【インタビュー】ダイナミックな人体ポーズを:3Dアーティスト Karagiannis Stavros氏

ギリシャの 3Dジェネラリスト/キャラクターアーティスト Karagiannis Stavros氏 は、ダイナミックなポーズのリアルな作品を生み出しています


Karagiannis Stavros
3Dジェネラリスト/キャラクターアーティスト|ギリシャ


Q. 自己紹介をお願いします

ギリシャ(アテネ)出身の Stavros Karagiannis です。ファインアートの芸術学士号(BA)を取得し、独学の 3Dアーティストとして2007年からこの業界で働いています。近年は、キャラクタースカルプトの技術を高めるため、アナトミー(人体解剖学)やモルフォロジー(形態学)の勉強をしてきました。現在はフリーランスとして、主に CM やゲームなどの仕事に携わっています。

 

「Bloodsport」

「Bloodsport」ターンテーブル

Q. あなたのアートについておしえてください

スタイルはリアリズム寄りですが、過去にはスタイライズされたカートゥンっぽいプロジェクトも手がけています。お気に入りのテーマはキャラクターや人体の制作です。「皮膚の変形」「ひだ」「筋肉」「脂肪」、そして それらがどのように調和するのかを理解しながら、ダイナミックなポーズのスカルプトを楽しんでいます(言うなれば、金属のエコルシェ)。

これまで手がけたクライアント向けプロジェクトで最も気に入っているのは、男性ランナーの彫像をスカルプトした「Night Run」です。個人プロジェクトでは、サンダーキャッツのファンアート「Lion-o」と、ジャン=クロード・ヴァン・ダムの「Bloodsport」(※メイキング近日公開予定)が、今のところ一番のお気に入りです。

 

金属のマテリアルを適用したもの

「Lion-o」

「Lion-o」ターンテーブル

Q. ワークフロー、そして、普段使用しているソフトウェア/ハードウェアについておしえてください

キャラクターを作るときは、いつも ZBrush(一般的なベースメッシュ、または ZSphere)で始めています。モデリングが完了したら、モデルとマップをエクスポートし、3ds Max にインポートします。次のステップでは、シーンのライティング、シェーダの作成、マップの適用を行い、V-Ray でレンダリングします。この段階で、モデル/マップなどの改善点が少しずつ見えてきます。レンダリングでは、さまざまなライティング条件でテストするので、問題があれば明らかになります。こうして何度も行き来して、プロジェクトは完了します。

ハードウェアは、24ギガRAM と 2つの Xeon 5650 CPU を搭載した HP Z800 ワークステーション です。古いですが、いい仕事をしてくれます。

 

「Lion-o」

Thundercats Lion-o Fan art

Q. インスピレーションになっているものはありますか?

3dtotalArtStationZBrushCentralPinterestGoogle などの Webサイトで、インスピレーションを与えてくれる CGIレンダリング(主にキャラクター系)をよく検索します。他のアーティストの作品を見ると、インスピレーションが後押しされます。それは、本当に勉強になり、建設的だと思います。また、ダイナミックなポーズや動きをとらえた写真で人体を観察すると、そこから新しいアイデアが浮かんできます。

 

「Lion-o」

Q. ポートフォリオをアップデートする秘訣・ヒントがあればおしえてください。何かコツはありますか?

知識を広げ、技術やワークフローの実践を通じて、進化させています。こうして、私は作品を高いレベルへ引き上げるための経験を積みました。「習うより慣れろ」です。時間はかかりますが、希望は叶うでしょう。

 

「Lion-o」

Q. お気に入りのアーティストは誰ですか? 手描き/デジタルどちらでもかまわないので、理由も一緒におしえてください

好きなデジタルアーティストは、Kris CostaMarco Di LuccaKlaus SkovboBrett SinclairScott EatonMarlon R. NunezDaniel Bel です。彼らのアナトミーやモルフォロジーの知識、そして、それを被写体に適用する方法はとても勉強になります。中には、質感や陰影が極限までリアルに表現された、驚異的な作品もあります。業界のトップランナーがやっていることを見て学べば、自分の作品が「どの位置」にあり、「何を」改善しなければならないのか、「なぜ」そうするのかを理解できるでしょう。

 

「Night Run」

「Night Run」ターンテーブル、クレイレンダー

Q. 近年の作品についてお聞かせください

「ダイナミックなポーズの人物」「アナトミー」「モルフォロジー」「構図」を、これまで以上に洗練させていくつもりです。それらすべてをリアルなレンダリングで表現するのが、私の目標です。また、将来取り組もうと考えているテーマが「クリーチャー」です。理由は、身体の特徴やパーツを強調し、アナトミーを誇張することのできるテーマだからです。

 

「Night Run」

Karagiannis Stavros氏 の最新作
「Rocky Balboa WIP」
「TAXI Driver Fan Art」

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編集:3dtotal.jp