できるだけ、お金をかけずに CG・デジタルアートをはじめる方法
ILM のテクスチャアーティスト Cristian Bolivar氏 が、できるだけお金をかけずに使えるデジタルアート制作ツール/ソフトを紹介します
はじめに
こんにちは、Cristian Bolivar です。これから、低予算でも デジタルアートを制作できることを伝えたいと思います(おかしな話ですが、ほとんどの人はデジタルアーティストになることの真意を無視しています)。この記事は愛好家や初心者だけでなく、デジタルアートに移行中のプロ、伝統的なアーティストにも役立つ内容になっています。私は、映画や広告などのさまざまな分野で、3Dアーティストとして働いてきたので、デジタルアーティストのニーズをよく理解しています。
01 最高の時代
私たちは、エキサイティングな時代に生きています。今、デジタルアーティストになることは、プロにとって真の選択肢と言えるでしょう。テクノロジーの発展は、モバイルデバイスで猫の動画を鑑賞できるようにしただけではありません。アーティストとしてのスキルを開発・探求する機会も提供しているのです。一緒に働いているシニアアーティストから、「数十万もする古い特殊なソフト」や「強力なシステムがないと動かないソフト」の話を聞くことがあります。しかし、今のトレンドや環境は全く異なり、デジタルアーティストとして成功するかどうかは、あなた次第です。
02 3つのシンプルな質問
予算を決めるのと同じくらい重要なのは「何が自分の強みになるのか」を明確にすることです。そして、それを簡単に定義するため、いくつかの質問をしてみてください。
「今、何をしていますか?」
「これから、何をするつもりですか?」
「何ができますか?」
これらの質問に答えれば、どこに最も予算をかけるべきかがわかり、不要なものに、無駄なお金をかけずに済むでしょう。たとえば、あなたが「コンセプトアーティスト」なら、36コアのプロセッサに 1,000ドル も費やす必要はありません(作業内容的に、そこまでのスペックは求められません)。
03 ハードウェアとソフトウェアのどっちが重要?
3つの質問に答えたら、次はハードウェアとソフトウェアにどれくらい予算をかけるのかを決めていきます。おそらく、これが最も変動しやすい決め事になるでしょう(そのため、先にテクノロジーやトレンドが変化することを述べました)。ハードウェアとソフトウェアは、自分の経験や好みに左右されますが、初心者は、フリーソフトに機会を見出してみてください。
04 低コストツール
私たちは、ソフトウェア開発の盛んな良い時代に生きています。つまり、ユーザーにはさまざまな選択肢があるため、1つのツールにこだわる必要はありません! 以下に、お勧めの低コストツールをいくつか紹介します:
Photoshop:驚かれるかもしれませんが、月額20.99ドル(*日本では安価なフォトプランがあります)で、Photoshop を利用できます。これは、あらゆる種類のデジタル制作に対応する、汎用性が高い多機能ツールです。デジタルペインター、フォトグラファー、デザイナー、他の業界向けに、多くの選択肢を提供しています
Black Magic Fusion:業界で長年にわたる実績を持つ素晴らしいツールです! Fusion は、ノードワークフロー、3Dワークスペース、他の優れたツールなど、デジタルアーティストにとって本格的な選択肢となります!
Maya Creative:価格的にも、本家 Maya の弟分です。いくつかの点で制限もありますが、素晴らしいものを作るのに十分な性能を持っています。主にゲーム制作に特化しているため、その道に進むなら、ぜひ検討したい選択肢です(* Flexライセンス:1日1トークンで利用可能)
Marmoset Toolbag:会社で Marmoset を使い始めたとき、誰もがそのシンプルさと効率性に驚いたのを覚えています。リアルタイムモデルはもちろん、非リアルタイムなものにも対応できる、非常に優れたレンダリングエンジンです
Maya でのモデリング
私の最初の3Dモデルの1つ。Marmoset でレンダリング
05 フリーツール
Krita:お気に入りのツールの1つです。ブラシがとても素晴らしく、インターフェースも使いやすいです。Krita は Photoshop の優れた代替手段になるでしょう。また、Photoshop にはない便利な機能もあるため、試してみる価値があります
Natron:デジタルコンポジターなら、おそらく Nuke について聞いたことがあり、それがどれほど高価であるかも知っているでしょう。Natron は Nuke や Fusion の優れた代替手段になり、それぞれの良いところをほとんど含んでいます。これはフリーソフトのオプションとして素晴らしく、デジタル合成の概念を学ぶのにうってつけの学習ツールです
Blender:実は... これがなぜ業界標準でないのか、理解できません。Blender による作品を見ると、それがフリーツールで作られたとは思えないのです。このソフトは、3DアニメーションやVFX制作のための良い選択肢になるでしょう。多くの低価格3Dパッケージより完成度が高く、コミュニティも親切です
Krita のスクリーンショット(「Hummingbird(ハチドリ)」のプロジェクトより)
Blender のスクリーンショット(『Agent 327』のデモシーン)
結論:すべてはあなた次第
結論として、デジタルアーティストになるには、今が良いタイミングだということです。どんなツールやテクノロジーが登場しても、常に最も大切なのはソフトを使う「人」であり、「人が違いを生み出す」ということを忘れてはいけません。
編集部からのおすすめ: 色、構図.. アートのセオリーを学ぶ/再発見するには、書籍『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版』そして、『続 デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』をおすすめします。