はじめに

これからコントラストを基調としたイラスト制作を段階的に紹介します。「文化」「肌の色」「明暗」「無地と模様」など、多くの変数を管理し、統一感のあるイメージを描いていきます。同時に「肌」と「生地」に焦点を当て、明度と色の取り組み方について、その思考プロセスを解説します。

暗い肌、明るい肌

01 ラフスケッチ

このチュートリアルは、イラストの描き方を順に説明するだけでなく、特定のトピックにも焦点を当てます。最初の主なテーマは「肌」のペイントです。まず、明るい肌と暗い肌の2人のキャラクターを用意し、明度を考慮した構図を大まかにスケッチしました。

キャラクターの腕や髪を絡ませて寄り添わせ、まるで 1人の人間のように見せています。構図の計画では、オレンジの線で示したS字の「流動性」に従わせようと思いました。

構図を決めるためのラフスケッチ

02 暖色の下塗り

今回のようにグレーの下塗りから始めたときは、できるだけ早く色をつけます（いつもグレーの下塗りから始めるわけではありません）。まず、グレーの上にオレンジ／セピアの塗りつぶしレイヤーを追加し、［カラー］描画モードに設定します。続けてスケッチレイヤーを［乗算］描画モードに設定し、［色相・彩度］調整で茶色系に変更しました（［色彩の統一］：オン ）。

これは、伝統的な絵画で行う暖色の下塗りに似ています（ここではグレースケールから暖色に変更）。下地のオレンジは、あとで上に乗せる色を照らし出す効果があり、グレーの上で色が「くすんで」見えるのを防いでくれます。

暖色の下塗りで、上の色がくすんで見えるのを防ぎます

03 キャラクターに名前をつける

キャラクターの名前を決めましょう。左のキャラクターは Aniela（アニエラ：ポーランド語の天使「anioł」が由来）、右のキャラクターは Xolani（ゾラニ：アフリカの名前で「平和であること」）にしました。描いたキャラクターに名前をつけておくと、単なる「制作物」以上のつながりを持てます。

アートでつける名前には、キャラクターの個性を要約する役割があり、見る人だけでなく、後の作業で制作者のテーマを理解するのにも役立ちます。キャラクターの名前を考えるのは、実はとても面白い作業です。世の中には、「一般的ではない名前」「未知の名前」「幻想的で神秘的な響きを持つ名前」がたくさんあります。

04 ベースとなる肌の色をブロッキングする

この時点でベースとなる肌の色を塗っていきますが、それは、どのような光源の下で描きたいかによります。手元のリファレンスに応じて、「光に合う色から始めるか」、「ローカルカラーから始めて後で調整するか」を決めましょう。今回は上から寒色のライトを当て、後ろから暖色のバックライトを当てることで、2人の肌を少し紫がかった色にしました。

ベースとなる肌の色をブロッキングする

05 他のベースカラーの追加

服に色を加えたり、背景色を変えたりして、色を全般的に試していきます。このアプローチは直感で進めますが、最終的なものではありません。私の場合、後で大きく変えることが多いので、あくまでもベースとして扱います。すべてのストロークは、今のところ非常にラフです。

他の要素にもベースカラーを追加します

06 スケッチ線を少しずつ取り除く

徐々に線を消したり、スケッチの上にペイントしたりする段階です。スケッチレイヤーには、残しておきたい情報や暗部の明度があるので削除しません。代わりに、不要な部分にオーバーペイントしたり、スケッチを部分的に消したりする方が簡単です。

ここから、スケッチレイヤーの上にペイントを始めます

07 背景に円を加える

キャラクターの後ろに明るい円を加えましょう。これは、全体の印象を決める重要な手順です。バックライトだけでは、キャラクターと背景がうまく分離しませんでしたが、背景全体を明るくするのは避けたいと思いました。円を加えた結果、大きなコントラストが生まれ、頭部が素敵な焦点になりました。また、この部分を強調するため、下部をすべて暗くしました。この円のおかげで神秘性が増し、ある種の宗教的なイラストっぽくなっています。

円によって大きなコントラストが生まれ、頭部が素敵な焦点になりました

08 絵を洗練させる要素を自由に追加していく

ここからは、描画とディテールの追加という長いプロセスになります。大きな変更点として、私は左の Aniela に伝統的なシャツを加えました（最近、訪れたポーランドの山岳地帯の伝統衣装です）。それは実際にキャラクター間に大きなコントラストを生み出しています。私が考える個人制作の魅力は、どの段階でも自由に変更できることです。

伝統的なシャツを加えることで、キャラクター間のコントラストがより強調されています