ジャン=クロード・ヴァン・ダムの躍動:「Bloodsport」のメイキング

08 ショートパンツとベルト

ショートパンツとベルトは Marvelous Designer で作成しました。JCVDモデルをインポートして、ショートパンツとベルトにするためのパターン(型紙)を作成。私は服のデザイン経験がないので、インターネットでパターンのアイデアを検索し、見つけたものを組み合わせています。研究開発とテストを繰り返し、図のような最終結果になりました。

衣装(クロス)のスクリーンショット - WIP

09 布のマテリアル

作成したショートパンツとベルトのメッシュを Substance 3D Painter にインポートします。リアルに見せるため、若干の grunge(グランジ)、dirt(汚れ)、ノイズのバリエーションを加えてマテリアルを調整し、そのマップをエクスポートします。

Substance 3D Painter のスクリーンショット

10 シーンの作成

映画のスチールを参考にしながら、背景になるシーンをできるだけ詳細に再現しました。モデリング、テクスチャリング、シェーディングはすべて 3ds Max で行なっています。旗や垂れ幕は、Marvelous Designer で作成したものを 3ds Max にインポートしました。


3ds Max のシーン

Marvelous Designer の垂れ幕、マット、旗

11 レンダリング

このシーンにはたくさんのライトがあり、ALshader や サブ サーフェイス スキャッタ も使ったため(JCVDモデル)、ディテール表現に高いレンダリング設定と AA(アンチ エイリアシング)が必要でした。今回は、シーン全体をワンパスでレンダリングしていますが、汗のジオメトリのみ別パスに分け、レンダリング設定を高くして、極端なちらつきとノイズを軽減(汗は完全な屈折/反射でサイズも小さいため)。最後に大気のパスを作成し、ポストプロセスで若干プッシュしてライトのボリューム感を表現しています。

キャラクターとシーンのビューティパス、大気のパス、汗のパス

12 合成

レンダリングしたパスを After Effects で合成します。その後、色調補正し、映画のオリジナルカラーに基づいてカラーグレーディングを施し、雰囲気を近づけました。その上に、ポストエフェクト(レンズエフェクト、モーションブラーなど)を加え、最終レンダリングの臨場感を高めています。

合成したパス

完成イメージ

プロのヒント:汗のジオメトリ

まず、キャラクターモデルのサブディビジョンレベル(HDモードではない)を最高にして、フリーハンドで汗をかかせたい場所をマスクします。次に[サブツール]パネル>[抽出]で、好みの[厚さ]にして[抽出]ボタンを押します。新しいジオメトリが生成されたら、ルックをチェックして[確定]ボタンを押し、新しいサブツールを作成します。その後、高解像度(今回は 512)でダイナメッシュを適用し、[変形]パネルの[膨張]や[膨張(風船)]を使ったり、手動で滑らかにしたり、膨らませたりして、希望どおりの結果を得ました。

汗のジオメトリの作成手順

顔の汗

 

★完成ムービー“Bloodsport” Jean-Claude Van Damme fan art likeness(1分30秒)

【インタビュー】ダイナミックな人体ポーズを:3Dアーティスト Karagiannis Stavros氏

 


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編集:3dtotal.jp