スタイライズ・サムライ:リアルタイム キャラクター『SAMURAI』のメイキング

06 リトポロジー

Maya はリトポロジーに最適なツールです。私はハードサーフェス モデリングや UVマッピングにも使っています。そうすれば、さまざまなパッケージ間を行き来することなく、1つのプログラムですべてをこなせるため、作業がはるかに簡単になります。

Maya で数百万ポリゴンを扱うと処理が遅くなるため、リトポロジー(ローポリの作成)の前に、ZBrush ですべてをデシメートしておきます。[ツール]>[エクスポート]>[サブグループをエクスポート]ボタンをクリックしてオフ、すべてのポリグループを個別のジオメトリに変換しないようにします。

次に、ハイポリオブジェクトを Maya にインポートし、上部のコントロールパネルの[ライブサーフェスにする]機能をオン、オブジェクトをライブサーフェスに変換します。これにより、[モデリング ツールキット]メニューの[四角ポリゴン描画ツール]で、その上に新しいジオメトリを作成できるようになります。

リトポロジーする(Maya 使用)

07 メッシュを分解する

モデルを Substance Painter に取り込む前に、ベイク時のシャドウエラーを回避するのに役立つ Maya の古いトリックを使いましょう。やることは、単純な 2フレームのアニメーションを作成し、メッシュのすべての重なり合う部分を分離するだけです(必ずキャラクターのハイポリバージョンとローポリバージョンが同じ位置になるようにしてください!)。キーボードの[S]キーを押して、オブジェクトのそれぞれの位置をタイムラインに保存します。図のように私のシーンには、結合されたメッシュ用のキーフレームと、分解したパーツ用のキーフレームがあります。

ベイクのためにメッシュを分解する

08 ベイクとテクスチャリング

Substance Painter の[Metallic-Roughness]テンプレートで新しいファイルをセットアップしたら、メッシュの分解バージョンのすべてのマップをベイクして、[Edit]>[Project Configuration](編集 > プロジェクト構成)で組み合わせたマップに置き換えます。

すべてのマップに切り替えて、クリーンかどうかを確認したら、テクスチャリングを開始します。これは、多くの創造的自由を与えてくれるので、(ハイポリをスカルプトするのと同様に)私のお気に入りのステップです。Substance Painterには、リアルなテクスチャとスタイライズされたテクスチャに適した複数のツールと機能があります。このプロジェクトでは、ダイナミックライティングを試したかったので、PBR機能でマテリアルを実際のリファレンスのように見せています(つまり、布地に織り模様のテクスチャを使い、金属部品に Metallic/Roughness(金属/粗さ)パラメーターを使っています)。

私はたくさんの Fill Layer(塗りつぶしレイヤー)とマスクを使っています。マスクのおかげで、各要素の色や他のレイヤーパラメータを簡単に調整できるので、ペイントプロセスがより柔軟になりました。

ベイクとテクスチャリング(Substance Painter 使用)

09 ポージングとリギング

私はよく、ZBrush の[トランスポーズマスター]を使ってモデルにポーズをつけますが、今回はアニメーションを想定したリアルタイムモデルなので、スキンウェイトとテクスチャが気になりました。そこで、ポージングとプレゼンテーション用にMayaでシンプルなリグをセットアップすることにしました。Maya の HumanIK 機能を使うと、自動でスケルトンをメッシュにバインドできます。シンプルなものを試したい場合は、3dEx によるわかりやすい リギングチュートリアル「Simple Character Rigging」(※英語ムービー)などをチェックしてみてください。

ポージングとリギング(Maya 使用)

10 最終プレゼンテーション

すべてのテクスチャの準備が整い、エクスポートできたら、すべてを Marmoset Toolbag に取り込みます。これにより、ローポリとハイポリメッシュをスムーズに処理し、高速/リアルタイムレンダリングできます(私はこのプログラムのレンダリングを楽しんでいます)。

シェーダを調整し、ライトを設定して、全体のルックがどのように見えるかを確認します。モデルの全身用とクローズアップシーン用にカメラをセットしておけば、あらゆる角度から表示し、バランスのとれた構図を作るのに役立つでしょう。

Marmoset Toolbag を使ったレンダリングの詳細なプロセスについて知りたいなら、 Marmoset のウェブサイトで、その設定を段階的に解説しています。ここでポストプロセスと色補正の作業を行うこともできますが、私は背景に追加要素を配置して、さらに人目を引く完全なものにしたいので Photoshop を使います。

今回のスタイライズされたキャラクター制作プロセスはとてもうまくいきました! あなたの将来のプロジェクトに役立ちそうな有用なヒントやコツが見つかったなら嬉しいです。読んでくれてありがとう!

最終プレゼンテーション(Marmoset Toolbag 使用)

リアルタイムキャラクター「SAMURAI」

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翻訳:STUDIO LIZZ (TK)
編集:3dtotal.jp