【インタビュー】フリーランス 3Dアーティスト Nhan Le氏

日本の風景をリアルなCGで再現した作品『Go home late -遅い帰宅』の作者、ベトナムのフリーランス 建築ビジュアライゼーション / 3Dアーティスト Nhan Le氏のインタビューと作品メイキングムービーをご覧ください


Nhan Le
フリーランス 建築ビジュアライゼーション / 3Dアーティスト


Q.自己紹介をお願いします

私はベトナムの3Dアーティストです。建築デザインの大学で5年間学び、4年のときに 3ds MaxV-Ray に関心を持ちました。大学を出た後、CGへの情熱のため、建築ビジュアライズの方向へ進むことにしました。そして現在、フリーランスの建築ビジュアライゼーション / 3Dアーティストとして働いています。

Q. 作品『Go home late -遅い帰宅』のインスピレーションはどこから得ましたか? また、制作裏話があれば おしえてください

ちょうど結婚したばかりで、毎晩、妻の遅くの帰宅を待っていました。彼女をとても愛しており、何かプレゼントしたいと思っていたところ、幸運にも、多くの才能ゆたかなアーティストから学べる環境にありました。Gleb Alexandrov氏の『Big City Sensory Overstimulation』を目にしたのは偶然でした。そして、Cornelius Dammrich氏が『52HZ』を公開したのも その頃でした。

実は、この2つの作品の虜になった私は、同じような作品を私なりの方法で作ろうと決めました。とはいえ、とても忙しく、制作時間がなかなか取れず、週8時間を確保するのが精一杯でした。また、私の強みはモデリングやテクスチャリングの技術ではなく、周囲のものを観察する能力だと思っています。

Q. 使用ソフトやプラグインをおしえてください。また、むずかしかったこと、どうやってクリアしたかをおしえてください

ほとんどのモデルは 3ds Max、テクスチャは Photoshop で作成しています。木は SpeedTree で作成し、ディテールの必要なコンクリートや石壁の侵食などは ZBrush で作り込んでいます。

『Go home late -遅い帰宅』の制作において多くの時間を要した最大の障壁はビルの看板でした。私はベトナム人なので、日本語がほとんど分かりません。また、看板の文字は正確にしたかったので、テクスチャ解像度を 4,000ピクセルより大きくしなければいけません。そこで Photoshop を使い、それらすべてを手描きにすることにしました。

Q. 普段の制作ワークフローで使うソフトは何ですか? 他にお好みのソフトやプラグインはありますか?

3ds Max でモデリングして V-Ray でレンダリングするのが好みです。V-Ray は、私の要求はほとんど満たしてくれるのでとても快適です。

最近、SpeedTree の使い方を学び、とても面白いツールだと知りました。Youtube に多くのチュートリアルがあるので、それらを研究して、リアルな植物のルックに挑戦しています。

Q. 芸術的な目標はありますか?

作品『Go home late -遅い帰宅』の目的は、フォトリアルなイメージを作り出すことでした。より詳細で確かなシーンを作ることが、常に私の目標です。

Q. 今後どのようなソフトウェアを学びたいですか? そして、その理由も教えてください

森林のシーンを作ろうと思っているので、実在する植物(特に木々)のテクスチャを作るのに便利な MARI を調べています。もっと、自由時間があればいいのですが。

Q. 好きなアーティストはいますか? その理由もおしえてください

Alex Roman氏の作品『The Third & The Seventh』が大好きです。私の新作に多くのインスピレーションを与えてくれました。また、Marek Denko氏の作成するリアルなCGには、いつも驚かされています。2人とも私にインスピレーションを与えてくれるアーティストです。

『Go home late -遅い帰宅』

メイキングムービー

★Go Home Late (Tokyo 2007)_vfx breakdown(4分7秒)

 


翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp