3Dも活用、アピールのあるキャラクター:エジプトの神「ホルス」のメイキング
コロンビアの イラストレーター&コンセプトアーティスト Juan Pablo Corredor Martinez氏 が 3Dも活用、アピールのあるキャラクター「ホルス」のメイキングを紹介します
はじめに
このチュートリアルの題材は、エジプトの神「ホルス」です。私にとって、ファンタジーや神話はいつもインスピレーションの大きな源になっており、制作プロセスやアピールのあるデザインを見つける作業を楽しんでいます。ここでは Photoshop や 3Dツール(*ここでは Daz3D)などを活用した制作方法を紹介します。
01 ムードボード
新しいプロジェクトの立ち上げで最も重要なのは「適量のリファレンスを準備」です。デザイン思考を養うためのビジュアルライブラリがなければ、アピールある結果を得ることはできません。私は「素材、ひだのある布、ライティング、ポージング、尊敬するアーティストの作品」など、さまざまなインスピレーションやビジュアルリファレンスとなるものを探すのに 最低でも 2時間はかけています。イメージを集め終えたら、それを「ムードボード(moodboard)」と呼ぶファイルにまとめます。
作品は リファレンスの量に比例して向上します
02 スケッチ
まず、スケッチをします。このとき、悪いアイデアを排除、脳に記憶されているもの(*映画、ゲーム、そのテーマに関する一般的な印象)を繰り返さないようにします。
おすすめの方法は「最初に基本的な形を使い、それをさまざまなサイズで組み合わせたり、解剖学や服装、一般的なシルエットの新しいアプローチを考えたりして、面白く見せること」です。通常、私は Photoshop でスケッチしますが、インスピレーションがいつ湧いてきても描けるように、スケッチブックを常備しています。
ディテールにこだわらず、形のコントラストを追求する
03 ポージング
アピールのあるスケッチが完成したら、そのデザインを一貫してサポートするポーズを探ります。この作業には時間がかかりますが、多くのポーズを見つける方法があります。Google 画像検索 や Pinterest で調べてもよいでしょう、また、さまざまな目的に応じたポーズを提供しているウェブサイトもあります。ウェブ上で必要なものが見つからないときは「自分で写真を撮る」あるいは「3Dツールでバーチャルボディにポーズをつけて、カメラを動かす」などしてみましょう。
3Dツールは、正しいポーズを見つける手助けをします
04 ふさわしい色
ふさわしい色を見つけるのは、おそらく最も難しいステップです。私の場合、明度は考えずに色から始め、すべての固有色(ローカルトーン)を定義するのが好みです。このプロセスは 「FLATS」とも呼ばれています。技術的には、レイヤーで色を分けていきます。そうすれば、最初から色の全体像が得られ、パレットを適切に制御できるようになります。
ふさわしい色 を見つける
05 光の状況
デザインに合ったライティングを決めることは重要です。ドラマチックに見せたいですか? それとも、描写がよくわかるように見せたいですか?
キャラクターの表現が目的だと、より説明的になり、ディテールまで見せようとしがちです。しかし、私は、より重要な要素を選んで、そこに強い光を当てて 焦点にします。
大まかなライティング
06 光、影、色
まず、「メインライトがどこから来るのか」「暖色系か、寒色系か」を決めます。次に、「フォームシャドウ、キャストシャドウ、フィルライト、バウンス光、反射光など、他のライティング条件」を施します。
このとき、色はどうしますか? 色をきれいに仕上げたいなら「暖色 vs 寒色」のルールを適用しましょう。ライトが暖かければ、影は冷たくなり、その逆も同様です。フィルライトは影の色を決める重要な要素です。「ある光の影には、別の光が存在する」ということを常に念頭に置いてください。
色調のまとめるためには「暖色 vs 寒色」を意識することが有効です
07 明度の確認
色を直接ペイントすると、よく明度がわからなくなります。そのため、Photoshop の調整レイヤーを使い、いつでも「白黒」に設定できるようにしましょう。こうして、グレースケール表示すれば、コントラストが効いていない箇所を確認することができます。
明度を頻繁に確認しましょう
08 調整&ディテールの追加
デザインは いつでも改善できます。この時点で「何か物足りなさ」を感じたため、フォームをもう少し推し進めます。新しい布を加え、全体の印象をあまり変えずに、より堂々とエレガントに見せます。また、ディテールにも気を配り、細かい部分にも集中します。
デザインに惚れ込みすぎないでください。そうすれば、いつでも改善できます
09 仕上げ
ペイントを終えたら、色調補正をしたり、背景に 光の筋、リムライト、埃などの微妙な要素を加えたりして、全体をまとめます。最後に[多い焼きカラー]などの描画モードでライトの領域を強調して、デザインの二次的な部分に少しぼかしを入れて完成です。
最終イメージ
このチュートリアルが皆さんのお役に立てば幸いです。最後まで読んでくれてありがとうございます。
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