はじめに

こんにちは、ギリシャの 3Dキャラクターアーティスト／3Dジェネラリスト Karagiannis Stavros です。以下のメイキングでは、最新プロジェクト「Bloodsport」を紹介します。これは、ジャン・クロード・ヴァン・ダム（JCVD）が武術家フランク・デュークス役で出演した映画『ブラッド・スポーツ』（1988年）をベースに制作したものです。

ポストエフェクトをかけた JCVD の完成ビューティショット

01 リファレンス

インターネットから多くの JCVD の画像を集めると同時に、映画『ブラッド・スポーツ』のスクリーンショットを見て、ジオメトリ情報、テクスチャ、ライティング、セット、そして映画全体の感触をつかみました。これらの情報は、最終イメージのカラーグレーディングにも使用します。

このキックポーズはとてもダイナミックで、肌にひだやしわができます。そこで、ボディメカニクスや皮膚の変形に関するアナトミー（解剖学）の疑問を頭の中で整理するため、さまざまなアングルの写真（キック、人物）を集めました。私は便利なソフト PureRef を使って、リファレンスをタイル表示し、いつでも拡大してディテールを確認できるようにしています。

JCVD、映画『ブラッド・スポーツ』、セットのリファレンス

02 主なフォームを大まかに作る

ZBrush ではまず、「A」ポーズの体の主要フォームをブロッキングしました。このキャラクターはショートパンツを履いているので、ボディを 2つのメッシュに分けて作成し、ポリゴン数を管理しています。今回はダイナメッシュの球から最終結果に至るまで、2回リトポロジしました。

JCVDモデル - WIP

03 モデルのポーズ

主要なフォームが整ったら、ZBrush で体の各部位をマスクし、回転させてポーズを作成します。この作業はとても大変で、中でも難しかったのは、重量バランスを正しく感じさせることでした。

ポーズ - WIP

04 より詳細なフォームをスカルプトする

ポーズの作成の後は、すべて非対称に造形していきます。この作業にはとても時間がかかりました。より詳細なフォームをスカルプトし、全身を動かしたり、時々、大きなフォームを修正します。こうして一進一退を繰り返すうちに、アナトミー、モルフォロジー（形態学）、フォームをより正確に理解することができました。

修正とディテールを加えたフォーム

05 HDモードでのスカルプト＆ポリペイントの開始

ここまでの作業に満足したら、次は［HDモード］でさらにポリカウントを上げて、毛穴やしわなどを追加していきます。これらのディテールはすべて、Texturing XYZ のアルファと組み合わせ、手作業でスカルプトしました。

同時にディフューズマップを取得するため、モデルのポリペイントを始めます。作業の間、私は時々、モデルをエクスポートし、V-Ray（3ds Max）のレンダリング結果でどのように見えるかを確認します。ZBrush のパースと 3ds Max のパースは少し違うので、この手順はとても役立ちました。

HDスカルプティング、ポリペイント、テストレンダリング

06 さらにポリペイント

フォームを動かし、修正を続けながら、完成イメージに近づけます。レンダリング結果を見れば、どこをどう改善すべきかわかるので、ポリペイントでディテールをさらに追加していきます。

ポリペイントとテストレンダリング

07 ヘア

すべてのヘアは、3ds Max の Ornatrix で作成しました。髪の毛のコーミングでは、最終的なヘアスタイルになるようにガイドを手動で動かし、体毛とうぶ毛には、矢印のガイドを配置して表面に沿わせる［Surface comb］機能を使用しました。また、ZBrush で黒と白のポリペイントを施し、密度、マルチストランド、縮れなどをコントロールするためのマップを抽出しています。今回は髪の毛のコントロールとバリエーションを増やすため、いくつかの異なるヘアレイヤーを使用しました。

ガイド コーミング - 密度マップ