世界のモンスターを描く:キマイラ

デザインプロセス

サムネイル

サムネイルではキマイラの構造を研究・実験しています。あるスケッチでは細く骨張った体で、別のスケッチでは筋肉質です。背骨のカーブを調整し、角やヘビのサイズも変更してみました。描いていくうちに、長いヘビのほうが恐ろしく見え、キマイラのデザインにぴったりだと分かりました。

ヤギとライオンの頭を1つに組み合わせる方法も試しました(08、11)。翼を与え、悪魔のルックを強調したもの(08)、ドラゴンの要素(背中から後脚に伸びるとげ、体全体を覆ううろこなど)を加えて、もっと幻想的なルックを追求したもの(11)もあります。不吉で恐ろしい雰囲気を強めるために目を取り除くと、かなりおぞましくなりました(12)!

 

もっと掘り下げる

選択したのは骨のキマイラです。これらのパーツは互いに完全に調和し、邪悪で不吉な印象のキマイラをユニークな現代風デザインへとアップデートしています。ふさふさのたてがみや顎ひげの付いた頭蓋骨はおぞましく、「死」や「干し首」のイメージを喚起させます。

正面図を見ると、2つの頭が簡単に見分けられ、どちらも胴体に合っていると分かります。この視点では捕食者ライオンの頭蓋骨が持つどう猛さと、悪魔のヤギの頭蓋骨が持つ不気味さが伝わってきます。このクリーチャーの不死の性質がよく表れ、常に空腹で、獲物を探し回っているような印象を受けます。

背面図では、ヤギの後脚がはっきり分かります。細長く骨張っていますが、ほとんどは厚い毛の下に隠れ、寒い山に生きるヤギを彷彿とさせます。この視点ではヘビの厚みも分かり、邪悪な口の付いた先端へと遠ざかるにつれ、徐々に細くなっています。

側面図では、別々の2つの頭が、首周りにある毛のせいでつながって見えます。背骨はむき出しになり、ヘビの体に変化している様子も分かります。突き出した腰など、痩せこけた体も強調され、頭上にある炎からは、キマイラの持つ神秘的で破壊的な力が伝わってきます。また、毛・角・頭蓋骨の形状と角度に合わせたシェイプランゲージ(形態言語)は、美しく魅力的です。

 

ポーズ

最初のポーズでは、攻撃性・スピード・エネルギーを表現しました。ネコ科動物の前脚の動きを観察し、後脚でジャンプするヤギと組み合わせています。3つの頭を同じ方向に向けて描けば、鑑賞者の注意を引くことができるでしょう。また、ヘビにも突出するような動きをつけて、生命を与えています(つまり、このヘビは独立した意志を持ち、不意を突いて襲ってきます)。

下のポーズは、上のポーズよりも落ち着いています。威厳や穏やかさに基づき、風に流れる毛やねじれた尻尾などの個性を与えました。ライオンの頭はこちらに恐ろしい視線を投げかけ、鑑賞者が危険な存在なのか(または食べられるのか)を分析し、つきとめようとしています。このポーズは、ジャンプするキマイラとは別の感情を呼び起こします。威圧感はあまりなく、むしろ偉大な獣として畏敬の念を呼び起こします。