どこか見覚えのある場所「Chasing Nymphs」のメイキング

05 中景の山

中景の山を追加します。まず、コンセプトでブロックアウトした形に合うように山の画像を切り出し、[トーンカーブ]でレベルを合わせます。これは後景の山と同じテクニックです。次に別の[トーンカーブ]で各山の色味を合わせます。奥行きに応じて明度が薄れていくことも忘れてはいけません。後景は中景よりもコントラストが低くなります。

中景の山

06 平地

まず、地肌を表現するため、明度と色補正で複数の写真を統合してつなぎ合わせます。次に統合したベース要素の複製レイヤーを作成して[スクリーン]にします。そして、キーライトを表したい場所にペイントしていきます。

平地

07 前景

ここで前景要素を追加します。方向性を出すため、同じ向きにワープさせた2枚の写真を組み合わせました。こうして、前景から中景へ、中景から後景の焦点へと視線を誘導します。また、カメラに近いものほど空気遠近法の影響を受けにくいため、この要素は色や明度のコントラストがより高くなります。そして、山頂に人を描いて、「彼は何を見ているのだろう?」と思わせるようにしました。

前景

08 ニンフ(妖精)

ニンフ(妖精)を追加しましょう。私は、ニンフを純粋なエネルギー(魔法のように)見せたいと思いました。これを実現するには、光のフレアそのものを模倣するのが一番です。レンズフレアの要素をたくさん組み合わせ、光の筋を描き、モーションブラー効果を与えました。

ニンフ(妖精)

09 大気

大気の演出は楽しい作業です。煙、ほこり、霧、光芒を加えて、イメージに深みと生命力を与えていきます。カスタム スモークブラシで山の間に煙を描いて区切り、奥行きを出しました。また、ソフトブラシで後景の空から色を抽出し、後ろに向かうにつれていくつかの霧を描き込んでいます。最後に、雲間から覗く一筋の大きな光を加え、視線をニンフたちのほうへ誘導しました。

大気

10 グレーディング

最後の仕上げがグレーディングです! ここまでのイメージは、大気のせいでかなり白飛びして見えます。それらを弱めて、コントラストと統一感のある色味を加えていきましょう。

まず[レベル補正]で中間調を下げてコントラストを出し、次に色補正で全体的にシアン調を強めます。続けて[フィルター]>[レンズ補正]>[カスタム]>[色収差]スライダをオフセットし、現実のカメラのアーティファクトを模倣します。最後に[フィルター]>[ノイズ]で、フィルムグレインを少し追加。この時点でかなり満足のいく仕上がりになったので、完成とします。

 

グレーディングをした完成作品

 


編集部からのおすすめ: フォトバッシュやブラシのテクニックで 素早く絵を仕上げる技法、スピードペインティングを学ぶには 書籍『スピードペインティングの極意』や 書籍『Photoshop で描くデジタル絵画 完全改訂版』をおすすめします。

 


編集:3dtotal.jp