【インタビュー】3Dアーティスト Tiago Rios氏
3Dアーティスト Tiago Rios氏が 3DTotalギャラリー3月の入選作、ファンアート作品「Imperfect Cell -セル不完全体」のメイキングについて解説します
Q.自己紹介をお願いします。
ブラジル、サンパウロの Meles School で講師として勤務しています。また、フリーランスの3Dアーティストとしても活動しています。
Q.入選作についての説明をお願いします。
『ドラゴンボールZ』のファンアートコンテストのために作りました。アニメの『ドラゴンボール』シリーズでセルは私のお気に入りのキャラクターです。セルをモチーフにした多くの作品がありますが、オリジナルのように素晴らしい作品がなかったので「最悪の敵、CG映画のキャラクター」に見えるように再デザインして作りました。
セルのバストアップ
Q.むずかしかった点と、それをどうやって乗り越えたかをおしえてください。
最もむずかしかったのは、再デザインするときの「セルというキャラクターと昆虫要素のブレンド」でした。リサーチに時間をかけ、カマキリやカブトムシの画像を集め、キャラクターに加えてみました。
Q.どのソフトを使用しましたか? また、そのソフトを使用するときのテクニックや、他によく使用するソフトがあればおしえてください。
使用ソフトは 3ds Max や ZBrush です。よく言われることですが、特定のソフトに拘らず、自分が気持ちよく使用できるソフトを選ぶのがいいでしょう。3ds Maxを使用するなら、スクリプトやプラグインを調べましょう。私はプラグイン Quad Chamfer Modifier や xformer 2.0 をよく使います。これらの2つの追加ツールはモデリングを本当に助けてくれます。
『ストリートファイター』シリーズの豪鬼
Q.あなたの作品には特別なスタイルがあると思いますか? また、よく使用するテクニックはありますか?
そうは思いません。スタイルにおいてはオールラウンドなアーティストになるよう心がけています。これは、フリーランスとして働く場合、とても重要なことだと思います。リアルなキャラクターもマンガ的なものも同じように作れるようになるべきでしょう。とは言うものの、私はマンガが大好きなので、キャラクターのプロポーションや姿勢を大げさにしてしまいがちですが。
Carlo Arellano氏のデザインをもとにしたSFキャラクター
Q.現在の目標は何ですか?
AAAクラスのゲーム開発会社のキャラクターアーティストとして働くことです。そのために毎日制作しています。チャンスは望まなければやってきません。そして、思いもよらないところからやってきます。なので、その日まで頑張り続けます!
Q.今後、学びたいソフトは何でしょうか? また、その理由をおしえてください。
テクスチャリングの技術を高めたいので MARI ですね。MARIはテクスチャリングのレベルを上げてくれると思います。また、すでに使い始めていますが、リアルなクロス(布地)のしわをシミュレートできる Marvelous Designer も学びたいですね。
『ヴァンパイア』シリーズのドミトリ
Q.どうやってポートフォリオを更新していますか? その秘訣は?
長期プロジェクトと短期プロジェクトを交互にやるようにしています。こうやって、1つのプロジェクトに行き詰まらないように、できるだけ早くプロジェクトを終わらせて新しいプロジェクトを始められるようにしています。長期プロジェクトは、適切なトポロジ、UV設定、レンダリングまでできるような全身のキャラクターです。短期プロジェクトは、テクスチャなしのバストアップ(胸像)などです。
短期プロジェクトのバストアップ(胸像)
Q.お気に入りのアーティスト(アナログ / デジタル)は誰ですか? また、その理由は?
むずかしい質問ですね。アナログ、デジタルともに、多くのお気に入りのアーティストがいますが、特にインスパイアされているのは、Igor Catto氏、Rafael Grassetti氏、Bruno Camara氏 です。いつも最新の作品をチェックしています。また、この場を借りて、友人であり、師でもあるIgor Catto氏に、いつもの貴重な意見への感謝の意を示したいと思います。Simon Lee氏 の作品も大のお気に入りです。彼の作品のダイナミズムやボディランゲージは素晴らしいです。
Blizzardのオーク(ファンアート作品)
Q.気分転換の方法は?
油性粘土でのスカルプトは気分転換とデジタルスキルの改善につながります。最近、スカルプトへの情熱が高まって止まりません! 週末のガールフレンドとの映画鑑賞も気分転換になりますね。
Q.今後の抱負は?
シネマティックスやゲームパイプラインにフォーカスしたキャラクターを制作しています。これら2つの分野に秀でたいので、次の作品は、そういったものになるでしょう。
Imperfect Cell -セル不完全体