッキング(大まかに作成)してから、ZBrush に取り込み、そのメッシュを基に自由に作り込みます。アンラップとリトポロジーは、主に Maya を使用しています(個人制作とクライアントの仕事の両方で)。
Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください
正直に言うと、私は作品を最新に保つ秘訣を持ち合わせておらず、日頃から定期的に仕事をすることだけに集中しています。おそらくそれは「理論的」なもの、あるいはソフトウェアで理論知識を適用する「実践的」なもののいずれかでしょう。大事なのは、1日も無駄にしないことです。かつて、私は怠け者でしたが、今は違います。毎日スカルプトの技術を磨き、新しいことを学ぼうとしています。
重要な解剖学も毎日勉強しています。そして、たとえ仕事をしてないときも、SNS で他の偉大なアーティストの作品を見て、インスピレーションを受け取ったり、日常生活の物事を観察して、頭の中のライブラリにデータを取り入れたりしています。自分だけのビジュアルライブラリがあると尚よいでしょう。誰もが自分のペースで仕事をしているので、それを継続できるようにしましょう。
Q. 芸術的な目標はありますか?
現在は特に目標はありません。以前は「3dtotal や ZBrushCentral で自分の作品を紹介したい」と思っていました。そして、今 3dtotal でインタビューを受け、ありがたいことに素晴らしい賞までいただくことができました。
学生の頃の夢だった ZBrushCentral でも、トップローに作品が選ばれました。今望むのは、このまま仕事をして質を上げていくことだけです。私は量より質だと信じているので、一生懸命取り組めば、結果は必ずついてくると思います。
Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください
アートコミュニティには素晴らしいアーティストがたくさんいて、日々刺激を受けています。Daniel Bel、Gurjeet Singh、Adam Fisher(※「ゲームキャラクターをつくる」参照)の作品が好きです。
他にも、Gerard Kravchuk、Rodrigue Prailer、Andre Yamaguchi、Rafael Grassetti など挙げればきりがありません。彼らは、作品やキャラクターに対する独自の考え方やスタイルを持っています。その作品には独特の雰囲気があり、とてつもない才能が垣間見えます。
Q. 次回作についてお聞かせください
次回作について言えることはあまりないのですが、マーベル・ユニバースのコレクターズアイテムに取り組んでいます。最後になりましたが、意見を述べる機会を与えてくれた 3dtotal に感謝します。
▼ Akshay Jain氏 によるメイキング
ZBrush 使用、ゴーストライダーと炎のスカルプト
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