世界のモンスターを描く:キマイラ

フィールドノート(調査・資料収集)

ライオン

キマイラにはライオンの頭があるので、そのどう猛さと力強さを表したいと思います。まず、吠えるライオンを研究して、鼻口部に寄るしわと形状に十分な注意を払いましょう。これらは、キマイラの激しい怒りを表し、恐ろしいルックを作る重要なディテールになります。他の微妙なディテールに、目の下の薄暗い線があります。これはライオン固有の特徴で、キマイラに取り入れると独特のルックになるでしょう。

横から見たライオンの頭部を研究すると、顔の造作と形状、そして目・鼻・口の距離の理解が深まります。鼻から目や頬に伸びる線、顔のしわを意識しながら描いてみましょう。ライオンの最も目立つ特徴はたてがみです。これは、キマイラのデザインをより優雅に、あるいは恐ろしくする可能性を秘めています。

 

ヤギとレイヨウ

数百年もの間、悪魔の象徴とされてきたヤギは、キマイラに邪悪な側面をもたらします。最も重要な要素は角と顎ひげで、これはライオンの長い毛とも上手く調和するでしょう。ヤギ自体に威圧感はありませんが、その角をデザインに加えれば威厳が備わりそうです。ただし、ヤギの横長の角はライオンの頭と衝突して邪魔になるかもしれません。そこで、キマイラの構造に合いそうな、レイヨウ(アンテロープ)のねじれた角も研究します。

 

動作

さらに、動作・癖・ポーズを探求します。ライオンの体を持つキマイラをもっと自然な雰囲気にするため、ライオンの走り方や静止状態も研究しておきましょう。はっきりした流れる線で動きと感覚を捉え、キマイラの野性を表現します。

 

ヘビの皮膚

ヘビの皮膚を作成するには、まず、体のボリュームを考察します。ばねやコイルを描いて、形状及びフォームの勢いを表してみましょう。ここでは体の向きとカーブを明確にしてください。次に、左右の対角線をヘビのフォームに入れて、体全体に菱形模様(パターン)を形成します。

続けて、うろこで作成した菱形模様を埋めていきます。手前に見える部分には正確さが求められますが、短縮法で描かれた形状はパースで不鮮明になるため、ディテールは不要です。ここで最初の影を追加して、絵に十分な立体感を与えましょう。

最後は、ヘビの皮膚に模様を追加していきます。まず、簡単な基本形状を描いて、それをうろこに適用します。このとき、ピクセルをペイントするように捉えると良いでしょう。次は、ヘビのボリューム(シェーディング)です。体に沿って影を追加し、真実味を与えてください。

ここまでの手順に従えば、どんな模様でも追加できるでしょう。この段階では思う存分創造力を振るってください。最初の手順で作った対角線を変形すれば、サイズの異なるうろこも作成できます。

 

キマイラは火の息を吐くので、炎もデザインに取り入れます。炎の描画は、形状だけでなく、風向きや立体感も考慮する必要があるため極めて複雑です。さまざまな形状を試し、炎をねじ曲げて、風に揺れている雰囲気を表現しましょう。右は、炎の形状とネガティブスペース(黒い背景など)を考慮しつつ、カーブと丸みのある形状で見映え良いシルエットを作成。このステップでは、炎のシルエットに集中します(いくつかのガイドを描いて、炎の動きを視覚化しています)。

炎が光りゆらめいている雰囲気を作るため、シルエットを空白で残し、背景を強い暗色(低い明度)で塗りつぶします。次に炎の中にやや強い暗色を加えますが、その場所に注意を払いましょう。こうして暗い形状を描いていけば、白い空白が炎の形状なります。炎にはハイライトと透明な領域があるので、これを意識しながら一部に柔らかいシェーディングを施します。炎は高温の白いコアから黄色とオレンジに広がり、最後は赤になります。そこで、内側の最も明るい部分から最も暗いエッジに向けて、徐々に明度を変えていきましょう。

最終ステップでも前のステップを使いますが、ここではさらに、炎の内側の興味を引く領域にディテールを追加します。最も熱い部分を真っ白のまま残し、リアリズムを最大限に追求してください。前のステップで作成した暗い領域の内側をさらに洗練し、小さな炎を描いて、より真実味を出します。

暗くした背景から炎に向けて、興味深いグラデーションを作成してみましょう。どんなセクションでも、常にイメージ全体を意識して作業すれば、一貫性のあるグレーの明度を形成できるでしょう。