【インタビュー】映画から多くのインスピレーションを得て。ブラジルの 3Dアーティスト Vinicius Paciello氏
3Dアーティストの Vinicius Paciello氏 は、映画『ゾディアック』(2007年、監督:デヴィッド・フィンチャー)から着想を得て、『Hello, this is the Zodiac speaking』 を制作。そこから独自のプロセスと目標を見つけました
Q.自己紹介をお願いします
こんにちは! Vinicius Paciello です。2013年から3Dアーティストとして働いており、現在ブラジルのサンパウロに住んでいます。
Q. 新しい作品について。背後にあるストーリーやアイデアは何ですか? 達成できたことはありますか?
映画から多くのインスピレーションを得ています。デヴィッド・フィンチャー はお気に入りの監督の 1人です。『Hello, this is the Zodiac speaking』は、映画『ゾディアック』を見たときに思いついたアイデアで、その 1シーンを再現するというものです。とても素晴らしい映画だったので、ガールフレンドと一緒に再鑑賞し、そのときに時間をかけて制作することを決意しました。ポートフォリオを再構築して VFX/映画業界に参入しようと思っていたので、プロの制作(コンセプトから仕上げまで多くのステップ)をカバーするのにうってつけの題材でした。
Q. 使用ソフトやプラグインをおしえてください。難題に直面したとき、どうやって解決しますか?
主に 3ds Max と V-Ray で制作し、テクスチャリングには Photoshop を使用します。本作では ZBrush でキャラクター(犯人の Zodiac とタクシー運転手の Paul Stine)をモデリングし、ポリペイントしました(当時は MARI を使っていませんでした)。プロジェクト自体は非常にシンプルで、シーン全体のモデリングに 5週間ほどかけました。最終イメージの Zodiac はかなりピンぼけさせたため、特に問題はありませんでした。
車の内装のモデリングは、適切なリファレンスが見つからなかったので、最も苦労しました。車種が決まっているモデルなので、他の車と混合したくありませんでした。私の記憶が正しければ、ステアリングホイールのみ別のフォードギャラクシーモデルにしました(私の好みです)。
現在、MARI を勉強中で、一貫したワークフローに統合しようと考えています。また、より多くのソフトウェアオプションを探求し、After Effects と Premiere の連携についても詳しく学んでいます。
Q. 芸術的な目標はありますか?
短期的な目標は、VFX/映画業界に進むことです。そうすれば、よりプロフェッショナルなワークフローを開発できることでしょう。長期的な目標は、卓越したアーティストになることですが、なぜそうしたいかはわかりません。おかしいですね(笑)。
Q. SNS を使用していますか? お気に入りのハッシュタグをチェックしていますか?
Ten Thousand Hours などの Facebookグループや他のレンダラーグループで私を発見できるでしょう。通常は V-Ray Masters(ブラジルの公式V-Rayグループ)や NimboCG といったブラジルやポルトガルのグループに参加しています。
Q. ポートフォリオを洗練するにはどうすれば良いですか? 何かヒントはありますか?
私はフルタイムのフリーランスですが、常に個人プロジェクトに取り組んでいます。そうすれば、ポートフォリオ自体を更新できるだけでなく、作成しながら アイデアやテクニックを研究できるでしょう。ポートフォリオを常に更新していくと、どうなると思いますか? 面白いことに、含まれていた作品は ほぼすべて排除され、本当に良いものだけが残ったのです(目標は、新しく より良いプロジェクトでポートフォリオを再構築することです)。
Q. 好きなアーティスト(手描き/デジタル)はいますか? その理由もおしえてください
Erik Johansson や Rob Gonsalves の作品を目にしてから、私はアートを楽しめるようになりました。もちろん、今でも大好きです。お気に入りのアーティストはよく変わるのですが、今は Marek Denko と Toni Bratincevic が、私の作品づくりに強く影響している人物だと思います。彼らはミスなくコンセプトやアイデアを素晴らしいイメージとして伝える卓越したスキルを持っています。Alex Roman にも大きく影響を受け、そのカラーグレーディングにいつも魅了されています。最近だと Marcel Haladej、Cornelius Dammrich、Leo Ribeyrolles の作品にとても感銘を受けました。 2Dアーティストでは Eve Ventrue、Kim Jung Gi(キム・ジョンギ)が大好きです
Q. 次回作はどのようなものですか?
現在、いくつかの新しい作品に取り組んでおり、リールを構築するためのプロジェクトをさらに集めようと計画中です。いつ準備できるかはわかりませんが、今のところ、次のステップに進められていると信じています。
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