ZBrush 使用、溶岩のキャラクター「Burning Desire」のメイキング

キャラクターアーティスト Anda Deng氏 が、その作品「Burning Desire」のメイキング、腕と顔、滴り落ちる溶岩のモデリングプロセスを紹介します


Anda Deng
キャラクターアーティスト|米国

はじめに

このチュートリアルでは、モデリングとテクスチャリングの観点から、顔・腕・溶岩の制作手法を説明します(使用ツール:ZBrushMayaMarmoset ToolbagSubstance Painter/ 作品コンセプト:Qiu Fang氏 の「The Warpriest (戦僧)」)。また、経験に基づき、優れたアーティストになるためのヒントも合わせて紹介します。

01 顔のモデリング

頭部を作るのはとても楽しく、やりがいがあります。まず、たくさんのリファレンスを探し、最終的に絞り込みました。3Dコンセプトを制作するときは、いくつかの基本原則を覚えておくとよいでしょう。「アートの原則」には 「バランス」「コントラスト」「リズム」などがあります。基本的にデザインでは、一次、二次、三次フォームを与えるのが基本です。私はいつも「厚い(Thick)、薄い(Thin)、細かい(Dense)、粗い(Loose)」というルールでデザインしています。

 

顔のリファレンス

02 顔のテクスチャ

まず、「ゲームアセットには、実際に見える色よりも多くの色が必要である」と覚えておきましょう。これは素晴らしいヒントであり、その好例が『ゴッド・オブ・ウォー』のクレイトスです。ゲームで彼の顔に近づいて見ると、たくさんのカラーバリエーションがあります。これらの色を組み合わせることで、ゲームエンジンでの見栄えが格段に良くなります。

 

『ゴッド・オブ・ウォー』 ストーリートレーラー(3分18秒)

顔のリファレンス、顔の色

03 腕と溶岩のモデリング

腕の制作は、全体で最も興味深いものでした。考えたのは「力強くたくましい腕」です。まず、腕モデルをハードサーフェスっぽく作り込み、ZBrush でコンクリートのアルファをペイントしてフォームを崩します。溶岩のモデリングも単純な作業ですが、見映え良くなるように「厚い・薄い・細かい・粗い」のルールを常に維持するように心がけています。

アルファ、デフォルトの[Standard]ブラシ

04 腕と溶岩のテクスチャ - 概要

テクスチャを作る上での重要ポイントは、一次、二次、三次構造の場所を明確にすることです。つまり、すべてを均一にするのではなく、レイヤーごとにテクスチャを作っていく必要があります。

 

腕のリファレンス

05 溶岩のテクスチャ

溶岩のように高い忠実度が求められるものに、Marmoset Toolbag のようなリアルタイムレンダラーが適さないことはわかっていました。蜂蜜のようにならずに溶岩の質感を再現するため、まずテクスチャ側でできる限りの調整をしてから、Marmoset Toolbag で熱量をとても高くしました。

 

Substance Painter で溶岩のテクスチャリング

テクスチャの調整を終えてから、Marmoset Toolbag でレンダリング

プロのヒント

・インスピレーションを維持する:何かを作り始める前にリファレンスを見つけなければいけません。しかし、インスピレーションとハングリー精神を維持するためにも、普段からリファレンスを探す習慣を身につけましょう。

・アーティストとしてふるまう:自分自身を「ツールの 1ユーザー」でなく、「1アーティスト」とみなしてください。ユーザーはワークフローに沿って段階的に作業を進めていきますが、アーティストはあらゆることを試しながら作品を作っていきます。

・カラーリングのコツ:暖色系は要素を際立たせ、寒色系は要素を重要でないように見せることを意識してください。暖色系と寒色系のコントラストを強めると、作品がぐっと引き立つかもしれません。

 

暖色、寒色

 

完成イメージ


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編集:3dtotal.jp