Maya&ZBrush 使用、有機的な昆虫クリーチャーの作成

06 テクスチャリング

テクスチャリングでは、UDIM の作業に最も効率的な MARI を使用します。まず、Substance 3D Painter を使い、MARI でマスクに使うマップをいくつかベイクしましょう。このクリーチャーは複数のパーツで構成されているため、各パーツの相互作用を、マップのベイクでコントロールしました(AOでは、アーティファクトが重ならないようにするなど)。

Maya ですべてのパーツに「_low」というサフィックス(接尾辞)を付け、ZBrush でも同じ名前に「_high」を付けます。そして、Substance でメッシュのペアを認識させ、それに応じたベイクを実行します(詳細は、Substance 3D bakersメッシュマップのベイク処理をご覧ください)

Maya から低解像度メッシュを FBX 形式で書き出したのは、「メッシュ名ごと(By Mesh Name)」のベイクと相性が良いからです。基本的なAO(アンビエントオクルージョン)、Curvature(曲率)、キャビティマップはもちろん、便利なスマートマスクを使った Dirt(汚れ)マップも生成しています。

Substance でマップをベイクする

MARI では、4~5グループの基本設定を作り、別々に作業します(ベースカラー、角、模様、下部など)。私はこれらのグループにレイヤーとマスクを組み合わせ、非破壊のワークフローで作成しました。シームレスなテクスチャ(コンクリート、土)とベースカラーを含むタイルノード(Nodes > Procedural > Pattern > Tiled Node)を主に使い、凝ったことはしていません。私はテクスチャを手描きすることはほとんどなく、マスクでレイヤーを操作するのが好きです。最も時間がかかったのは、クリーチャーの色を決めることでした。何度か試した結果、茶と黄のグラデーションがあるゴキブリっぽい色を選びました。

MARI でクリーチャーに色を適用します

07 ルックデヴとレンダリング

ルックデヴでは、HDRIマップと 2~3のエリアライトを使った基本セットアップから始め、モデルの形を浮かび上がらせます。Arnold レンダラーは強力で、デフォルトのままでも素晴らしい結果になります。エリアライトの強度や露出を少し変えてみましたが、このクリーチャーは複雑なため、最終的に6つのライトでディテールを強調しました。シェーダは堅牢な[aiStandardSurface]を使い、SSS を有効にして 自然かつフォトリアルなルックを実現しています。

08 ディスプレイスメント EXRマップのヒント

ディスプレイスメントマップ(32ビットEXRファイル)をエクスポートしているときに、古いバージョンの ZBrush のマージ サブツールが動作しませんでした(このバグは、新しいバージョンではおそらく解決されていると思います)。

そのため、私は Nuke を使って、同じUDIM空間を共有するサブツールのマップをマージしました。まず Nuke にマップをインポートし、Mergeノードでこれらのマップを1つにまとめます。ZBrush は赤(red)チャンネルを使うので、ディスプレイスメントマップをレンダリングするときは、赤チャンネルをチェックします。また、ノード Float 合成を使って、Maya EXRマップを直接合成することができます。

Nukeでマップをマージする

完成イメージ

ターンテーブル:360度動画

■ Fran Alonso氏 制作の他のチュートリアル:ZBrush 使用、『悪魔の胸像』のメイキング

 


編集部からのおすすめ:ZBrush による制作テクニックを学ぶには、書籍『ステップアップのための ZBrush ガイド』『ZBrush キャラクター&クリーチャー』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp